サイエンス講座案内 講座案内・時間割 | K会 夏期講習
各講座の詳しい内容をご紹介します。
【教科横断】形式言語理論と数理言語学
受講目安
興味のある中高生の方であればどなたでもご受講いただけます。
講座内容
「言語とは何か?」という深遠な問いは、数千年にわたってさまざまな分野で議論が交わされてきました。その中で特に注目に値するのが20世紀に主に情報科学の分野で花開いた形式言語理論です。形式言語理論は、言語構造を形式文法と呼ばれる数学的モデルに基づいて研究する理論であり、1950年代のノーム・チョムスキーによる生成文法の研究に端を発します。生成文法の1つである正則言語(第2講)の研究は、ソフトウェアで幅広く使われている正則表現(=正規表現)という文字列表現の解析の基礎になっています。また、生成文法の中の文脈自由文法(第3・4講)に関する研究から、コンパイラ設計における構文解析の手法が考案されました。形式言語理論は、このようにプログラミング言語のような人工言語の解析に重要な役割を果たしているだけでなく、オートマトン(第1講)という計算モデルを通して「計算とは何か?」という重要な問いにも深くつながっています。本講座では、単に理論展開を説明するだけでなく、情報処理技術者試験や大学院入試問題などの具体的な演習問題に取り組むことで、手を動かしながら形式言語理論の奥深さを実感していただきます。
テーマ
第1講 有限オートマトン
第2講 正則言語
第3講 文脈自由文法
第4講 文脈自由言語
時間割・担当講師
- 日程
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8月19日(火)~8月22日(金)
- 時間
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14:00~17:10
- 講師名
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熊谷 勇輝
【情報】Pythonではじめるプログラミング入門
受講目安
興味のある中高生の方であればどなたでもご受講いただけます。
講座内容
本講座では、Pythonというプログラミング言語を用いて、プログラミングの基本的な技法を学習します。今回使用するPythonという言語は、インターネット上で動作するWebアプリケーションや画像加工、AI(機械学習)、科学計算など、幅広い分野で実際に使われている言語です。コンピュータはプログラムに書かれた命令をそのとおりに実行しますが、その中身は「足し算する」「数を覚える」「繰り返す」といった単純なものからできています。本講座では、このような命令の書き方を練習問題を交えながら重点的に勉強します。最後には覚えた知識を組み合わせて、「地名を入力すると天気予報を表示する」「数学の方程式を入力するとその解を表示する」など、オリジナルのアプリケーション作成に挑戦します。制作したプログラムは持ち帰りが可能です。授業中は講師が巡回しながら一人ひとり丁寧に指導しますので、初めての方でも安心してご受講いただけます。K会の情報講座を通じて、さまざまな知識や技法を習得し、今後のパソコン学習や学校生活にお役立てください(パソコンは一人一台ご用意しています)。なお、本講座は、2学期レギュラー講座(IS1)への入門講座としてもお勧めです。
テーマ
第1講 プログラミング入門・if文
第2講 for文・リスト
第3講 関数・モジュール
第4講 アプリケーション作り
- 1学期レギュラー講座(IS1)とテキストの一部が重複します。
- 2025年度春期講習と同一内容です
時間割・担当講師
- 日程
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7月29日(火)~8月1日(金)
- 時間
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14:00~17:10
- 講師名
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須藤 慈英
【情報】サイバーセキュリティ入門~脆弱性を攻略しよう~
受講目安
Pythonの基本的な文法(if、for、while文や関数など)と、中学1年生程度の数学を理解している方を対象とします。
講座内容
コンピュータやインターネットのような情報技術は、現代社会を支える重要な技術の一つです。たとえば、他者と写真やメッセージを交換できるSNS、音楽や動画を手軽に楽しめるストリーミングサービスなどは私たちの生活に欠かせないものとなりました。一方で、これらのシステムが普及するにつれ、サイバー攻撃によって財産や個人情報を奪われる危険性が高まってきています。このサイバー攻撃からシステムを防御するために活躍しているのが、システムの欠陥(脆弱性)の発見や対処の専門家、いわゆる「ホワイトハッカー」です。本講座では、このホワイトハッカーの基礎知識として、サイバーセキュリティを学びます。「Webサイト」「暗号」「ソフトウェア」の3つのテーマのもとで、脆弱性を埋め込んだWebサイトやプログラムに触れ、実際に脆弱性を発見する経験を積みましょう。講座の最終日には、これまでに習得した知識をもとにCTFと呼ばれるセキュリティコンテストの本格的な問題に挑みます。情報技術が必要不可欠な現代で、サイバーセキュリティは間違いなく社会で必要とされる重要な技術の一つです。近年では、脆弱性への対処を専門とする企業やサービスがいくつも登場しており、社会の注目度の高さもうかがえます。本講座でサイバーセキュリティを学び、ホワイトハッカーについての理解を深めてみませんか。
テーマ
第1講 Web サイトの脆弱性を攻略する
第2講 暗号の脆弱性を攻略する
第3講 ソフトウェアの脆弱性を攻略する
第4講 CTF の問題にチャレンジ!
