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地理探究 地理歴史 | 高等学校学習指導要領分析

2018(平成30)年3月に告示された高等学校学習指導要領の分析報告

*2018年7月に公開された「高等学校学習指導要領解説」の分析を踏まえ、分析結果を修正・追記しました。(2018年10月)

1.今回の改訂の特徴

●必履修科目「地理総合」を基盤に課題を追究

「地理探究」は、新たに必履修となった「地理総合」を履修した後に選択する3単位の科目で、「地理総合」で身に付けた学習の成果を活用し、現実を踏まえての主題追究、より深い理解と課題の探究を目指す教科である。現行教育課程の「地理B」(4単位)を継承するが、「様々な地図と地理的技能」の大項目は「地理総合」へ移行している。また、現行教育課程では「現代世界の地誌的考察」の大項目の中に置かれていた「現代世界と日本」の項目は、この教科のまとめとして位置付けられ、「現代世界におけるこれからの日本の国土像」として、大項目に拡充している。

▼現行教育課程(地理B)と新教育課程(地理総合・地理探究)の学習項目の関係

現行教育課程「地理B」→新教育課程「地理探究」

●地理的事象の規則性や傾向性、地域の構造や変容を考察

「地理探究」は次の三つの大項目から構成される。
A 現代世界の系統地理的考察〔事象からのアプローチ〕
B 現代世界の地誌的考察〔地域からのアプローチ〕
C 現代世界におけるこれからの日本の国土像〔総合的なアプローチ〕

●知識及び技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成

今回の学習指導要領の改訂で重視されているのが、各項目の知識及び技能の習得のみならずそれを活用した思考力、判断力、表現力等の育成である。各項目について、主題を設定し、多面的・多角的に考察し、表現することで、資質・能力を高めることが求められている。

【1】育成する資質・能力について

目標に掲げられているのが、社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせ、課題を追究したり解決したりする活動を通しての資質・能力を育成することである。地理的な見方・考え方は、「社会的事象を、位置や空間的な広がりに着目して捉え、地域の環境条件や地域間の結び付きなどの地域という枠組みの中で、人間の営みと関連付けること」と整理されており、資質・能力としては具体的には次の三つの柱が示されている。この三つの柱は小学校社会科、中学校社会科地理的分野から引き継がれ、より一層精緻化されており、小学校から高等学校までの地理教育の一貫性が意図されている。

①知識及び技能の習得

・世界の空間的な諸事象の規則性、傾向性、地域的特色や課題の理解。
世界の諸事象の規則性や傾向性などを系統的に、世界の諸地域の構造や変容などを地誌的に考察した上で、現代日本に求められる国土像の在り方について構想する科目で、概念などを活用して多面的・多角的に考察したり、地理的な課題の解決に向けて構想したりする学習過程を前提に、世界の空間的な諸事象の規則性、傾向性、地域的特色や課題などを理解する。
・地図や地理情報システムを用い、地理的な情報を調べまとめる技能。
「地理総合」で習得した地理的な技能を、「地理探究」で学ぶ内容に即して、さらに実践的な技能を身に付ける。

②思考力、判断力、表現力等の育成

・地理的事象を系統地理的、地誌的に、多面的・多角的に考察する力。
・地理的な課題の解決に向けて構想する力。
・考察、構想したことを説明したり、議論したりする力。
「地理探究」において養われる思考力、判断力とは、社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせて、地理に関わる事象の意味や意義、特色や相互の関連を、概念などを活用して多面的・多角的に考察する力、地理的な課題を把握して、解決に向けて学習したことを基に複数の立場や意見を踏まえて構想できる力を意味し、社会に見られる課題を「地理的な課題」として考察する際の視点として、次の五項目をあげている。
ア 位置や分布:位置の規則性を見いだし、分布の規則性、傾向性を示す要因を考える。
イ 場所:場所の地域的特色を明らかにし、他の地域との比較により地方的特殊性と一般的共通性を探る。
ウ 人間と自然環境との相互依存関係:自然からの制約とそれに対応した伝統的生活様式、自然環境への働きかけと自然環境の改変を明らかにし、地域の環境開発や環境保全の在り方を考える。
エ 空間的相互依存作用:空間的な関係性の要因を考察することにより、人や資源、財、情報などの不均等な分布を地域的に理解し、地域的特色の形成を明らかにするだけでなく、今後の地域開発や地域間の関係改善への課題を見いだし、地域の将来像を構想する。
オ 地域:分布のパターンからどのような一般的共通性の下、場所の特徴からどのような地域的特殊性をもち、人々の生活と自然環境がどのように関わり、他地域とどのように結び付き、それらがどのように変容しながら、現在の地域が形成されたかを考察する。

