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東京都立武蔵高等学校・附属中学校 中村 隆道 先生 教員・受検者の声 | ケンブリッジ英語検定|河合塾ケンブリッジ英語検定事務局

教員・生徒の学びの指針となる、世界基準のアセスメント

東京都立武蔵高等学校・附属中学校
学習進路部主任/英語科主任 中村 隆道 先生

「話して使うこと」を重視して授業内外の活動を設計

――御校の英語教育の特徴について教えてください。
中村先生:「4技能5領域」を意識した英語教育を実践しています。中学1年生からペアワークやグループワークを多く取り入れるなど、英語を多く使う授業を積極的に行っています。
具体的には、「まずは英語を話して使うこと」を重視しています。近年は先生方の工夫によって、「話すこと(発表)」、「話すこと(やりとり)」の領域を育成する言語活動の機会がさらに増えており、生徒は話すことへの抵抗がほとんどなく、積極的に英語でコミュニケーションを取っています。教科書は内容理解そのものを目的とするのではなく、英語で活動するための教材として位置付け、生徒が実際に英語を使いながら学べる授業づくりを重視しています。なお、例えば中学2年生では文化祭で英語劇に取り組むなど、授業以外にも英語を使う機会を設けているのも特徴です。
一方で、生徒の習得が早いため、単に話す活動を繰り返すだけではなく、次のステップにつながる気づきや学びを得られるよう、活動の負荷や内容を常に工夫し続けることが教員には求められています。

――特に伸ばすことが難しいと思う技能などはありますか。
中村先生:技能そのものというよりは、生徒自身が達成感や自信をつけていくことでしょうか。特に、スピーキングとライティングの発信技能について、生徒は「まだ十分ではない」と感じやすい傾向があります。より正確な表現や豊富な語彙を使いたいという意識が高いことからそのように感じるのだと思います。
表現・語彙を増やしていくために、生徒たちはAIを積極的に活用していますが、あくまで学習を支えるツールと認識しているようです。達成感や自信という観点では、教員からの評価や助言の方が生徒にとっては大きいようです。
一方、リーディングは教材や指導法が充実しており、リスニングも音声教材やネイティブ音源など豊富な学習素材を活用できるため、発信技能に比べると指導しやすい部分もあるかもしれません。

――東京都では全都立学校でAI活用が推進されていますが、御校の英語教育ではどのように活用していますか。
中村先生:学校全体で英語教育へのAI活用に取り組んでおり、授業づくりの可能性が大きく広がったと感じています。AIによる添削・フィードバックのほか、教材作成に役立てています。
例えば、リスニング教材はこれまで教員が多くの時間と手間をかけて作成していました。AIを使えばスクリプト作成においてもヒントを得られますし、Englishes(多様な英語)を反映した音声生成を短時間で行えますので、授業に合わせたオリジナル教材を手軽に準備できるようになりました。直近の校内行事での出来事を踏まえた内容にするなど、生徒の興味関心を高める工夫もしています。
他にも、ディベートのための教材作成でもAIを活用しています。最新のニュースや社会問題を題材に、賛成・反対双方の意見を盛り込んだ会話や動画を効率的に作成しています。従来のように適切な動画や資料を探す手間が大幅に減り、授業の目的に合った教材を柔軟に用意できるようになりました。
AIは教員がこれまで実現したかった授業を形にするための強力な支援ツールであり、生徒の学習意欲の向上にもつながっていると感じています。

国際基準に基づいた英語力を育て、到達度を測ることを重視

――ケンブリッジ英語検定を導入した経緯を教えてください。
中村先生:当時所属していた都立日比谷高校が2016年にケンブリッジ英語検定を導入しました。教育委員会からの支援を受けての導入でしたが、受検料や手続きの面で運営側との調整を通じて日本の学校でも導入しやすい環境が整ったことが、採用の大きな理由となりました。
CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)との関係も一つの要素でした。CEFRは、異なる言語や文化をもつ人々の相互理解と共生を目指すヨーロッパの言語教育政策を背景に、言語を使って「何ができるか」を示す国際的な言語能力の参照枠です。ケンブリッジ英語検定は、このCEFRの開発・研究を担ってきたケンブリッジ大学の評価機関が設計しているため、CEFRの理念を反映した試験だと考えています。
生徒には単に資格を取得するのではなく、国際的な基準に基づいた英語力とは何か、について考えてもらいたいと思います。世界で通用する言語能力の基準に触れ、例えば「CEFRのB2レベルとはどのような力なのか」を実感してほしいという思いがあります。

――御校での導入にあたって、校内の調整や事前の対策はどのように進められましたか。
中村先生:これまでの検定の考え方は、どうしても「合否」という枠組みにとらわれてしまう傾向があり、「試験対策」が通用しない、英語力の到達度を測るアセスメントとしての位置づけを共有するまでにやや時間がかかりました。
また、生徒にとってリスニングでは多様な英語のアクセントに慣れる必要があったり、ネイティブの外部試験官によるスピーキング試験に当初は戸惑いもあったようです。そういったことから、試験の構成や形式については事前に丁寧に説明しました。特にスピーキング試験は、従来の面接形式とは異なり、受検者同士で意見交換をする形式のため、生徒がイメージしやすいように実際の試験動画を見てもらっていました。さまざまな国の受検者が英語でやり取りしている様子を見ることも、英語を聞く機会や国際的な英語使用のイメージを持つことにつながっています。
このほか、ケンブリッジ英語検定の受検前に特別な試験対策は行っていませんでしたが、実際に受検した生徒からは「楽しかった」という声もあり、校内の試験への印象も前向きに変化したように思います。

――ケンブリッジ英語検定を取り入れることで生まれた変化はありますか。
中村先生:「到達度」という考え方が少しずつ定着しているように思います。単に点数を取りたいという姿勢でなく、どのくらい自分が成長したのかという考え方です。中には、「SpeakingはよかったがListeningには課題があった」など各技能のバランスについて自ら考える生徒も出てきました。また、ケンブリッジ英語検定のスピーキングではペアで意見交換を行う力や積極的にコミュニケーションを図る姿勢そのものが評価されますので、「普段の授業のペアワークが試験の準備になる」という説明がしやすく、授業でも話す活動を取り入れやすくなった部分もあります。
さらに、校内でCEFRを軸にした共通言語ができてきたように感じます。教員間ではCEFRの基準をもとに改善点を考える対話が生まれていますし、生徒に対しても授業内で「B2レベルならどの程度の語彙や表現力が必要か」といった具体的な目標を共有するなど、生徒自身が課題を把握するための指標として活用しています。結果返却後に生徒から「B2を取得できた」と嬉しそうに報告があるなど、英語学習のモチベーション向上につながっていると考えています。


2026年7月インタビュー

[学校メモ]

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