時間割・担当講師
- 日程
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8月12日(火)~8月15日(金)
- 時間
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14:00~17:10
- 講師名
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瀬戸 友暁
【情報】情報オリンピック予選問題に挑戦!
受講目安
if文、for文、配列の基礎知識を何らかのプログラミング言語で知っている方を対象とします。
講座内容
日本情報オリンピックとは、中高生向けのプログラミングコンテストのうちの1つで、国際情報オリンピックという世界大会の日本代表を決める選抜の役割を担っています。このコンテストで競われるのは、出題された問題の答えを効率的に求めるプログラムを実装する力です。つまり、情報オリンピックにおいては効率的な解き方を思いつく力とプログラムを書く力の両方が必要となります。これらはどちらも、自分ひとりの力だけで習得するのは難しく、先人の例を見ながら学ぶのが一番の近道です。そこで、本講座ではまず情報オリンピックの本選でも使われているC++という言語の初歩を学びます。実はこの時点で、予選の最初の問題は解けてしまいます。次に、コンテストでよく用いるさまざまなプログラムの書き方を学びながら、実際の問題と見比べていきます。最後に、予選においてよく出題されている動的計画法という考え方について学びます。講座ではこのような講義と並行して、実際の問題に対してその解答プログラムを作成する演習を行います。本講座が情報オリンピックを受験するきっかけになれば幸いです。
テーマ
第1講 C++の初歩
第2講 基本的なアルゴリズム(1)
第3講 基本的なアルゴリズム(2)
第4講 動的計画法
時間割・担当講師
- 日程
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8月5日(火)~8月8日(金)
- 時間
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14:00~17:10
- 講師名
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揚妻 慶斗
【物理】物理数学
受講目安
微分・積分についての基礎知識を必要とします。
講座内容
物理学は数学を言語として自然現象を記述する学問です。たとえばニュートンの運動方程式に代表される古典力学は、微積分を用いて記述することができます。一方で、物理学の発展が数学の発展に寄与することも多く、たとえばフーリエ変換は物理現象を記述する際に用いられた計算手法が後に数学的に整備されたという歴史を持ちます。このような物理と数学の相互作用は現代に至るまで続いており、物理学の理解には数学の知識が不可欠です。本講座では、物理で頻繁に用いられる数学のうち特に重要なものを、演習も交えながらじっくりと学んでいきます。数学的な厳密性よりも「物理で使える数学」に重点を置き、微積分学、線形代数学、ベクトル解析を扱います。最終的には現代物理のいくつかのトピックを概観することが目標です。本講座で学ぶ内容はK会の2学期以降の物理レギュラー講座で用いる数学的基礎に対応しています。K会生はもちろん、より深く物理を学びたい方まで、多くの受講生の方をお待ちしています。
テーマ
第1講 多変数の微分法と積分法
第2講 微分方程式 / 行列
第3講 ベクトル解析
第4講 現代物理学との関連
時間割・担当講師
- 日程
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8月5日(火)~8月8日(金)
- 時間
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17:30~20:40
- 講師名
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青柳 俊吾
【化学】放射化学・核化学入門~放射性元素・核分裂・核融合・元素合成~
受講目安
興味のある中高生の方であればどなたでもご受講いただけます。
講座内容
みなさんは放射性元素をご存知でしょうか。日本では原子爆弾や福島第一原子力発電所事故のイメージが強く危険な印象を持たれているかもしれませんが、実は私たちの体にもたくさん含まれている、ごくありふれたものです。また、放射性元素がもつ桁違いのエネルギーは、うまく利用すれば私たちの生活に豊かさをもたらす非常に頼もしいツールとなります。たとえば私たちの暮らしが原子力発電に支えられているのは言わずもがな、がん細胞を死に至らしめる放射線治療や、化石や鉱物に含まれる放射性同位体の量を調べて年代をわりだす放射性炭素年代測定などがあげられます。このように放射性元素は化学だけでなく、物理学や生物学、そして地学においても不可欠な存在です。本講座で扱う「素粒子物理学の導入」「生体内に放射性元素を入れる」「星のなかでどうやっていろいろな元素が作られているか」といった一見化学とは関係がないようなトピックもすべて放射化学・核化学につながる話題です。化学に興味のある方はもちろん、ほかの分野に興味のあるみなさんにとっても有意義な内容となっています。本講座では、化学的なアプローチで放射性元素をひもときますが、典型的な化学の知識はほとんど不必要です。たくさんの方のご受講をお待ちしております。
テーマ
第1講 化学の"いろは"・放射性元素
第2講 核分裂・核融合・元素合成