③学びに向かう力、人間性等の涵養

・地理的な課題を主体的に探究しようとする態度。
・日本国民としての自覚。
・我が国の国土に対する愛情。
・世界の多様な生活文化を尊重することの大切さについての自覚。

これらは、グローバル化が進み、国際理解の必要性が増している現代において重要な資質・能力であり、地理学習において育成が期待される「学びに向かう力、人間性等」であり、日々の学習の積み重ねによって涵養されるものである。

【2】科目構成と学習内容

「地理探究」は次のA~Cの大項目で構成され、それぞれについて理解すべき知識、身に付けるべき技能とともに、育成すべき能力(思考力・判断力・表現力等)が示されている。系統地理的考察では、「地理B」で「資源・産業」の項目で扱われていた「交通・通信、観光」が、「地理探究」では独立した項目で扱われており、より拡充した内容が求められている。また、「地理B」では地誌的考察の中で扱われていた「現代世界と日本」が、「地理探究」では独立した大項目として扱われている。

A 現代世界の系統地理的考察

(1)自然環境
〔知識〕
・地形、気候、生態系などの諸事象の空間的な規則性、傾向性の理解。
「生態系」については、現行課程「地理B」では「植生」としていたものであるが、地球規模の気候変動や環境変動などを捉えるためには、陸域の植物だけでなく、サンゴなどの海洋生物に加え動物なども含めた生態系の空間的広がりや変化を捉え、その要因を多面的・多角的に考察する必要性が増していることから、環境学的アプローチとして新たに示したものである。
「空間的な規則性、傾向性」については、地震災害、津波災害、風水害、火山災害などの自然災害や気候変動、生態系の破壊や環境変動などの空間的な規則性、傾向性を取り扱う。
・地球環境問題の現状や要因、解決に向けた取組の理解。
地形図や衛星写真、空中写真、景観写真などを活用することで、地形の形成の要因を理解したり、地形分類図などを作成して可視化することで、地形の違いによる自然災害に対する脆弱性と強靱性の関係や要因を理解したりする。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・地形、気候、生態系などの諸事象について、場所の特徴や自然及び社会的条件との関わりなどに着目して、主題を設定し、それらの事象の空間的な規則性、傾向性や、関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
〈主題の例〉
「気候」と「生態系」を関連付ける:「熱帯におけるサンゴ礁の白化がなぜ起きているのだろうか。温帯において熱帯性の海洋生物の繁殖やデング熱などの熱帯性の感染症が報告されるようになったのはなぜなのだろうか」
「生態系」と「地形」を関連付ける:「なぜ、日本では『白砂青松』が大切に守られてきたのだろうか」
「地形」と「気候」を関連付ける:「治水が進んだのに、なぜ風水害が起こるのだろうか」
「地理総合」の「自然環境と防災」における学習を踏まえた取り扱いであり、より深化させて学習させる必要がある。


