「朝起きられない」「昼夜逆転」で受験に焦る方へ。起立性調節障害などの不調と付き合いながら探る、自分だけの学習リズム 心と体のコンディションから考える、これからの進路と大学受験 | 河合塾COSMO
「どうしても朝起きられない」 「昼夜逆転が直らず、世間が動いている時間に寝てしまう」
私たち河合塾コスモに寄せられるご相談の中で、最も多く、そしてご本人とご家族を深く悩ませているのが、この「朝起きられない」という問題です。 起立性調節障害の診断を受けている方もいれば、明確な診断はなくても自律神経の乱れや、気圧・天候による不調を抱えている方もいます。いずれにしても、毎朝アラームが鳴るたびに「今日も起きられなかった」と深い自己嫌悪に陥り、受験に対する焦りばかりが募っていくのは、本当に苦しいものです。
しかし、ここで少しだけ肩の力を抜いてみてください。 体調の波を「やる気しだい」で完全にコントロールする魔法の正解を、私たちも持ち合わせてはいません。だからこそ、「明日から毎朝7時に起きる」という完璧な目標をまずは手放して見るところから試してみませんか。
この記事では、「朝型に戻さなければならない」というプレッシャーを少しだけ横に置き、今の不調や「曖昧さ」を抱えたまま、今より「1.1倍くらいマシな状態」を一緒に探っていくための考え方をお伝えします。 「今は深夜に勉強してもいい」「大学生活と受験期は別物と考えていい」など、少し視点を変えるだけで、心が軽くなることがあります。完璧な正解がないからこそ、あなたにとって一番負担の少ないリズムを、一緒に考えていきましょう。
「朝起きられない」は甘えではない。体調の波と「昼間動けない罪悪感」
朝起きられない日が続くと、周囲からは「生活習慣がだらしない」「受験生としての自覚が足りない」と誤解されがちです。しかし、まずはその誤解から解きほぐしていく必要があります。
起立性調節障害や自律神経の乱れ、天候による不調のリアル
朝、身体を起こすことができないのは「甘え」でも「怠け」でもありません。睡眠リズムの乱れや起立性調節障害、自律神経失調症などは、血圧のコントロールや自律神経の働きという「身体的・生理的なメカニズム」に起因しています。 また、雨の日や気圧が下がるタイミングで頭痛や倦怠感がひどくなるなど、天候によって調子が大きく左右されることも珍しくありません。「頑張りたいのに身体が言うことを聞かない」という状態は、本人の意志の力だけでどうにかできるものではないのです。
「世間が動いている昼間に動けない」という深い罪悪感
この不調がもたらす最も辛い二次被害は、「罪悪感」です。 家族が学校や仕事に出かけていく朝、自分だけがベッドの中にいる。世の中の人々が活発に動いている昼間に、自分は何も生産的なことができていないのではないか…。この「みんなと同じように生きられていない」と感じてしまう罪悪感は、心のエネルギーを削っていきます。そして、その自己嫌悪によるストレスがさらに自律神経を乱し、夜の睡眠の質を下げ、翌朝また起きられないという悪循環を生み出してしまいます。
完璧な「正解(治すこと)」を、まずは手放してみる
私たちは、「こうすれば不調が完全に治ります」「明日から朝型になれます」といった明確な正解を提示することはできません。人間の身体や心は、白黒はっきりと割り切れるものではないからです。 だからこそ、「治さなければ受験できない」というイメージを一度手放してみることをご提案しています。「0か100か」ではなく、「不調はあるけれど、少しだけならテキストを開けるかもしれない」という、グラデーションのような曖昧な状態のまま、今できることを探していく。それが、結果的に心を楽にする第一歩になります。
当面は「昼夜逆転」でもいい。調子の良い時間に動くという選択
「朝起きられない」ことに苦しむ方の中には、「夜から深夜にかけてなら、頭がすっきりして少し動ける」というケースが実は非常に多く見られます。もしそうであれば、その時間を活用すればよいという考え方で進めていくことも有効な戦略です。
夜から深夜にかけての「動ける時間」を肯定してみる
一般的には「受験生は朝型であるべきだ」と言われますが、心が限界を迎えている時にその常識に縛られる必要はありません。 昼間に動けないことで自分を責め続けているのなら、当面は無理に朝型に戻そうとせず、「今は深夜の方が調子が良いのだから、夜に勉強すればいいじゃないか」と割り切ってみるのも一つの方法です。世間の常識から少し外れるかもしれませんが、「全く何もできない」と布団の中で苦しむより、ずっと健康的で建設的な選択だと言えます。
「できた!」という小さな実感が、心の好循環を生み出す
「深夜の2時だけど、英単語を10個覚えられた」「調子の良い夜中に、数学の問題を1問だけ解けた」。 たとえ時間が夜中であっても、この「少しだけできた」という事実が、「今日も一日何もできなかった」という罪悪感を薄めてくれます。この「1.1倍くらいマシになった感覚」が積み重なることで、少しずつ自分へOKを出せるようになり、結果的に心の緊張が解けて、睡眠の質や生活リズムに良い影響をもたらす好循環が生まれることがあります。
