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高等学校学習指導要領分析
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英語 高等学校学習指導要領分析

2018(平成30)年3月に告示された高等学校学習指導要領の分析報告

*2018年7月に公開された「高等学校学習指導要領解説」の分析を踏まえ、分析結果を修正・追記しました。(2018年10月)

1.今回の改訂の特徴

【1】育成する資質・能力について

新学習指導要領(外国語)の改訂にあたり、「学力の三要素」を出発点に、育成する「資質・能力」を「三つの柱」として整理している。現行の学習指導要領と新学習指導要領との比較は以下のとおりである。

現行の学習指導要領

「学力の三要素」、すなわち「基本的な知識及び技能」、「これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現その他の能力」、「主体的に学習に取り組む態度」をバランスよく育成し、外国語における「コミュニケーション能力」を養うに際し、中学校における学習の基礎の上に、「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと」、「書くこと」の4技能を総合的に育成するための統合的な指導を行い、生徒のコミュニケーション能力をさらに伸ばす、とある。

新学習指導要領

上記の観点について見直しが行われ、外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ、4技能(「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」)の五つの領域別の言語活動及び複数の領域を結びつけた統合的な活動を通して、総合的に指導する、とある。
「話す」、「書く」などの技能を統合させ、情報や考えなどを的確に理解したり、適切に表現したりするコミュニケーションを図る資質・能力を育成することに一歩踏み込み、「三つの柱」に基づき以下の通り教科の目標を再整理している。

「三つの柱」については以下に整理されている。
(1)何を理解しているか、何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」
(2)理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力」の育成)」
(3)どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性」の涵養)」

「三つの柱」に基づき、再整理された「外国語科(英語)の目標」は以下の通りである。
①英語の音声や語彙、表現、文法、言語の働きなどの理解を深めるとともに、これらの知識を4技能による実際のコミュニケーションにおいて、目的や場面、状況などに応じて適切に活用できる技能を身につけるようにする。
⇒「何を理解しているのか、何ができるか」という「知識及び技能」の習得に関わる目標としてあげられている。

②コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、日常的な話題や社会的な話題について、英語で情報や考えなどの概要や要点、詳細、話し手や聞き手の意図などを的確に理解したり、これらを活用して適切に表現したり伝え合ったりすることができる力を養う。
⇒英語における「理解していること・できることをどう使うか」という「思考力、判断力、表現力などの能力等」の育成に関わる目標としてあげられている。

③英語の背景にある文化に対する理解を深め、聞き手、読み手、話し手、書き手に配慮しながら、主体的、自律的に英語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
⇒英語における「どのように社会や世界と関わり、よりよい人生を送るか」という「学びに向かう力、人間性等」の涵養に関わる目標としてあげられている。

<「英語によるコミュニケーションにおける見方・考え方」について>
「英語によるコミュニケーションにおける見方・考え方」とは英語によるコミュニケーションの中で、どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考していくのかという、物事を捉える視点や考え方であり、「英語で表現し合うため、英語やその背景にある文化を、社会や世界、他者との関わりに着目して捉え、コミュニケーションを行う目的や場面、状況等に応じて、情報を整理しながら考えなどを形成し、再構築すること」である。ポイントとして以下の点が重要であることを示している。
・英語で他者とコミュニケーションを行うには、社会や世界との関わりの中で事象を捉えたり、英語やその背景にある文化を理解するなどして相手に十分配慮したりすること。
・多様な人々との対話の中で、目的や場面、状況等に応じて、既習のものも含めて習得した概念(知識)を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、課題を見いだして解決策を考えたり、身に付けた思考力を発揮させたりすること。
・適切な言語材料を活用し、思考・判断して情報を整理するとともに、自分の考えなどを形成し、再構築すること。
この「見方・考え方」を確かで豊かなものにすることで、学ぶことの意味と自分の生活、人生や社会、世界の在り方を主体的に結び付ける学びが実現され、学校で学ぶ内容が生きて働く力として生まれることになる。さらに、こうした学びの過程を実現することが、外国語教育における主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につながる。