(2)資源、産業
〔知識〕
・資源・エネルギーや農業、工業などに関わる諸事象の空間的な規則性、傾向性の理解。
主な地下資源の分布、農業地域の分布、工業立地とその変化などについて、その事象が見られる場所の地理的環境の共通点や相違点との関わりなどから捉える。
・資源・エネルギー、食料問題の現状や要因、解決に向けた取組の理解。
資源・エネルギー、食料の生産と消費に関わる問題について、現状や要因、解決に向けた取組などを、世界的視野と地域的視野の両面から学習する。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・資源・エネルギーや農業、工業などに関わる諸事象について、場所の特徴や場所の結び付きなどに着目して、主題を設定し、それらの事象の空間的な規則性、傾向性や、関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
〈主題の例〉
『石油の生産と他のエネルギー資源の動向』:「なぜ、石油の輸出に依存している国が、石油の生産量を調整するのだろうか」
『先進国と発展途上国の農業の違い』:「発展途上国で農業就業人口割合が高く農業を中心産業としているのに食料を輸入している国がある一方で、先進国で農業就業人口割合が低いのに食料を自給している国があるのはなぜだろうか」
『工業の種類と立地の変化』:「なぜ多くの国々で、工業の中心が軽工業から重化学工業へ移り変わっているのだろうか」、「なぜ付加価値の高い工業が先進国だけでなく発展途上国にも立地しているのだろうか」


(3)交通・通信、観光
〔知識〕
・交通・通信網と物流や人の移動に関する運輸、観光に関わる諸事象の空間的な規則性、傾向性の理解。
交通網、通信網の地域による分布、密度の違いや、観光地の立地やそこを訪れる観光客の動向などの規則性、傾向性を取り扱う。
・交通・通信、観光に関わる問題の現状や要因、解決に向けた取組の理解。
公共交通の存廃をめぐる問題などについて、現状と要因、改善や解決に向けた取組などを取り上げる。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・交通・通信網と物流や人の移動に関する運輸、観光に関わる諸事象について、場所の特徴や場所の結び付きなどに着目して、主題を設定し、それらの事象の空間的な規則性、傾向性や、関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
〈主題の例〉
『情報格差(デジタルディバイド)による格差』:「なぜインターネットの普及と利用には地域差があるのだろうか」
『訪日外国人観光客の観光行動の多様化』:「訪日外国人観光客の人数と出身国・地域はどのように変化してきたのだろうか」、「近年、訪日外国人観光客数が増加したのはなぜだろうか」


(4)人口、都市・村落
〔知識〕
・人口、都市・村落に関わる諸事象の空間的な規則性、傾向性の理解。
人口、都市・村落などに関わる事象を、その事象が見られる場所の地理的環境の共通点や相違点との関わりから捉える。
・人口、居住・都市問題の現状や要因、解決に向けた取組の理解。
現代世界に見られる人口の不均衡な分布や年齢構成の不均衡、都市化の進展などから生起する問題などについて、世界的視野といった空間的な広がりに留意して、現状や要因、解決の方向性を含めて理解する。
人口、居住・都市問題について追究する際には、地方自治などについて中学校社会科公民的分野や高等学校公民科での学習内容と連携を図る。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・人口、都市・村落に関わる諸事象について、場所の特徴や場所の結び付きなどに着目して、主題を設定し、それらの事象の空間的な規則性、傾向性や、関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
〈主題の例〉
『都市の変容』:「都市はどのように形成され、どのように変化していくのだろうか」、「なぜ、都市の分布には地域差が見られるのだろうか」、「人々はどのような場所に居住し、どのように都市を発達させてきたのだろうか」、「都市の持続的な発展には、どのような課題があるのだろうか」 
『人口構成の変化による地域への影響』:「人口の増減や人口構成の変化は、地域にどのような影響を及ぼすのだろうか」


(5)生活文化、民族・宗教
〔知識〕
・生活文化、民族・宗教に関わる諸事象の空間的な規則性、傾向性の理解。
生活文化、民族・宗教などに関わる事象を、その事象が見られる場所の地理的環境の共通点や相違点との関わりから捉える。
・民族、領土*問題の現状や要因、解決に向けた取組の理解。
現代世界に見られる民族や領土をめぐる問題は、個々の事象を詳細に捉えるのではなく、世界的視野からどのような地域に生起している傾向があるのか、各地で生起する問題には、どのような要因が共通しているのかなどの側面から理解する。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・生活文化、民族・宗教に関わる諸事象について、場所の特徴や場所の結び付きなどに着目して、主題を設定し、それらの事象の空間的な規則性、傾向性や、関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
〈主題の例〉
『多民族社会の成立と多文化主義』:「なぜカナダの道路標識には複数の言語が使われているのだろうか」

