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地理総合 地理歴史 | 高等学校学習指導要領分析

2018(平成30)年3月に告示された高等学校学習指導要領の分析報告

*2018年7月に公開された「高等学校学習指導要領解説」の分析を踏まえ、分析結果を修正・追記しました。(2018年10月)

1.今回の改訂の特徴

●「地理総合」の必履修化

1970年告示(1973年実施)の学習指導要領では、系統地理を学ぶ「地理A」(3単位)と地誌を学ぶ「地理B」(3単位)が設置され、「世界史」、「日本史」とともに選択科目(世界史、日本史、地理Aもしくは地理Bから2科目)となり、それ以来、高等学校において地理は必履修科目ではなくなった。さらに、1989年告示の学習指導要領で高等学校社会科が地理歴史科と公民科に分離され、地理歴史科は世界史A、B、日本史A、B、地理A、Bの6科目構成(Aが2単位、Bが4単位)となり、世界史のみが必履修科目となると、入学試験科目として地理を設置しない大学が増え、高校での地理の履修者が激減した。今回の学習指導要領の改訂で、およそ50年ぶりに地理の必履修化が実現した。

地理歴史科は、空間認識と時間認識をバランスよく総合する人材育成を目指す教科で、社会で求められる資質・能力を全ての生徒に育むという観点から、空間軸・時間軸をそれぞれ学習の基軸とする「地理総合」と「歴史総合」が、相互補完的役割を果たすものとして必履修科目に位置付けられている。
▼現行教育課程(地理A・地理B)と新教育課程(地理総合)の学習項目の関係

現行教育課程「地理A」→新教育課程「地理総合」

●持続可能な社会づくりを担う科目

地理の必履修化に大きく影響したとされるのが、2017年の日本学術会議の提言「持続可能な社会づくりに向けた地理教育の充実」である。この背景には、深刻化する地球環境問題や大規模な自然災害が多発し、これらへの対応にICT(情報通信技術)の進歩を背景とした地図や地理情報システム*の活用が不可欠となりつつあることから、地理教育の社会的ニーズの高まりがあった。「地理総合」はこうした背景から誕生した新しい地理の科目であり、大きく次の三つの項目で構成されている。
A 地図と地理情報システムの活用〔GIS(地理情報システム)〕
B 国際理解と国際協力〔グローバル〕
C 防災と持続可能社会の構築〔防災〕〔ESD(持続可能な開発のための教育)〕

●知識及び技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成

今回の学習指導要領の改訂で重視されているのが、各項目の知識及び技能の習得のみならずそれを活用した思考力、判断力、表現力等の育成である。各項目について、主題を設定し、多面的・多角的に考察し、表現することで、資質・能力を高めることが求められている。

【1】育成する資質・能力について

目標に掲げられているのが、社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせ、課題を追究したり解決したりする活動を通しての資質・能力を育成することである。地理的な見方・考え方は、「社会的事象を、位置や空間的な広がりに着目して捉え、地域の環境条件や地域間の結び付きなどの地域という枠組みの中で、人間の営みと関連付けること」と整理されており、資質・能力としては具体的には次の三つの柱が示されている。この三つの柱は小学校社会科、中学校社会科地理的分野から引き継がれ、より一層精緻化されており、小学校から高等学校までの地理教育の一貫性が意図されている。

①知識及び技能の習得

・世界の生活文化の多様性や、防災、地域や地球的課題への取組などの理解。
グローバルな視座から国際理解や国際協力の在り方を、地域的な視座から防災などの諸課題への対応を考察する科目で、概念などを活用して多面的・多角的に考察したり、地理的な課題の解決に向けて構想したりする学習過程を前提に、世界の生活文化の多様性や、防災、地域や地球的課題への取組などを理解する。
・地図や地理情報システムなどを用い、地理的な情報を調べまとめる技能。
地理的な情報を調べまとめる技能として次の三つの技能をあげている。
□情報を収集する技能:課題の解決に向けて有用な情報を適切に収集する技能を高めること。
□情報を読み取る技能:社会的事象を位置や空間的な広がりなどを考慮して地図上で捉えること。
□情報をまとめる技能:地理情報を地図にまとめて、用途に適した主題図を作成すること。