<統合的な言語活動について>
高等学校の外国語科の目標では、外国語による「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」の言語活動とこれらと結び付けた言語活動を通して、情報や考えなどを的確に理解したり適切に表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を育成することを示している。
具体的には、「英語コミュニケーションI」では「聞いたり読んだりしたことを基に、基本的な語句や文を用いて、情報や考え、気持ちなどを論理性に注意して話して伝え合うことができるようにする」、「また、聴き取った内容を話したり書いたりして伝え合う活動」などのように、一つの領域を他の複数の領域と結び付けた統合的な言語活動を例示している。
実際の授業においては、このような例示を参考としながら、指導の過程において生徒が複数の領域を結び付けた統合的な言語活動を行えるようにすることが必要である。

<CEFRを参考にした目標設定>
・国際的な基準であるCEFR(Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ共通参照枠)を参考に、「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」の5つの領域で英語の目標を設定している。新学習指導要領解説(外国語編)には目標については、明確なバンド表記は示されてはいない。ただし「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」では『高等学校卒業段階で求められる「外国語を通じて、情報や考え方などを的確に理解したり適切に伝えたりすることができる力」(必履修科目でCEFRのA2レベル相当、選択科目で同B1レベル相当を想定)』とある。

【2】科目構成と学習内容

新学習指導要領の改訂にあたり重要な点は、小・中・高等学校で一貫した学びを重視していることである。さらに、科目において4技能5領域(「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと」(やり取り・発表)、「書くこと」)としている点もコミュニケーションを図る資質・能力に力点を置いていると言える。現行の学習指導要領と新学習指導要領との比較は以下のとおりである。

現行の学習指導要領

外国語(英語)において、目標は、「英語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養うこと」としている。科目構成はコミュニケーション英語I(3単位)、コミュニケーション英語II(4単位)、コミュニケーション英語III(4単位)、英語表現I(2単位)、英語表現II(4単位)、コミュニケーション英語基礎(2単位)、英語会話(2単位)であり、より系統的な指導ができるように工夫したとある。文法事項については、言語活動と効果的に関連付けて指導することが明確化され、生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことを基本とすることが明記された。

新学習指導要領

各学校段階の学びを接続させるため、育成する資質・能力を「三つの柱」に整理した上で、国際的な基準であるCEFRなどを参考に、小・中・高等学校で一貫した「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」「書くこと」の五つの領域の目標を設定する。

高等学校では、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」を総合的に扱う科目群として「英語コミュニケーションI(3単位)・II(4単位)・III(4単位)」を設定し、Iを共通必履修科目とするとともに、外国語による発信能力を高める科目群として「論理・表現I・II・III(各2単位)」を設定する。
新設された「論理・表現I・II・III(各2単位)」は、①「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」、「書くこと」を中心とした発信力の強化、②スピーチ、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッションなどの言語活動を中心とすること、③聞いたり読んだりして得た情報や考えなどを活用してアウトプットする統合型の言語活動を目的とする。
コミュニケーション英語I・II・IIIが英語コミュニケーションI・II・IIIに、英語表現I・IIが論理・表現I・II・IIIとなり、コミュニケーション英語基礎と英語会話が姿を消す。

【表】科目構成の変遷

英語の科目構成の変遷

新学習指導要領では、新しい時代に必要とする資質・能力を踏まえ教科・科目等の目標や内容の見直しを行っている。「内容の取扱いに当たっての配慮事項」には以下のことが述べられている。

○高等学校

以下に5領域別の言語活動例を示す。
[言語活動例]
英語コミュニケーションI・II・III及び論理・表現I・II・IIIの活動例について特徴的な箇所を河合塾でまとめた。

