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スタッフからのお知らせK会本郷教室

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【UCバークレー通信15(元K会生・K会数学科講師OB:菊地雄介)】

2020年8月1日 更新

━【UCバークレー通信15(元K会生・K会数学科講師OB:菊地雄介)】━

★このコラムでは、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校:大学院博士課程にて応用数学を研究している筆者(K会の元会員でK会数学科講師OB)が留学生活や数学の話題をお伝えしていきます。★


<夏のインターンシップ>
こんにちは。東京は大分暑くなったと思います。
こちらは、外に出て歩くとうっすら汗をかきますが、ほとんどの時間を家の中で過ごすのであまり夏という感じがしません。

コロナウイルスに関する状況を書きますと、バークレーではこれまで閉まっていたレストランが少しずつ開いてきています。
しかし、感染者数は増えており、レストラン以外のお店は閉まったままなので、私は、髪を切りに行けずに半年が過ぎてしまいました。

さて、今回は私の夏のインターンシップについて紹介したいと思います。
私は今、サンフランシスコにある医療系の会社でインターンとして働いています。
コロナウイルスの影響で直接会社には行けないので、リモートワークをしています。
直接会社に行って働く経験ができないのは残念ですが、通勤時間を他のことに使えるので個人的には働きやすいと思っています。
仕事が完全にリモートになってから通勤の必要がないので上司の何人かも違う州に引っ越しました。
リモートワークでも現時点では生産性が保たれているようですが、長期的にみて持続可能なのかは気になるところです。

私は今この会社で機械学習を医療へ応用するプロジェクトに取り組んでいます。
詳しいことは書けないので、粗い説明になりますが、コンピュータを使って個人に合わせた治療を見つけることを最終目標としています。
薬の用量は大人はX錠、のように一律に決められていますが、実は薬への反応は個人差があります。
また、今の医学では、治療方針は医学的知見に基づいたルールに則って決められますが、ルールによるグループ分けが大雑把すぎることがあります。
そこで、コンピュータを使ってよりよい治療方針や用量を見つけようというのが基本的な考えです。

私のプロジェクトでは特に医療画像に注目しています。
画像は、画素という正方形を長方形状に並べたもので、コンピュータで高速に処理することができます。
このことを使った深層学習と呼ばれる技術は人間と同じくらいの画像認識能力に達しています。
深層学習の医療への応用は数多くあり、今後発展していく分野の一つでもあります。今働いている会社でも医療画像に力を入れている印象です。
実用化に向けては規制の観点からいろいろな検討が必要ですが、遠くない未来に医師の診断を助けるソフトウェアが病院で使われるようになるかもしれません。
また、そのようなソフトウェアが専門医と同等のパフォーマンスを行えるようになれば、専門医が近くにいない過疎地域などで医療の質を向上させることもできます。

最後になりますが、読者の皆様も引き続き手洗いうがい等の予防を徹底して安全にお過ごしください。

━【「言語学をのぞいてみよう その22」(元K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━

2020年7月15日 更新

━【「言語学をのぞいてみよう その22」(元K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━
★このコラムでは、東京大学大学院にて言語学を研究している筆者(K会の元英語科講師)が、英語・言語学・外国語学習・比較文化などの話題をお伝えしていきます。★


議論の怪しさに気づくには?–––隠れた前提の見抜き方–––


 突然ですが、次のような発言を聞いたら、あなたはどう思いますか?

  (1)遺伝子組み換え作物が人間にとって無害であるということを完全に立証することはできない。どれだけ綿密にチェックを重ねたとしても、危険性はゼロではないのだ。それゆえ、遺伝子組み換え作物を許可するべきではない

確かにそうだ、と思いましたか?言っていることはもっともだな、と。それでは、次の発言はどうでしょうか。

  (2)自動車、車、飛行機などの乗り物は、危険性がゼロではない。それゆえ、乗り物を許可するべきではない。

今度は、何を無茶なことを言ってるんだ、と思ったでしょうか。もしそう思ったなら、気をつけてください。(1)に納得した一方で(2)に納得しなかった人は、知らず知らずのうちに、矛盾した意見を持ってしまっている可能性があります。なぜなら(1)と(2)は、ある点で同じことを言っているからです。(1)には(2)と同じおかしさがあると気づけるようになるためは、議論の中の隠れた前提を見つけることができるようになる必要があります。議論の妥当性を判断できるようになるためには、隠れた前提を見抜く技術が必要ということです。今回は、隠れた前提を見抜く方法をご紹介します。