B 現代世界の地誌的考察

(1)現代世界の地域区分
〔知識及び技能〕
・世界や世界の諸地域に関する各種の主題図や資料を基に、地域区分の方法、地域の概念、地域区分の意義の理解。
現代世界が自然、政治、経済、文化などの指標によって様々に地域区分できることに着目し、異なる指標を用いて区分された地域を、見比べたり、重ね合わせたりすることによって、現代世界の構造が多様で多彩な側面をもつことを把握し、地域の概念や地域区分の有効性を理解する。
・各種の主題図や資料を踏まえて地域区分する地理的技能。
地域区分によって現代の世界を大観するとともに、それぞれの地域の地域性を理解できるよう、目的に応じて地域区分を行う技能を身に付ける。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・世界や世界の諸地域の地域区分について、地域の共通点や差異、分布などに着目して、主題を設定し、地域の捉え方などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
〈主題の例〉
『実質地域としての地域の捉え方』:「世界はどのように地域区分されるだろうか」、「ロシア連邦はアジアなのだろうか、それともヨーロッパなのだろうか」、「アメリカ合衆国本土はいくつに地域区分すると地域的な特色がつかみやすくなるだろうか」


(2)現代世界の諸地域
〔知識〕
・現代世界の諸地域に見られる地域的特色や地球的課題の理解。
ここで取り上げる地域は、中学校社会科地理的分野の「世界の諸地域」の学習における主に州を単位とする取り上げ方とは異なり、様々な指標によって地域を区分し、一つの地域区分に基づいて複数の地域を取り上げて、おおよそ世界全体を偏りなく取り上げるとしている。
・地域の結び付き、構造や変容などを地誌的に考察する方法の理解。
地誌的考察としては、現行課程「地理B」と同様に次の三つをあげている。
「取り上げた地域の多様な事象を項目ごとに整理して考察する地誌」
「取り上げた地域の特色ある事象と他の事象を有機的に関連付けて考察する地誌」
「対照的又は類似的な性格の二つの地域を比較して考察する地誌」

〔思考力、判断力、表現力等〕
・現代世界の諸地域について、地域の結び付き、構造や変容などに着目して、主題を設定し、地域的特色や地球的課題などを多面的・多角的に考察し、表現する力。
〈主題の例〉
『欧州連合(EU)経済圏の変容』:「なぜ、ヨーロッパで分裂と統合が見られるのだろうか」

C 現代世界におけるこれからの日本の国土像

(1)持続可能な国土像の探究
〔知識〕
・我が国が抱える地理的な諸課題の解決の方向性や将来の国土の在り方などを構想することの重要性や、探究の手法の理解。
日本が抱える地理的な諸課題の解決の方向性や望ましい国土の在り方について、複数の立場や意見を踏まえて、持続可能な社会づくりのために構想することの重要性を理解し、課題を設定し、情報の収集、整理・分析を行って、立てられた仮説を検証して構想をまとめる主体的な学習方法である探究の手法を理解する。

〔思考力、判断力、表現力等〕
・これからの日本の国土像について、地域の結び付き、構造や変容、持続可能な社会づくりなどに着目して、主題を設定し、我が国が抱える地理的な諸課題の解決の方向性や国土の在り方などを多面的・多角的に探究し、表現する力。
〈主題の例〉
『首都機能の分散』:「持続可能な社会づくりに向けた望ましい行政区画としてどのような設定が考えられるだろうか」
『ツーリズムによる持続可能な社会づくり』:「持続可能な社会づくりに寄与する訪日外国人旅行者向けの観光プランとしてどのようなプランが考えられるだろうか」
『防災・減災と地域の活性化』:「地域の活性化につなげる防災・減災を目指した国土形成とはどのようなものだろうか」