○英語コミュニケーションI・II・III

英語コミュニケーションIIIの記述内容をベースにして、扱う題材など科目別に特徴的な箇所を(I)(II)(III)を付して記載している。(Iは英語コミュニケーションI、IIは英語コミュニケーションII、IIIは英語コミュニケーションIIIを示している。)

技能

活動例

聞くこと

・日常的な話題について、[(I)対話や放送/(II)対話やスピーチ/(III)インタビューやニュース]などから必要な情報を聞き取り、話の展開や話し手の意図を把握する活動。また、聞き取った内容について、質疑応答をしたり、意見や感想を伝え合ったりする活動。
・社会的な話題について、[(I)対話や説明/(II)説明や討論/(III)複数のニュースや講演]などから話の展開に注意しながら必要な情報を聞き取り、概要や要点、詳細を把握する活動。また、聞き取った内容について、質疑応答をしたり、意見や感想を伝え合ったりする活動。

読むこと

・日常的な話題について、[(I)電子メールやパンフレット/(II)新聞記事や広告/(III)新聞記事や物語]などから必要な情報を読み取り、文章の展開や書き手の意図を把握する活動。また、読み取った内容について、質疑応答をしたり、意見や感想を伝え合ったりする活動。
・社会的な話題について、[(I)論説文や論証文/(II)論証文や報告文/(III)複数の論証文や記録文]などから文章の展開に注意しながら課題を解決するために必要な情報を読み取り、概要や要点、詳細をまとめる活動。また、まとめた内容を基に解決策を考え、話したり書いたりして伝え合う活動。

話すこと(やり取り)

・[(I)身近な出来事や家庭生活/(II)関心のある事柄や学校生活/(III)学校外での生活や地域社会]などの日常的な話題について、情報や考え、気持ちなどを[(I)即興で話し合う/(II)詳しく話して伝え合う/(III)詳しく話して伝え合い、会話を発展させる]活動。また、やり取りした内容を整理して発表したり、文章を書いたりする活動。
・社会的な話題について、[(I)対話や説明/(II)説明や討論/(III)ニュースや講演]などを聞いたり読んだりして、情報や考え、課題の解決策などを明確な理由や根拠とともに詳しく話して伝え合う活動。また、やり取りした内容を踏まえて、自分自身の考えなどを整理して発表したり、文章を書いたりする活動。

話すこと(発表)

・[(I)身近な出来事や家庭生活/(II)関心のある事柄や学校生活/(III)学校外での生活や地域社会]などの日常的な話題について、情報や考え、気持ちなどを明確な理由や根拠とともに詳しく話して伝える活動。また、発表した内容について、質疑応答をしたり、意見や感想を伝え合ったりする活動。
・社会的な話題について、[(I)対話や説明/(II)説明や討論/(III)ニュースや講演]などを聞いたり読んだりして、情報や考え、気持ちなどを明確な理由や根拠とともに詳しく話して伝え合う活動。また、発表した内容について、質疑応答をしたり、意見や感想を伝えあったりする活動。

書くこと

・[(I)身近な出来事や家庭生活/(II)関心のある事柄や学校生活/(III)学校外での生活や地域社会]などの日常的な話題について、情報や考え、気持ちなどを明確な理由や根拠とともに[(I)段落を書いて伝える/(II・III)複数の段落を用いて詳しく書いて伝える]活動。また、書いた内容を読み合い、質疑応答をしたり、意見や感想を伝えあったりする活動。
・社会的な話題について、[(I)対話や説明/(II)説明や討論/(III)ニュースや講演]などを聞いたり読んだりして、情報や考え、気持ちなどを自分自身の立場を明らかにしながら、明確な理由や根拠とともに[(I)段落を書いて伝える/(II・III)複数の段落を用いて詳しく書いて伝える]活動。また、書いた内容を読み合い、質疑応答をしたり、意見や感想を伝えあったりする活動。