 まず、(1)の議論の構造を確認してみましょう。(1)では、「遺伝子組み換え作物の危険性はゼロではない」ということを根拠にして、「遺伝子組み換え作物を認めるべきではない」という結論を出しています。

   [根拠1]遺伝子組み換え作物の危険性はゼロではない
               ↓
   [結論]遺伝子組み換え作物を許可するべきではない

しかし、考えてみると、[根拠1]からこの結論は直接出てきません。つまり、「遺伝子組み換え作物の危険性はゼロではない」ということを認めたら、必ず「遺伝子組み換え作物を許可するべきではない」という結論を認めなくてはならない、ということにはならないということです。遺伝子組み換え作物の危険性がゼロではないことを認めつつ、それでも遺伝子組み換え作物を許可するべきだという立場は十分にありえます。したがって、「遺伝子組み換えを認めるべきではない」という結論を出すためには、[根拠1]だけでは足りないのです。それにもかかわらずこの結論を出しているということは、ここには暗黙のうちに持ち出されている別の根拠があるのだと考えられます。つまり、この主張には隠れた前提があるのです。

 その隠れた前提とは、具体的にはどのような前提でしょうか。隠れた前提を見つける方法は、挙げられている根拠のほかに、どんな根拠を挙げればこの結論を出すのに十分なのかを考えることです。言い換えるなら、これらの根拠を認めるなら、この結論も必ず認めなければならないと言えるようになるためには、どのような根拠を挙げれば良いか、ということです。「遺伝子組み換え作物の危険性はゼロではない」という[根拠1]だけでは、「遺伝子組み換えを許可するべきではない」という結論は出せませんでした。危険性がゼロでないとしても、遺伝子組み換え作物を許可するべきだという立場がありえるからです。この結論を出すためには、「危険性がゼロでないこと」と「許可するべきではない」ということの関係をはっきりさせる必要があります。つまり、「危険性がゼロではないものは許可するべきではない」という関係です。これが、もう一つの根拠であり、(1)に隠されていた前提です。

   [根拠1]遺伝子組み換え作物の危険性はゼロではない
   [根拠2]危険性がゼロではないものは許可するべきではない(隠れた前提)
               ↓
   [結論]遺伝子組み換え作物を許可するべきではない

これらの[根拠1]と[根拠2]の二つがあれば、この結論が出てきます。両方の根拠を認めるなら、必ずこの結論も認めなくてはならない、ということです。[根拠1]と[根拠2]の両方に賛成しつつ、結論に反対するのは矛盾です。
 では、あなたは[根拠1]と[根拠2]の両方に賛成ですか?両方に賛成するなら、結論にも賛成しなければいけません。一方、根拠のどれか一つでも怪しいなら、結論も怪しいということになります。二つの根拠はどちらももっともなことを言っているでしょうか。この場合、[根拠1]を否定するのは困難でしょう。怪しいのは、隠れた前提になっていた[根拠2]です。「危険性がゼロでないものは認めるべきではない」という意見には、どんな問題がありそうでしょうか。このことがはっきりすれば、(1)の議論の妥当性を正しく判断することができそうです。

 このことを考えるために、(2)を検討してみましょう。議論の構造は次の通りです。

   [根拠A]乗り物は危険性がゼロではない
               ↓
   [結論]乗り物を許可するべきではない

この議論の構造は、(1) の場合とそっくりです。[根拠A]からは、この結論は直接出てきません。この結論を出すためには、「危険性がゼロでない」ことと「許可するべきではない」ということの関係を示す、もう一つの根拠が必要です。つまり、「危険性がゼロでないものは許可するべきではない」という隠れた前提です。

   [根拠A]乗り物の危険性はゼロではない
   [根拠B]危険性がゼロではないものは認めるべきではない(隠れた前提)
               ↓
   [結論]乗り物を認めるべきではない

これらの[根拠A]と[根拠B]をどちらも認めるなら、結論も認めなくてはなりません。しかし、この結論は多くの人にとって受け入れがたいものだと思います。確かに乗り物の危険性はゼロではないけれど、だからと言って乗り物を認めないというのはおかしいだろうと。結論を受け入れないのなら、挙げられている根拠の少なくともいずれかを否定しなければなりません。[根拠A]を否定することはできないでしょう。確かに乗り物の危険性がゼロでないことは事実です。反論するなら、[根拠B]です。危険性がゼロのことしか認められないとしたら、乗り物を始めとして、スポーツをすること、道を歩くこと、食べ物を食べることなど、私たちが行うことのほとんどが認められないことになってしまうでしょう。[根拠B]のような意見は、現実的に受け入れがたいものだと言えるでしょう。