②思考力、判断力、表現力等の育成

・地理的事象を多面的・多角的に考察する力。
・地理的な課題の解決に向けて構想する力。
・考察、構想したことを説明したり、議論したりする力。
「地理総合」において養われる思考力、判断力とは、社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせて、地理に関わる事象の意味や意義、特色や相互の関連を、概念などを活用して多面的・多角的に考察する力、地理的な課題を把握して、解決に向けて学習したことを基に複数の立場や意見を踏まえて構想できる力を意味し、社会に見られる課題を「地理的な課題」として考察する際の視点として、次の五項目をあげている。
ア 位置や分布:位置の規則性を見いだし、分布の規則性、傾向性を示す要因を考える。
イ 場所:場所の地域的特色を明らかにし、他の地域との比較により地方的特殊性と一般的共通性を探る。
ウ 人間と自然環境との相互依存関係:自然からの制約とそれに対応した伝統的生活様式、自然環境への働きかけと自然環境の改変を明らかにし、地域の環境開発や環境保全の在り方を考える。
エ 空間的相互依存作用:空間的な関係性の要因を考察することにより、人や資源、財、情報などの不均等な分布を地域的に理解し、地域的特色の形成を明らかにするだけでなく、今後の地域開発や地域間の関係改善への課題を見いだし、地域の将来像を構想する。
オ 地域:分布のパターンからどのような一般的共通性の下、場所の特徴からどのような地域的特殊性をもち、人々の生活と自然環境がどのように関わり、他地域とどのように結び付き、それらがどのように変容しながら、現在の地域が形成されたかを考察する。
新学習指導要領では、思考力、判断力、表現力等の育成に、主題を設定し、それに合わせた問いを立てて、要因、背景などの仮説とその検証というプロセスを例示している。

③学びに向かう力、人間性等の涵養

・地理的な課題を主体的に追究、解決しようとする態度。
・日本国民としての自覚。
・我が国の国土に対する愛情。
・世界の多様な生活文化を尊重することの大切さについての自覚。

これらは、グローバル化が進み、国際理解の必要性が増している現代において重要な資質・能力であり、地理学習において育成が期待される「学びに向かう力、人間性等」である。日本国民としての自覚、我が国土に対する愛情は、「多面的・多角的な考察や深い理解」を通した日々の学習の積み重ねによって涵養されるものである。

【2】科目構成と学習内容

「地理総合」は次のA~Cの大項目で構成され、それぞれについて理解すべき知識、身に付けるべき技能とともに、育成すべき能力(思考力、判断力、表現力等)が示されている。「地理A」で扱われている項目と対応した内容を含むが、「地図や地理情報システム」については「地理A」、「地理B」で扱われている内容を移行するだけでなく、課題の追究や解決のための活動を通して身に付けることが求められている。また、「地理A」で多様性の理解として扱われていた「生活文化」は、自他の文化を尊重し国際理解を図ることが強調されるなど、「地理A」を踏襲した科目というより持続可能な社会づくりを担う新しい教科と位置付けられている。また、「社会で求められる資質・能力を全ての生徒に育む」という観点から、時間認識と空間認識をバランスよく総合する科目として、「地理総合」は「歴史総合」とともに必履修科目として位置付けられ、「生徒一人一人を生涯にわたって探究を深める未来の創り手として」育むという観点から、「地理探究」は「歴史探究」とともに選択科目として設置されている。