○論理・表現I・II・III

論理・表現IIIの記述内容をベースとして、話題や違いが特徴的な箇所を(I)(II)(III)と分けて記載している。(Iは論理・表現I、IIは論理・表現II、IIIは論理・表現IIIを示している。)

技能

「何ができるようにするか」の活動例

話すこと(やり取り)

・[(I)関心のある事柄や学校生活などの日常的な話題について/(II)学校外での生活や地域社会などの日常的な話題について/(III)日常的な話題について、ニュースや新聞記事などの複数の資料を活用して]、情報や考え、気持ちなどを整理して話して伝え合ったり、課題を解決するために話し合ったりする活動。また、やり取りした内容を整理して発表したり、文章を書いたりする活動。
・日常的あるいは社会的な話題について聞いたり読んだりした内容について、[(I)優れている点や改善すべき点を話して伝え合ったり/(II)課題を明確に説明し、その解決策を提案し話し合ったり/(III)質疑応答をしたり、聞き手を説得できるよう、ニュースや新聞記事などの複数の資料を活用して]、意見や主張、課題の解決策などを効果的な理由や根拠とともに詳しく伝え合ったりするディベートやディスカションをする活動。また、やり取りした内容を踏まえて、自分自身の考えなどを、整理して発表したり、文章に書いたりする活動。

話すこと(発表)

・[(I)関心のある事柄や学校生活などの日常的な話題について/(II)学校外での生活や地域社会などの日常的な話題について/(III)日常的な話題について、聞き手を説得することができるよう]、情報や考え、気持ちなどを効果的な理由や根拠とともに詳しく話して伝える活動。また、発表した内容について、質疑応答をしたり、意見や感想を伝え合ったりする活動。
・[(I・II)日常的あるいは社会的な話題に関して聞いたり読んだりした内容について/(III)日常的な話題や社会的な話題について、ニュースや新聞記事などの複数の資料を活用して]、段階的な手順を踏みながら、聞き手を説得することができるよう、意見や主張などを効果的な理由や根拠とともに詳しく伝えるまとまりのある長さのスピーチやプレゼンテーションをする活動。また、発表した内容について、質疑応答をしたり、意見や感想を伝え合ったりする活動。

書くこと

・[(I)関心のある事柄や学校生活などの日常的な話題について/(II)学校外での生活や地域社会などの日常的な話題について/(III)日常的な話題について、読み手を説得することができるよう]、情報や考え、気持ちなどを効果的な理由や根拠とともに複数の段落を用いて詳しく書いて伝える活動。また、書いた内容を読み合い、質疑応答をしたり、意見や感想を伝えあったりする活動。
・[(I・II)日常的あるいは社会的な話題について、聞いたり読んだりした内容について/(III)日常的な話題や社会的な話題について、ニュースや新聞記事などの複数の資料を活用して]、発想から推敲まで段階的な手順を踏みながら、読み手を説得することができるよう、意見や主張などを効果的な理由や根拠とともに複数の段落を用いて詳しく書いて伝える活動。また、書いた内容を読み合い、質疑応答をしたり、意見や感想を伝えあったりする活動。

<語彙数について>

指導する語彙数については、これまでの実績や諸外国における外国語教育の状況などを参考に、実際のコミュニケーションにおいて必要な語彙を中心に以下のように整理された。
・高等学校では、小・中学校で学習した語に1,800~2,500語程度の新語を加えた語。
・英語コミュニケーションIは、小・中学校で学習した語に400~600語程度の新語を加えた語。
・英語コミュニケーションIIは、英語コミュニケーションIに700~950語程度の新語を加えた語。
・英語コミュニケーションIIIは、英語コミュニケーションIIに700~950語程度の新語を加えた語。
ちなみに、小学校で扱う、五つの領域別の目標を達成するために必要な語彙数600~700語程度。中学校では、小学校で学習した語に1,600~1,800語程度の新語を加えた語となる。