 もうお気づきでしょうが、「危険性がゼロではないものは認めるべきではない」という[根拠B]は(1)の議論に登場した[根拠2]と同じです。つまり、(1)の議論には、(2)の議論と全く同じおかしさがあったということです。もっともらしいことを言っているように見えて、実はこの意見をそのまま受け入れると、少しでも危険のあることは何も許可するべきではない、という極端な意見まで受け入れていることになってしまいます。このように、議論の妥当性を判断するためには、隠れた前提を見抜くことが必要なのです。

少し、隠れた前提を見つける練習をしてみましょう。(3)の議論の隠れた前提は何でしょうか。

   (3)歌舞伎は日本の伝統芸能だから、みんな歌舞伎を見るべきだよ。

隠れた前提を見つけるには、まず議論の構造を整理することです。

   [根拠a]歌舞伎は日本の伝統芸能だ
               ↓
   [結論]歌舞伎はみんなが見るべきだ

そして、この[根拠a]と結論の関係を考えます。[根拠a]を認めたら、結論も認めなくてはならないでしょうか。そんなことはありませんね。歌舞伎が日本の伝統芸能だということを認めつつ、でも歌舞伎を見ない人がいたっていい、という立場だってありえます。この結論を出すためにはもう一つ根拠が必要です。これが隠れた前提になっているということですが、それはどんな前提でしょうか。「歌舞伎が日本の伝統芸能だ」ということと、「歌舞伎はみんなが見るべきだ」ということは直接つながっていません。歌舞伎が日本の伝統芸能であることと、それをみんな見るべきかどうかということは無関係です。この二つをつなげるためには、「日本の伝統芸能であること」と「みんなが見るべきであること」の関係を示さなければいけません。つまり、「日本の伝統芸能はみんな見るべきだ」というもう一つの根拠が必要だということです。これが、(3)の議論の隠れた前提です。

   [根拠a]歌舞伎は日本の伝統芸能だ
   [根拠b]日本の伝統芸能はみんな見るべきだ(隠れた前提)
               ↓
   [結論]みんな歌舞伎を見るべきだ

 このように隠れた前提を見抜く技術があると、言われていることに筋が通っているか、もっともなことを言っているかを判断できるようになります。隠れた前提を見抜く技術を身につけることは非常に重要だ、というのが私の主張です。
 ところで、この私の主張にも隠れた前提があります。それは何でしょうか。即答できる人は大変素晴らしい。なんだろう?と思った人は、一緒に考えてみましょう。私の議論の構造は次の通りです。

   [根拠α]隠れた前提を見抜く技術があると、議論の妥当性を判断することができる
               ↓
   [結論]隠れた前提を見抜く技術があることは重要だ

分かりましたか?「議論の妥当性を判断することができる」ことと、「重要だ」ということの関係は言ってませんよね。次のように、この二つの関係が隠れた前提になっています。

   [根拠α]隠れた前提を見抜く技術があると、議論の妥当性を判断することができる
   [根拠β]議論の妥当性を判断することができることは重要だ(隠れた前提)
               ↓
   [結論]隠れた前提を見抜く技術があることは重要だ

私の主張に反対したければ、[根拠α]と[根拠β]の少なくとも一つを否定すれば良いということです。どちらの根拠にもうなずいたあなたは、当然この結論にも賛成ですよね。

おすすめの本
野矢茂樹(2018)『増補版 大人のための国語ゼミ』筑摩書房.

2020年夏期集中講座まもなく受付開始!

2020年6月25日 更新

みなさんこんにちは。K会事務局です!

6/30(火)13:00~ 夏期集中講座の受付が始まります。
設置講座は数学・英語・情報・物理・化学の全16講座!
詳しくは下記URLよりご確認ください。
https://www.kawai-juku.ac.jp/summer/kkai/

今夏はコロナ禍の影響で学校のスケジュールが例年と違い、
「講習の日程が合わない」「受講したいが遠方で移動が不安」
という生徒さんもたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

K会ではそんな皆様のお声から
例年よりも遅い時間から始まる講座や、一部授業の録画配信もご用意しています!

数学オリンピック講座やプログラミング講座など
どの講座も学校の授業とは違ったK会オリジナルのプログラムとなっています。

みなさんのお申込みお待ちしております!!