2.高等学校への影響

①「地理総合」の必履修化と「地理探究」

「地理総合」の必履修化により、高校で地理を担当する教員の不足が予想され、系統地理と地誌のより深い考察を進める選択科目である「地理探究」でも、専門的知識とスキルをもつ教員の不足が危惧される。

②「主体的・対話的で深い学び」の推進と基礎的知識の学習の両立

「主体的・対話的で深い学び」を実現するには、地図の読図や作図などを主とした作業的で具体的な体験を伴う学習活動や、ICTの活用、さらに社会的事象の地理的な見方・考え方に根ざした追究の視点とそれを生かして解決すべき課題(問い)を設定する活動などが不可欠とされている。一方、地理の学習には歴史的背景や政治的、経済的、生物的、地学的な事象の理解が必要な側面もある。限られた授業時間の中で、「主体的・対話的で深い学び」と基礎的知識の学習を両立させた授業運営は容易ではないと思われる。

③評価方法の変化

「地理探究」では系統地理的考察と地誌的考察は、「持続可能な国土像の探究」を図る上での前提と位置付けられており、「何を知っているか」より「何ができるようになったか」が重視されている。このため、評価の方法もこれまでのペーパーテストによる総括的評価から、課題の発見、解決の方向性を探究する活動、構想を表現する力など重点を置いた評価が求められるようになると思われる。

3.大学入試への影響

①大学入学共通テストへの影響

「地理総合」が必履修科目となったことで、大学入学共通テストでも入試科目とされる可能性が高いが、必須科目となるのか選択科目となるのかなど、まだ不明である。地理総合と同様に、2単位の教科であることから、センター試験の理科①が「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち2科目選択で理科②1科目と同じ試験時間・得点で扱われているように、「地理総合」と「歴史総合」の2科目で「地理探究」、「日本史探究」、「世界史探究」1科目と同じように扱われる可能性もある。また、高大接続改革で当初話題になった「合教科・科目型」の出題は、現状では実現の可能性は低いようである。

②個別入試への影響

国公立大二次や私立大で、「地理総合」が入試科目として出題されるかどうかは不明である。現行の個別入試では、地理歴史科は4単位のB科目を出題する大学が圧倒的に多く、新教育課程でも3単位の探究科目のみ入試科目に採用する大学が多くなるという見方もある。しかし、高大接続改革では個別入試でも「思考力・判断力・表現力」を問う入試の実施を求めており、一部の大学では「地理総合」、「歴史総合」、「公共」での試行テストによる調査研究*も進められており、いずれ入試科目に採用される可能性もある。また、「地理総合」と「地理探究」を合わせた「地理」として入試科目が設置されることも考えられる。入試科目は継続性が求められることから、地理歴史科では出題範囲を広げることができる総合と探究の融合型での出題が中心となる可能性がある。

③出題形式の変化

「思考力・判断力・表現力」を問う入試問題は、大学入学共通テストでは現行教育課程での実施(2020~2023年度)では、マーク式で出題し記述式は採らないとされている。新教育課程での入試では2017年7月13日に公表された「大学入学共通テスト実施方針」によると、2024年度から「地歴・公民分野や理科分野等でも記述式を導入する方向で検討」と記載されているが、詳細はまだ明らかにされていない。受験者数が圧倒的に多い大学入学共通テストでも、採点などの問題がクリアされれば、記述式の採用の可能性はあると考えられる。また、新学習指導要領で示された「多面的・多角的に考察し、表現する」力は、必ずしも文章によるものに限定されるものではなく、入試問題でも図表表現による解答形式もあり得る。
新学習指導要領解説では、「思考力・判断力・表現力等」を身に付けるための学習方法として、主題を設定し、「なぜ……だろうか」という多面的・多角的な問いを立て、それに対する仮説を設定し、様々な資料を使って仮説を検証するとともに、その結果を整理して発表し、それをもとに議論し、さらに新たな発見や理解の深化へと発展させるプロセスの事例が示されている。入試問題でもこうした学習方法にのっとった形式(たとえば仮説とそれを実証するための資料の是非、分析結果と図表表現の適否など)での出題が工夫される可能性が高い。

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河合塾教育教材開発部 教育開発チーム