A 地図や地理情報システムで捉える現代世界

(1)地図や地理情報システムと現代世界
〔知識及び技能〕
・現代世界の地域構成を示した様々な地図の読図や、方位、時差、日本の位置と領域、国内や国家間の結び付きの理解。
地球表面の大陸と海洋の形状、国際機関加盟国や地域ブロック加盟国などを示した様々な地図の読図を通して世界を概観するとともに、世界的視野から日本の位置、日本の領域をめぐる問題にもふれる。
・日常生活の中で見られる様々な地図や地理情報システムの役割や有用性の理解。
市街図、道路地図、鉄道路線図、観光案内図、インターネット上に公開されているデジタル地図などの読図を通して、実際の景観と比較する。
・地理情報を地図や地理情報システムを活用し、情報を収集、読み取り、まとめる技能。
中学校社会科地理的分野で学習した地球儀や地図の活用に関する技能などの既習事項を踏まえ、作業的で具体的な体験を伴う学習によって興味・関心を喚起し、段階的に地図やGISを活用した学習を具体化、深化させる。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・現代世界の地域構成を、位置や範囲などに着目し、主題を設定し、世界的視野から見た日本の位置、国内や国家間の結び付きなどを多面的・多角的に考察し、表現する力。
たとえば、「貿易相手国の変容とその要因」、「物流における輸送手段の選択」などの主題を、GISを活用して地図やグラフで示し、推察したことを文章にまとめたり、発表したりする。
・地図や地理情報システムを、目的や用途、内容、適切な活用の仕方などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
地図やGISが、知識や技能の習得の対象であるだけでなく、それ自体が工夫して活用される、思考力、判断力、表現力等を育む対象であることに触れている。表示したい内容に応じて適切な地図の縮尺、投影法、地図表現の方法を選択することが大切であり、個々の投影法の性格とその名称を結び付けるような学習にならないように留意することが求められている。

B 国際理解と国際協力

(1)生活文化の多様性と国際理解
〔知識〕
・人々の生活文化が地理的環境から影響を受けたり、影響を与えたりして多様性をもつことや、地理的環境の変化によって変容することの理解。
「生活文化」とは地理的環境との関わりにおいて育まれる人間の生活の営みであり、衣食住を中心とする世界の人々の暮らし、慣習や規範、宗教などの生活様式に関わる事柄を意味するが、ここでの学習は国際理解を主なねらいとしており、中学校社会科地理的分野における州ごとの「世界の諸地域」の学習の繰り返しや、「地理探究」における「現代世界の諸地域」の学習と重複しないよう留意することとしている。
・自他の文化を尊重し国際理解を図ることの重要性の理解。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・世界の人々の生活文化について、主題を設定し、多様性や変容の要因などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
主題の設定については、次のような例を示し、世界の生活文化を網羅的に取り扱うのではなく、生徒が考察するにふさわしい特色ある事例を選んで問いを立てて、学習するものとしている。
〈主題の例〉
地理的環境が生活文化に与える影響:「世界各地で様々な食文化が育まれてきたのはなぜだろうか」
生活文化が地理的環境に与える影響:「私たちの先人たちは、身の回りの環境とどのように接し、どのように守ってきたのだろうか」
生活文化と地理的環境との相互の関わりにおける変容:「人々の衣服が、時代や地域を越えて、変化したり変化しなかったりするのはなぜだろうか」


(2)地球的課題と国際協力
〔知識〕
・世界各地で見られる地球環境問題、資源・エネルギー問題、人口・食料問題及び居住・都市問題などの地球的課題の各地で共通する傾向性や課題相互の関連性の理解。
・地球的課題解決には持続可能な社会の実現を目指す各国の取り組みや国際協力が必要であることの理解。
各国が解決に向けて独自に行っている取組とともに、温暖化防止条約などの国際協力を具体的に取り上げ、その意義や必要性について理解する。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・世界各地で見られる地球環境問題、資源・エネルギー問題、人口・食料問題及び居住・都市問題などの地球的課題について、地域の結び付きや持続可能な社会づくりなどに着目して、主題を設定し、現状や要因、解決の方向性などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
主題については、国際連合が定めた持続可能な開発目標(SDGs)などを参考に、生徒自身が「地球的視野で考え、様々な課題を自らの課題として捉え、身近なところから取り組み、持続可能な社会づくりの担い手となる」ことにつながるような、ふさわしい特色ある事例を選んで設定することとして、次のような例を示している。
〈主題の例〉
『食料問題とその解決の方向性』という主題を設定し、次のような問いを立てて多面的・多角的に考察し表現する。
「世界の人々の食生活の変化により、世界の農業はどのように変化しているだろうか」(課題の状況のおおまかな把握)。
「世界各国の食料生産と食料消費にはどのような傾向性があるだろうか」(課題の現状の考察)。
「世界には飽食に悩む人々がいる一方で、なぜ飢餓や栄養不足に悩む人々がいるのだろうか」(課題の要因の考察)。
「食料問題の解決のために各国あるいは国際的にはどのような取組がなされているのだろうか」(課題解決の方向性の考察)。
「食料問題を解決するために、各国あるいは国際的に、今後どのような取組をすべきなのだろうか」(発展的な学習活動)。