【お問い合わせ】K会事事務局
0120-540-315 日・祝・月除く 13:00~19:00

対面授業再開!

2020年6月1日 更新

みなさんこんにちは。K会事務局です!

6月9日(火)より対面授業が始まります!!
みなさんとお会いできるこの日をK会事務局・講師一同楽しみにしておりました。
※塾では対面授業再開となりますが、お通いの学校が登校自粛となっている場合は塾への登校もお控え頂きますようお願い致します。

対面授業再開にあたり、みなさんにお願いとご連絡がございます。

<みなさんへのお願い>
◆マスクの着用
通学時・校舎内ともにマスクを着用してください。

◆検温実施のご協力
校舎入り口でスタッフが検温(非接触体温計を使用)を実施します。ご協力お願い致します。
発熱がある場合は授業の参加はご遠慮いただきます。
また、発熱がなくても体調が悪い、同居家族に発熱があるといった場合は通塾をお控え下さい。

◆ハンカチの持参
お手洗いに設置しているエアータオルの使用を禁止しています。ハンカチをご用意ください。

◆忘れ物にご注意下さい
貸し出し用の文房具やテキストは不特定多数の方が利用します。
感染予防の観点から文房具やテキスト、K会備品の貸し出しは当面の間行いません。
授業のある日は文房具やテキストなど忘れ物がないようにしっかりと確認しましょう!

◆階段をご利用ください
エレベーターの利用については、校舎が指示する導線を守ってください。
近いフロアへの移動はなるべく階段を利用しましょう。

◆着脱しやすい服装
換気のため休み時間や授業中に窓を開けることがあります。
天候によっては窓を開けると肌寒い日もありますので、体温調節ができるよう着脱しやすい服装でお越しください。

<ご連絡>
◆感染予防の観点からK会会員の以下の利用を中止します
地下自習室、開放自習室、ラウンジ、英語多読本・書籍の貸し出し
※自習や軽食を取る際は授業実施教室、K会事務局内のみ可能となります。

◆クレベリンの設置
K会教室内にクレベリンを設置しています。
※二酸化塩素発赤装置を用いて空気中に浮遊するウィルスを除去するものです。

◆消毒用アルコールの設置
各フロアに消毒液を設置しています。
共有部分についてはこまめに消毒をしておりますが、各自手指の消毒にご協力お願いします。

◆講師・スタッフのマスクの着用
講師やスタッフもマスクを着用しております。
声が小さい・ききとりづらいなどありましたら遠慮なくお申し出ください。

<今後の授業日程>
新しいスケジュールについては下記サイトに6月上旬にアップいたします。
https://www.kawai-juku.ac.jp/kkai/curriculum/


不便だなと感じる部分もあるかもしれません。
ご迷惑をおかけしますが校舎を利用するみなさんが、安心して学習できるようにご協力をお願いします。

それでは次回は校舎でお会いしましょう!!

【UCバークレー通信14(元K会生・K会数学科講師OB:菊地雄介)】

2020年5月1日 更新

━【UCバークレー通信14(元K会生・K会数学科講師OB:菊地雄介)】━

★このコラムでは、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校:大学院博士課程にて応用数学を研究している筆者(K会の元会員でK会数学科講師OB)が留学生活や数学の話題をお伝えしていきます。★


<新型コロナウイルスの生活への影響>
こんにちは。今回は新型コロナウイルスの私の生活への影響を書いてみたいと思います。
私が聞いている限りだと日本とだいぶ状況が異なると思います。

私が住んでいるバークレーでは3月17日に自宅退避命令が出て以降、自由に外出することができなくなっています。私は、週一回、気晴らしと食料買い出しのために外出しています。

大学の授業もすべてオンラインに移行しました。オンライン授業については、以前から授業動画の配信やリモートオフィスアワーなどを行っていたため、大きな混乱はありませんでした。私も今は家で勉強や研究をしていますが、以前のようにオフィスで働くのとはだいぶ違います。

まず、生活する場所と働く場所が同じなので、メリハリがつきにくいと感じています。また、すべてがオンラインなので、人と直接会って、実体験を得る機会が圧倒的に減ってしまいました。

運動不足も大きな問題だと思います。つい先日、4kmほど散歩をしたのですが、帰ってきた頃には足全体が疲れていてショックを受けました。二日に一回は部屋でできる運動をしていたのですが、かなり筋肉が落ちてしまったようです。自由に外に出れるようになった後に通常の生活にすんなり戻れるか心配です。