白黒つけず、「曖昧さ」と伴走するフェローの存在
「ずっと昼夜逆転のままでいいのか」と不安になるかもしれませんが、一生そのままである必要はありません。ただ、「今は」そのリズムでやってみよう、ということです。 河合塾コスモのスタッフ(フェロー)は、「受験生なら必ず朝から始めましょう」と白黒はっきりしたアドバイスばかりには縛られません。「今は夜型が楽ならそれでやってみよう。少し体調が変わってきたら、また一緒に次のやり方を考えよう」と、変化していく体調の波(曖昧さ)に寄り添い、その時々に合ったペースを一緒に考え続ける伴走者です。
「でも、大学は昼間ですよね?」――受験期と大学生活は別物と考える
昼夜逆転や今の学習リズムを肯定したとき、保護者の方から必ずと言っていいほど挙がるのが「でも、大学の授業は昼間ですよね? 今のままでは、仮に合格できても大学へは通えないのではないでしょうか」という切実な不安です。
受験期の「自宅学習」と、大学という「新しい空間」は全く違う
確かに、今の状態のままでは大学に通えないように思えるかもしれません。しかし、現在の「家という閉じた空間で、先の見えない受験勉強をしている状態」と、「合格して、自分の興味のある学問を新しいキャンパスで学ぶ状態」は、環境も心理状態も全く異なります。 環境が変わり、新しい人間関係や「関心のあること」が見つかっていくと、生活リズムが自然と変化していくケースは少なくありません。今の状態が永遠に続くわけではないからこそ、まずは「今の受験期をどう乗り切るか」と「大学入学後のこと」を切り離して考えてみるのも一つの知恵です。
時間割の自由度。午後からの授業を中心に組み立てることも可能
さらに、高校までとは異なり、大学は「時間割をある程度自分でデザインできる」という大きな特徴があります。 「朝がどうしても苦手」という特性が残っていたとしても、できるだけ1限目(朝9時頃)の授業を入れず、午後からの授業を中心に履修を組むといった工夫が十分に可能です。大学は、自分の体調やリズムに合わせて学び方を調整しやすい、非常に自由度の高い空間でもあります。
事前の準備で安心を。大学の「障がい学生支援室」への接続
それでも不安が残る場合、知っておいていただきたいのが大学の「障がい学生支援室(アクセシビリティセンター等)」や「学生相談室」の存在です。 起立性調節障害や自律神経の不調、その他の発達特性などにより修学上の困難がある学生に対し、多くの大学が「合理的配慮」を提供しています。例えば「体調不良で欠席した場合のレポート代替措置」や「キャンパス内の休息室の利用」など、大学側と事前に相談することで様々な配慮を受けることが可能です。 コスモでは、受験のサポートだけでなく、「志望大学にはどんな支援制度があるか」といった情報提供や、入学前の支援室への相談の仲介も行っています。こうした「いざという時のセーフティネット」があることを知っておくだけでも、ご本人とご家族の心理的な負担は大きく和らぐはずです。
朝を強要しない。河合塾コスモで見つける「今の自分にできること」
体調の波があり、毎日決まった時間に動くことが難しい方にとって、一般的な予備校の厳格なスケジュールは息苦しさを生む原因となってしまうことがあります。
午後からの登校やオンライン受講。体調の波に合わせた学び
河合塾コスモでは、「朝一番から授業を受けなければならない」というルールはありません。自習室は9時から使えますが、授業は11時からのスタートが大半です。 「午前中は体が動かないから、午後からふらっとラウンジに自習に来る」「今日はどうしても家から出られないから、オンラインで授業に参加する」。その日の天候や体調の波に合わせて、柔軟に学びの形を選ぶことができます。
「来られる時に来る」を許容する、ピリピリしない居場所
私たちが何より大切にしているのは、失敗や体調不良を責められない「心理的安全性」です。 「今日は来られなかったね、じゃあ次はどうしようか」と、できたこと・できなかったことを一緒に受け止め、唯一の正解を求めるのではなく、急がずに共に考え続ける。そんな「曖昧さを許容する温かな空気」の中でこそ、少しずつプレッシャーから解放され、自分本来のエネルギーを取り戻していきます。エネルギーが回復しはじめ、生活のサイクルが安定してきたならば、いよいよ「少しペースをあげていこうか」と、志望校へ向けてアクセルを踏み込む相談へ移っていきましょう。
まとめ
「朝起きられない」「昼夜逆転している」。そのことで、自分自身を責める必要はありません。 正解が分からない不調の中で、それでもなんとか前へ進もうとしているあなたを、私たちは心から尊重します。
無理に今の自分を「普通の型」に押し込めるのではなく、深夜の小さな一歩を肯定することから始めてみませんか。 体調の波に揺れながらでも、一緒に考え、少しだけマシなやり方を見つけていく。河合塾コスモは、そんなあなたに寄り添う「ピリピリしない居場所」です。 焦らず、ゆっくりと、今のあなたにできるペースを一緒に探していきましょう。