(参考)小学校・中学校での新学習指導要領について

2020年度より小学校3、4年次で「外国語活動」が始まり、5、6年次から教科「外国語」が導入される。小学校では、中学年から「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動(年間35単位時間)を導入し、外国語に慣れ親しみ、学習への動機付けを高めた上で、高学年から段階的に文字を「読むこと」「書くこと」を加え、系統性をもたせた指導を行う教科(年間70単位時間)として位置付ける。
現行の小学校学習指導要領解説(外国語活動編)では、「外国語を初めて学習する段階であることを踏まえると、アルファベットなどの文字指導は、外国語の音声に慣れ親しんだ段階で開始するように配慮する必要がある。さらに、発音と綴りとの関係については、中学校学習指導要領により中学段階で扱うものとされており、小学校段階では、取り扱うこととはしてはいない」となっている。また目的については、現行の「外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う」から「日本語と外国語との違いに気付き、これらの知識を理解するとともに、読むこと、書くことに慣れ親しみ、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことによる実際のコミュニケーションにおける活用できる基礎的な技能を身につけるようにする」と改訂される。小学校での英語指導に文字を導入するかどうかは重大な論点であったが、このことから「文字の導入」と「技能の定着」に一歩踏み出した形となっている。

中学校では、互いの考えや気持ちなどを外国語で伝え合う対話的な言語活動を重視し、授業を外国語で行うことを基本とするとともに、具体的な課題等を設定するなどして、学習した語彙・表現などを実際に活用する活動を充実させ、言語活動の実質化を図る。

・小学校からの学びを中学校段階へ接続させる指導
小学校の高学年で指導された簡単な語句及び基本的な表現や、高学年における文字の認識、語順の違いなどへの気付き等に関して指導された内容を、中学校の言語活動において繰り返し活用することによって、生徒が自分の考えなどを表現する際にそれらを活用し、話したり書いたりして表現できるような段階まで確実に定着させることが重要である。

2.高等学校への影響

新学習指導要領では、質の高い学びを実現するための授業改善の視点として、「どのように学ぶか」については以下のように記載されている。

「主体的・対話的で深い学び」が意識された授業

新学習指導要領には、「主体的・対話的で深い学び」について次のように記載されている。

・学びを深めるための主体性・協働性の重視である。「主体性」とは、生徒が学びに積極的に興味・関心をもつように向かわせることである。生徒にこれから学習する内容の見通しを持たせたり、学習を振り返ることで学習内容の定着を図ることである。
・「協働性」とは、多様な考えをもつ他者と直接意見を交わしたり、読書などを通して間接的意見を交わしたりすることも含まれる。
・「学びを深める」とは、英語の特性を基に「見方・考え方」を働かせ、知識・技能を活用し学びを深めることである。

上記の実現にむけてICTツールの活用が示唆されている。

・アクティブ・ラーニングを用いた授業を下支えするツールとしてICTの活用が大きな役割を果たすと言える。課題がある生徒に対しても、状況に合わせて活用すれば効果的であろう。

<文法指導について>

・小学校では、現行の指導要領にある文法事項、たとえば三人称、過去形、動名詞などが扱われるが、文法の用語や用法の指導に偏ることがないよう配慮して、言語活動と効果的に関連付けて指導することとある。これは「文法」を習得するというのではなく、場面や状況の中で「英語のきまり」に気づかせるように指導するという意味である。
・中学校では、小学校で扱った文法事項を意味のある文脈でのコミュニケーションの中で繰り返し触れることを通して活用する。また、中学校で扱う文法事項は、文の種類、文構造、関係代名詞、助動詞、連結詞、準動詞、比較、分詞の修飾関係、受動態、仮定法などである。ただし、文法の用語や用法の区別などの指導が中心とならないよう配慮し、実際に活用できるように、また語順や修飾関係などにおける日本語との違いに留意して指導する。
・高等学校では、実際に英語を使用して自分自身の考えを伝え合うなどの言語活動を行う際は、既習の語句や文構造、文法事項などの学習内容を繰り返し指導し定着を図る。文法事項の指導に当たっては、文法はコミュニケーションを支えるものであることを踏まえ、過度に文法的な正しさのみを強調したり、用語や用法の区別などの指導が中心となったりしないように配慮し、使用する場面や伝えようとする内容と関連付けて整理するなど、実際のコミュニケーションにおいて活用できるように、効果的な指導を工夫する。