ここまで、悪い影響ばかり書き連ねてきましたが、いいこともありました。
それは、旧友と連絡を取るようになったことです。私はアメリカに来てから時差の影響もあり、日本の友達と連絡を取る機会が減ってしまったのですが、この機会に太平洋を挟んでオンラインチャットを何回かしました。久しぶりの再会でいろいろな刺激を受けることができました。

中高生の皆さんは、学校に行けず、友達とも会えず大変だと思います。また、保護者の方々も様々な影響を受けていることと思います。なかなか先が見通せませんが、いつかこの騒動にも終わりが来ます。その時まで、それぞれがやれることを少しずつ進めていきましょう。

それでは、皆様、どうかご無事でいてください。平穏な日々が少しでも早く戻ってくることを願っています。

━【「言語学をのぞいてみよう その21」(元K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━

2020年4月10日 更新

━【「言語学をのぞいてみよう その21」(元K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━
★このコラムでは、東京大学大学院にて言語学を研究している筆者(K会の元英語科講師)が、英語・言語学・外国語学習・比較文化などの話題をお伝えしていきます。★


進化論から見る「くっつきむし」と人間の「丁寧さ」
 草むらを歩いていたら、服に小さな植物の種のようなものがくっついた、という経験はありませんか?いわゆる、「くっつきむし」と呼ばれている植物の仕業です。くっつきむしにはいくつか種類があって、そのうちの一つにオナモミという植物があります。オナモミの実は大豆くらいの大きさで、表面にはかぎ状のトゲトゲがあります。このトゲトゲが繊維に引っかかって、服にくっつくのです。オナモミの実は、非常に枝から離れやすい構造になっているために、少し繊維に引っかかりさえすれば、簡単に服にくっついてしまいます。なかなか変わっている面白い植物ですが、オナモミなどのくっつきむしは、なぜこのような特徴を持っているのでしょうか。

 これを考えるのにあたって役に立つのが、進化論の考え方です。進化論では、ある生物がその特徴を持っているのは、それが子孫を残すのに役立つ特徴であったためだ、と考えます。子孫を残すのに役立つ特徴を持っている個体は、当然ながら子孫を残すことに成功する確率が高くなります。そうすると、この特徴は子孫に引き継がれ、同じ特徴を持った個体が増えていきます。一方で、この特徴を持たない個体は、生き残って子孫を残すことが難しいために次第に減っていきます。これを繰り返すことで、ある生物は全体としてこの特徴を持つようになっていくのです。

 進化論の考え方をとると、オナモミが「トゲトゲの実」という特徴を持っているのは、これが子孫を残すのに役立つ特徴であったためだ、ということになります。では、この特徴はどのように子孫を残すのに役立つのでしょうか

 生物が生きていくにあたって、環境は非常に重要です。例えば気温が低すぎて活動できないとか、食べ物を得ることができないといった悪い環境では、生物は生き残ることができません。このような悪い環境に置かれたとき、動物であれば自ら移動することで環境を変えることができますが、植物は動物のように動き回ることができません。悪い環境に置かれた植物は、そこから逃げることができず、そのまま死んでしまいます。

 しかし、たとえ植物自身が動くことができなくても、広い範囲に種をばらまいてできるだけ広い範囲に子孫をもうけることができれば、たとえ環境が悪化して死んでしまったとしても、別の場所に広がった子孫が生き残り、さらにそこから子孫を残していくことができるかもしれません。つまり、「広い範囲に種をばらまく」という特徴によって、子孫が生き残りやすくなるのです。こう考えれば、植物が「広い範囲に種をばらまく」という特徴を持っていることは、進化論の観点から見て、ごく自然なことであるということになります。

 「広い範囲に種をばらまく」方法は様々です。タンポポは種に綿毛がついていて、これが風で飛ばされることで、種を遠くに広げることができます(これを風散布といいます)。ナンテンなどの多くの植物は、実が食べやすい形で見つけやすい目立つ色になっていて、これを鳥などが種ごと食べて別の場所に糞と一緒に排出することで、種が遠くに移動します(これを被食散布といいます)。

 そして、オナモミの「トゲトゲの実」も、まさに広い範囲に種をばらまくのに役立つ特徴です。この特徴によって、近くを移動する例えばリスやタヌキのような哺乳動物の毛にくっついて、種を遠くに運んでもらうことができるからです(これを付着散布といいます)。オナモミが「トゲトゲの実」という特徴を持っているのは、これが自分の子孫を生き残らせるのに役立つ特徴だからなのです。