C 持続可能な地域づくりと私たち

(1)自然環境と防災
〔知識及び技能〕
・地域の自然環境の特色と自然災害への備えや対応との関わりの理解。
自然災害としては、地震災害、津波災害、風水害、火山災害などを取り上げ、世界の変動帯の分布と地震や津波、火山活動による災害の関係、地形や気候、土地利用と風水害の関係などを理解するとともに、生徒の生活圏で過去に発生した自然災害についても理解する。
・自然災害の規模や頻度、地域性を踏まえた備えや対応の重要性の理解。
・ハザードマップや新旧地形図などをもとに情報を収集し、読み取り、まとめる技能。
地方公共団体の作成したハザードマップや、新旧地形図や土地の状態を示す様々な地理情報から、どのような自然災害がどのような場所で発生しやすいのかを、地形や土地利用の変化に留意してその特色を見いだすことや、洪水や土砂災害などの危険がある場所や避難場所や避難経路の立地と安全性を評価することのできる技能を身に付ける。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・地域性を踏まえた防災について、自然及び社会的条件との関わり、地域の共通点や差異、持続可能な地域づくりなどに着目して、主題を設定し、自然災害への備えや対応などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
地域性を踏まえた防災については、生活圏などを例に、その地域の自然環境の特色と土地利用や開発の歴史を基に、地域で想定される災害の種類や規模、頻度などを踏まえた対策を、自らの課題として考えを深化させる学習展開として、次のような例を示している。
〈主題の例〉
『自然環境と水害の関わり』という主題を設定し、次のような問いを立てて多面的・多角的に考察し表現する。
「世界各地で水害による被害が多いのはどうしてなのだろうか」
「なぜ日本は水害に見舞われる地域が多いのだろうか」
「自分たちのまちを水害から守るにはどうしたらよいのだろうか」
生徒の生活圏で過去に発生した自然災害についての学習指導の展開例としては、①ハザードマップの読図、②様々な資料を使った仮説の検証、③調査結果の整理と対策についての意見交換という手順で、グループごとにまとめて意見を発表したり議論したりするなどの学習活動をあげている。


(2)生活圏の調査と地域の展望
〔知識〕
・生活圏の調査をもとに、地理的な課題の解決に向けた取組や探究する手法などについての理解。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・生活圏の地理的課題について、生活圏内や生活圏外との結び付き、地域の成り立ちや変容、持続可能な地域づくりに着目して、主題を設定し、課題解決に求められる取組などを多面的・多角的に考察し、表現する力。生活圏の課題の解決に向けた取組を考察、構想することで、日本の国土像を探究する「地理探究」での学習とも結び付く。
生活圏の地理的な課題の例としては、「人口の高齢化」、「災害とその対策」、「地域の経済振興」、「地域文化の継承」、「環境の保全」、「国際化と異文化への理解や共生」などをあげ、主題の設定は、「買い物弱者の問題」、「住宅団地の空洞化」など当該生活圏に顕在化する身近な課題、生徒自身が取り組みやすい課題を取り上げることが大切であるとしている。

2.高等学校への影響

①必履修化に伴う教育環境の充実

「地理総合」の必履修化により、地理を専門としない教員が教える機会が増えると思われるが、GISや、生活圏の調査、防災など専門的知識や技能が求められる内容が含まれることでの戸惑いが生じるおそれがあり、日本地理学会や各都道府県の教育委員会などが主催する教員研修の充実が求められる。
また、新学習指導要領の「地理的技能」についての記述にある「地図や統計などの地理情報の収集・分析には、地理情報システムや情報通信ネットワークなどの活用を工夫すること」は現行の学習指導要領を引き継いだものであるが、現行の学習指導要領解説では「コンピュータの活用によって衛星画像や空中写真、デジタル地図、統計などを収集したり、GISから得られる地理情報を利用したりすることができる」としていたものが、新学習指導要領解説では「コンピュータはGISなどから得られる地理情報を地図化したり、グラフ化したりするなどの処理に不可欠のものである」とし、「コンピュータや情報通信ネットワークなど情報手段の活用を積極的に工夫することが望まれる」とあり、施設環境と指導体制の整備が喫緊の課題となる。ただし、「GISでの作業では、生徒の発達段階や学校の施設環境等を踏まえると、国土地理院刊行の地形図などの紙地図を用いた手作業でその基礎を学ぶことも効果的である」として、現実的な対応も示している。