<学び直しについて>

・中学校の学び直しと考えられた現行課程の「コミュニケーション英語基礎」が、新学習指導要領からなくなる。このことが意味していることは、小学校から高等学校まで体系的なカリキュラムとなり、既習事項を意味のある文脈でのコミュニケーションの中で繰り返し触れ、学習内容の定着を図ることで、学び直しの代替にしているように思われる。
・中学校からの学びを高等学校段階へ接続させる指導
中学校の学習から本科目における学習への円滑な移行のため、中学校で学習した語句や文構造、文法事項などを繰り返し活用するような言語活動を扱ったり、初期の学習段階で、中学校の基礎的な学習内容を整理したりするなどの工夫をすることが大切である。

<言語活動における国語科との連携>

言語能力の向上を図る観点から、言語活動などにおいて国語科と連携を図り、指導の効果を高めるとともに、日本語と英語の語彙や表現、論理の展開の違いや共通点に気付かせ、その背景にある歴史や文化、習慣などに対する理解が深められるように工夫することが必要である。
たとえば、「自分の考えについてスピーチをしたり、それを聞いて、同意したり、質問したり、論拠を示して反論したりする活動」、「話し合いの目的に応じて結論を得たり、多様な考えを引き出したりするための議論や討論を、他の議論や討論の記録などを参考にしながら行う活動」などについて国語科で学習し、外国語科でのスピーチやディスカッション、ディベートなどの活動に生かすなど、同じ種類の言語活動を通して指導する例が考えられる。

<他教科等で学習した内容との関連付け>

言語活動で扱う題材は、生徒の興味・関心にあったものとし、国語科や地理歴史科、理科など、他の教科等で学習した内容と関連付けるなどして、英語を用いて課題解決を図る力を育成する工夫をすることが必要である。
たとえば、地理歴史との連携については、世界各地で見られる地球環境問題、資源・エネルギー問題、人口・食料問題、居住・都市問題などについて学習した内容と関連する話題について、外国語で取り上げ、討論することが考えられる。また、理科との連携については、生態系のバランスと保全について学習した内容を想起しながら、関連する英語の文章を読むなどの例が考えられる。

3.大学入試への影響

大学入学共通テスト試行調査(プレテスト)英語(読解・リスニング)の問題分析を通して、そこから見えてきたものは、「思考力・判断力」もさらに複数に分類でき、試行調査では「情報収集・分析力」、「論理展開力」について問うてはいるが、「課題発見・構想力」および「表現力」については問うていない。
したがって、個別入試では、「課題発見・構想力」および「表現力」を問うことに焦点が当てられることになろう。それを試験問題として具現化させた場合、英文を読ませそれについて英語で要約したり、英語で論じさせたり、問題解決策を提言させたりするといった問題が考えられる。4技能5領域では、「英文を読んで、英語で書くあるいは話す」、「英文を聴いて、英語で書くあるいは話す」といった複数技能の統合が提案できる。

新学習指導要領では、小学校で英語が教科として本格的に導入されることで、中学そして高等学校の学習内容も大幅に改訂される。これまでの「読み」「書き」中心の英語学習から「聞く」「話す」中心の学習に移行するにつれ、複数技能を統合した学習となり、大学入試に与える影響も大きい。簡単な英語を聞いたり、話したりすることにより力点がおかれるが、その一方で文法学習や英文を解釈する指導が疎かになり、英文を正確に読む力が落ちることが予想されるため、4技能5領域をバランスよく学習することがますます重要になるだろう。

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