 さて、オナモミを例にして確認した進化論の考え方は、人間がどのような生き物なのかを考えるにあたっても、非常に有効な道具になります。人間が持っている生理的な特徴(目があること、腎臓があること等々)は、オナモミの特徴と同じような仕方で理解することができるでしょう。しかし、これだけではなく、人間がある種の振る舞いをする傾向があるとき、この傾向がなぜ存在するのかを説明するためにも、進化論の考え方は役立ちます。

 例えば、人間は、「丁寧に振る舞う」という行動をとる傾向があります。例えば感謝をしたり、挨拶をしたり、謝罪をしたり、お辞儀をしたり、相手のことを褒めたり、相手に同情したりといった振る舞いは、程度の差こそあれ、時代や文化にかかわらず人間という動物に広く見られるものであると考えられています。人間という動物が「丁寧な振る舞い」という特徴を持っていることは、上で見た進化論の考え方を取ると、どのように説明することができるでしょうか。

 人間の遠い祖先に、他の人間と協力し合うという特徴を持った個体と、この特徴を持たない個体がいたとしましょう。このうち、生き残って子孫を残しやすいのは、明らかに協力し合うという特徴を持った個体でしょう。協力関係を築くことができれば、例えば他の人間と協力して大型の動物を狩り、その肉を分け合うなど、一人ではできない行動ができます。このような協力的な行動ができる方が、生き残って子孫を残せる可能性は高くなるのです。こうして他の人間と協力するという特徴を持った個体が生き残って子孫を残すことが繰り返された結果、現在の人間はこの特徴を持つに至ったと考えられます。

 人間は、他の人間と協力し合えるように、できる限り他の人間と良好な関係を築けるような行動を選択します。感謝をしたり、挨拶をしたり、謝罪をしたり、お辞儀をしたり、相手のことを褒めたり、相手に同情したり、といった「丁寧な振る舞い」は、このように他の人間と協力関係を築くための行動の一種であると考えることができます。人間の「丁寧な振る舞い」は、協力関係を築くために進化の過程で獲得した特徴なのです。

 このように考えると、どのような場合に特に丁寧な振る舞いをするか、ということに関しても説明を与えることができます。人間が「丁寧な振る舞い」をするのは相手との敵対を避け、協力関係を築くためですから、相手の気分を害し、敵対してしまう危険が高い状況であるほど、より丁寧な振る舞いを選択するし、そうでなければ必ずしも「丁寧な振る舞い」をしないということになります。例えば、親しい人に対しては、それほど丁寧な振る舞いをしないのは、すでに協力関係が確立していて、簡単にはそれが失われないだろうと(無意識に)見積もっているためだと言えるでしょう。

 以上のように、オナモミの「トゲトゲの実」と人間の「丁寧な振る舞い」は全く違った種類の特徴ですが、これらがなぜ存在するのかという疑問に対して、進化論は「それが子孫を残すのに役立つ特徴であったからだ」という一貫した仕方で答えを出すことができるのです。

【UCバークレー通信13(元K会生・K会数学科講師OB:菊地雄介)】

2020年2月4日 更新

━【UCバークレー通信13(元K会生・K会数学科講師OB:菊地雄介)】━

★このコラムでは、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校:大学院博士課程にて応用数学を研究している筆者(K会の元会員でK会数学科講師OB)が留学生活や数学の話題をお伝えしていきます。★


<バークレーのレストラン>
皆さん、こんにちは。日本はまだ寒さが厳しい時期でしょうか。こちらは春学期がちょうど始まったところです。春学期は1月から5月までで、5月から夏休みが始まります。


さて、今回はバークレーのレストラン事情についてお伝えしたいと思います。バークレーは学生街ということもあり、多様な種類のレストランが数多くあります。


アメリカの食べ物というと、ハンバーガーやフライドチキン、ピザなどを思い浮かべるかと思います。もちろん、そのようなレストランもあり、いくつかはとても人気がありますが、数だけを見るとエスニック(外国の料理)が圧倒的に多いです。これは、大学にいろいろな国の人が在籍しているためだと思われます。


日本料理のレストランも数多くあります。多くの日本料理店はsushi(あえてアルファベットで表記します)を中心とした品ぞろえですが、ここでいうsushiは日本でいう寿司とはだいぶ違います。日本で寿司というと握りをまず思い浮かべると思いますが、こちらでは巻物(ロール)を指します。カリフォルニアロールは日本でも食べられますね。