②「主体的・対話的で深い学び」の推進と基礎的知識の学習の両立

「主体的・対話的で深い学び」を実現するには、地図の読図や作図などを主とした作業的で具体的な体験を伴う学習活動や、ICTの活用、さらに社会的事象の地理的な見方・考え方に根ざした追究の視点とそれを生かして解決すべき課題(問い)を設定する活動などが不可欠とされている。一方、地理の学習には歴史的背景や政治的、経済的、生物的、地学的な事象の理解が必要な側面もある。限られた授業時間の中で、「主体的・対話的で深い学び」と基礎的知識の学習を両立させた授業運営は容易ではないと思われる。

③評価方法の変化

「地理総合」では、地図や地理情報システムなどを用いて、その情報を収集、読み取り、まとめる基礎的・基本的な技能を身に付ける学習が重視されているが、それで完結するものではなく、これを活用して事象を説明したり、自分の解釈を加えて論述したり、討論したりする活動が重視されている。このため、持続可能な社会づくりのための課題を発見し、解決策や改善策を考察、構想することに重点を置いた評価が求められるようになると思われる。

3.大学入試への影響

①大学入学共通テストへの影響

「地理総合」が必履修科目となったことで、大学入学共通テストでも入試科目とされる可能性が高いが、必須科目となるのか選択科目となるのかなど、まだ不明である。2単位の教科であることから、センター試験の理科①が「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち2科目選択で理科②1科目と同じ試験時間・得点で扱われているように、「地理総合」と「歴史総合」の2科目で「地理探究」、「日本史探究」、「世界史探究」1科目と同じように扱われる可能性もある。また、高大接続改革で当初話題になった「合教科・科目型」の出題は、現状では実現の可能性は低いようである。

②個別入試への影響

国公立大二次や私立大で、「地理総合」が入試科目として出題されるかどうかは不明である。現行の個別入試では、地理歴史科は4単位のB科目を出題する大学が圧倒的に多く、新教育課程でも3単位の探究科目のみ入試科目に採用する大学が多くなるという見方もある。しかし、高大接続改革では個別入試でも「思考力・判断力・表現力」を問う入試の実施を求めており、一部の大学では「地理総合」、「歴史総合」、「公共」での試行テストによる調査研究*も進められており、いずれ入試科目に採用される可能性もある。また、「地理総合」と「地理探究」を合わせた「地理」として入試科目が設置されることも考えられる。入試科目は継続性が求められることから、地理歴史科では出題範囲を広げることができる総合と探究の融合型での出題が中心となる可能性がある。

③出題形式の変化

「思考力・判断力・表現力」を問う入試問題は、大学入学共通テストでは現行教育課程での実施(2020~2023年度)では、マーク式で出題し記述式は採らないとされている。新教育課程での入試では2017年7月13日に公表された「大学入学共通テスト実施方針」によると、2024年度から「地歴・公民分野や理科分野等でも記述式を導入する方向で検討」と記載されているが、詳細はまだ明らかにされていない。受験者数が圧倒的に多い大学入学共通テストでも、採点などの問題がクリアされれば、記述式の採用の可能性はあると考えられる。また、新学習指導要領で示された「多面的・多角的に考察し、表現する」力は、必ずしも文章によるものに限定されるものではなく、入試問題でも図表表現による解答形式もあり得る。
新学習指導要領解説では、「思考力・判断力・表現力等」を身に付けるための学習方法として、主題を設定し、「なぜ……だろうか」という多面的・多角的な問いを立て、それに対する仮説を設定し、様々な資料を使って仮説を検証するとともに、その結果を整理して発表し、それをもとに議論し、さらに新たな発見や理解の深化へと発展させるプロセスの事例が示されている。入試問題でもこうした学習方法にのっとった形式(たとえば仮説とそれを実証するための資料の是非、分析結果と図表表現の適否など)での出題が工夫される可能性が高い。

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河合塾教育教材開発部 教育開発チーム