他にも、いろいろな名前のついたロールがあります。例えば、ゴジラロールと呼ばれるものはエビの天ぷらを巻いたもので、私のお気に入りです。他にも、ラーメン屋や日本カレー屋などもありますが、質や品ぞろえの多さはやはり日本に比べると劣ります。


日本料理以外では、中華料理やメキシコ料理が多い印象です。中華料理は本場の中国の料理という感じで、日本の中華料理は日本人に合わせてあることに気づきました。ただ、中国人の友人によると、こちらの中華料理はアメリカ人に合わせられているそうです。


全体的にみると、こちらのレストランは値段の割に質が低いと感じます。例えば、日本の基準で考えると店内が少し汚かったり、味が大ざっぱな感じがします。

また、私の感覚でおいしいと思うものがあまりなく、ほとんどの場合は「まずくはない」という感じなので、外食は週に一回程度です。こちらでの生活にはおおむね満足していますが、食に関しては日本を恋しく思うことが多々あります。

皆さんもアメリカに来る機会があれば、マクドナルドなどのチェーン店ではなく、地元のレストランで食べてみてはいかがでしょうか。

━【「言語学をのぞいてみよう その20」(元K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━

2020年1月17日 更新

━【「言語学をのぞいてみよう その20」(元K会英語科講師:浅岡健志朗) 】━
★このコラムでは、東京大学大学院にて言語学を研究している筆者(K会の元英語科講師)が、英語・言語学・外国語学習・比較文化などの話題をお伝えしていきます。★


<言葉に「裏の意味」が生じるのはなぜ?>
 手作りのクッキーを焼いたので、友達にも食べてもらうことにした、としましょう。あなたは、友達に「どう?おいしい?」と尋ねます。すると、こんな答えが返ってきました。
「うん、なんというか、珍しいというか、個性的な味でいいと思うよ」
このとき、あなたは作ったクッキーを褒めてもらえたと素直に喜ぶでしょうか?おそらく、こんな返事をされたら、あまりおいしくなかったのかな、と思うのではないでしょうか。しかし、友達はおいしくなかったとは言っていませんし、むしろ「いいと思う」と言っています。つまり、このときあなたは、友達の返事には言葉にしていない「裏の意味」があるのではないか、と考えているということです。

 別の例も見てみましょう。週末を前にしてどこかに出掛けたいと考えたあなたは、「明日、釣りに行こうよ」と言って友達を誘います。それに対する友達の答えはこうでした。
「明日は雨だよ」
このような返事が返ってきたら、友達は釣りの誘いを断っているか、少なくとも釣りに行くことに関して前向きではない、と思うことでしょう。しかし、友達は、釣りに行くことを断ってもいないし、気が進まないとも言ってはいません。これらの内容は、友達が言葉にはしていない「裏の意味」として伝わっているということです。


 このような言葉の「裏の意味」は、いつでも生じるわけではありません。例えば、授業が始まる際に、先生が「それでは出席を取ります」と言ったときに、この言葉にはなにか裏があるに違いない、などとは思わないはずです。それでは、言葉の「裏の意味」は、どのような場合に、なぜ生じるのでしょうか。


 この疑問を解く鍵は、人間が互いに協力する動物であるということにあると、哲学者のポール・グライスは考えました。人間は、様々な状況で、ある目的を達成するために協力して行為を行います。例えば、大きな机を移動させるために、二人の人間が協力して机を運ぶとしましょう。この二人が協力してこの行為を行っていると言えるためには、二人は机を移動させるという目的のために適切なことをしなければなりません。例えば、相手とタイミングを合わせて適切な力で机を持ち上げ、相手と足並みをそろえて目的の場所まで移動する必要があります。当然、途中で手を離したり、いきなりあらぬ方向に進んだりしてしまってはいけません。そしてここで重要なのは、協力して机を運ぶ二人は、相手が協力している以上、このように途中で手を離したりいきなりあらぬ方向に進んだりはしないはずだ、と考えているということです。言い換えれば、協力している以上、相手は目的を達成するために適切なことをしてくれるはずだということが、互いに暗黙の前提になっているということです。


 考えてみれば、コミュニケーションとはまさに、意思疎通という目的のために話し手と聞き手の間で協力して行われる行為です。意思疎通という目的を達成するために、話し手と聞き手は、適切なことをしなければなりません。コミュニケーションにおいて「適切なことをする」とは、「必要以上の情報を言ったり必要なことを言わなかったりしない」「嘘を言わない」「関係のあることを言う」「分かりやすく簡潔に言う」ということであると、グライスは考えました。そして重要なのは、コミュニケーションを行う話し手と聞き手にとって、協力してコミュニケーションを行っている以上、相手は意思疎通という目的を達成するためにこれらの適切なことをしてくれるはずだということが暗黙の前提になっているということです。つまり、会話を行う二人は、相手がコミュニケーションに協力している以上、必要以上の情報を言ったり必要なことを言わなかったりはしないし、嘘は言っていないし、関係のあることを言っているし、分かりやすく簡潔に言うはずだ、と暗黙に考えているということです。


 以上のことを踏まえると、言葉に「裏の意味」が生じる仕組みが分かる、とグライスは言います。「釣りに行こう」という誘いに対して、「明日は雨だよ」という返事が返ってくる場合のことを考えてみましょう。このときあなたが聞いているのは「相手が明日釣りに行くか行かないか」という内容なのですから、これに「明日は雨だよ」と答えることは、一見、相手は関係のないことを言っている、つまり、「適切なこと」をしていないように見えます。しかし、相手がコミュニケーションに協力している以上、相手は「適切なこと」をしているはずですから、相手の言うことは話題に関係のあることのはずです。そのため、相手が言葉にした「明日は雨だ」という内容の他に、いまの話題に関係のある、本当に言いたいことがあるはずだと考え、それが何なのかを推論して探します。そして「ふつう雨の日には釣りに行かない」といった知識を踏まえて、相手が伝えようとしているのは「明日は雨で、雨の日には釣りに行かないものだから、釣りに行くことはしない」ということなのではないかという結論を出します。このようにして、あなたは相手の返事から言葉にされていない「裏の意味」を読み取るのです。


 冒頭のクッキーの例も同様です。「どう、おいしい?」とクッキーの感想を尋ねたとき、相手の返事は、「うん、なんというか、珍しいというか、個性的な味でいいと思うよ」という歯切れの悪い、分かりやすく簡潔とは言えないようなものでした。しかし、相手がコミュニケーションに協力的なら、あくまで分かりやすく簡潔に答えようとしているはずです。こちらが聞いているのは「おいしいか、おいしくないか」ということですから、おいしかったなら「おいしい」と分かりやすく簡潔に答えられるはずです。それができないということは、このように歯切れの悪い言い方しかできないような味だった、つまり少なくともおいしいとは言えないような味だったと相手は言っているのだ、とあなたは考えます。このようにしてあなたは相手の返事から、言葉にされていない「裏の意味」を読み取ります。


 私たちは相手がコミュニケーションに協力的であるということを前提にして会話を行います。そのため、相手が一見協力的でないように見える発言をした場合にも、実は協力的にコミュニケーションをしているのではないかと考え、相手の発言の「裏の意味」を探します。これが言葉に「裏の意味」が生じる仕組みです。相手の発言に「裏の意味」があるのではないかと考えるとき、私たちは相手を「協力的な人」として見なそうとしているのです。

言語学オリンピック対策講座を開講します!

2019年10月2日 更新

言語学オリンピックとは、公式サイトによると「言語解読という世界で最も解き応えのあるパズル」で頭脳を競い合う大会です。

日本言語学オリンピック(JOL)で選ばれた上位8名が日本代表として国際言語学オリンピック(IOL)に出場します。

K会では冬期集中講座にて、JOL・IOLを目指す皆さんのために、言語学オリンピック対策講座を開講いたします。

担当講師は岡本 沙紀。国際言語学オリンピック日本代表です。

予備知識は必要ありません。文法が好きな方、または好きになりたい方はぜひ受講をご検討ください!

講座の詳しい内容はこちらから!

2019年度冬期集中講座のご案内を公開しました!

2019年10月1日 更新

10/8(火)より、冬期集中講座のお申し込みを受付いたします。

設置科目は数学・英語・情報科学・化学・生物・地理・言語学。

今冬はサイエンス講座の全科目で新規講座を開講するなど、サイエンス講座が充実しています。

特に言語学はK会では初の開講となります!

他では見られない、皆さんの知的好奇心を刺激し、理解を深める講座を豊富に揃えていますので、ぜひ受講をご検討ください。

詳しくはこちらから

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