第3講 星・年代測定・生体内同位体標識
第4講 講師のお気に入りトピック
時間割・担当講師
- 日程
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8月12日(火)~8月15日(金)
- 時間
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17:30~20:40
- 講師名
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吉田 悠真
【生物】病理学入門 ~生物学オリンピックと医師国家試験を題材として~
受講目安
興味のある中高生の方であればどなたでもご受講いただけます。
講座内容
日本人の死因第1位は「悪性新生物<腫瘍>」すなわち「がん」であり、一生のうちにがんと診断される確率は2人に1人と言われています。この事実は、がんは誰にとっても他人事ではないことを示しています。実際、中学校・高等学校の学習指導要領(平成29・30年改訂)では「がんについても取り扱う」ことが新たに明記され、「がんは、異常な細胞であるがん細胞が増殖する疾病であり、その要因には不適切な生活習慣をはじめさまざまなものがあることを理解できるようにする」と解説されています。このように(がんに限らず)疾患が「なぜ」発生し「どのように」進展するのかを研究するのが、病理学(pathology)です。本講座では、生物学オリンピックや医師国家試験の問題を題材として、病理学の総論を学んでいきます。具体的な演習を通して、基礎的な生命科学の知見(細胞・遺伝・免疫)がどのように病理学や臨床医学へと橋渡しされるのかを体感していただきます。めざましい発展を遂げてきた生物学・医学の世界に触れ、その人類の叡智をぜひこの4日間で体験してみませんか。
テーマ
第1講 細胞傷害と細胞死
第2講 遺伝性疾患
第3講 免疫系疾患
第4講 腫瘍(新生物)
時間割・担当講師
- 日程
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8月12日(火)~8月15日(金)
- 時間
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14:00~17:10
- 講師名
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熊谷 勇輝
【地理】地理オリンピック国内予選問題研究会2025 ~総合演習と地理の英語~
※過年度とは問題が異なるため、再受講が可能です。
受講目安
系統地理について一通り学習してくることをお勧めします。
講座内容
皆さんは「地理オリンピック」をご存知でしょうか?地理オリンピックでは、一次予選のマルチメディアテスト、二次予選の記述試験を経て、国内のメダル受賞者が決定します。本講座では一次予選・二次予選への対策として、問題演習と解説を行います。講座前半で扱う「マルチメディアテスト」は、与えられた図や表を解釈し、正しい答えを導き出すテストです。時間の制限もあり、素早さと正確さの両立が求められます。講座後半で扱う「記述試験」は、知識や所与のデータを用い、与えられた事象を分析したり、ある課題に対する解決策を見出したりするテストです。このテストでは、思考力や表現力が重視されます。先にも述べた通り、「地理オリンピック」では、基本的な知識の存在を前提としつつ、その知識を元にした「思考力」や思考の産物を解答に落とし込む「表現力」が問われます。受講者は、知識の確認として、系統地理について一通り学習してくることをお勧めします。国際地理オリンピックはすべて英語で出題・解答が行われます。国内予選も一部英語問題です。英語問題を解く際には、英語でいかに表現するかが高得点への鍵となります。本講座でも英語問題を扱いますので、英和・和英辞書をご持参ください。
テーマ
第1講 一次予選「マルチメディアテスト」(日本語)
第2講 一次予選「マルチメディアテスト」(英語)
第3講 二次予選「記述試験」(日本語)
第4講 二次予選「記述試験」(英語)
時間割・担当講師
- 日程
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8月19日(火)~8月22日(金)
- 時間
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17:30~20:40
- 講師名
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中尾 俊介
【地学】地質学 ~『地面』の下から過去の地球を知る~
受講目安
興味のある中高生の方であればどなたでもご受講いただけます。
講座内容
2020年1月15日、国際地質科学連合により千葉県・房総半島のとある地層を基に「チバニアン」という地質年代が命名されました。日本の地名が地質年代に採用されることは初めてのことであり、皆さんの記憶に新しいかもしれません。ではなぜ、『地面』から年代が決まるのでしょうか。『地面』は決して深部までずっと土が続くものではありません。『地面』を掘っていくと石が出てきますが、これはその下にある岩石が風化したものなのです。また、『地面』は静的なものではありません。長い時間スケールで見ると、『地面』は地球のダイナミクスによって絶えず変化しているのです。河川が上流の山から土砂を持ってきて、既存の『地面』の上に土砂が積もることもあります。火山の噴火により溶岩に表面が覆われたり、火山灰が積もることもあるのです。逆に風化などの作用を受け地層が削り取られることもありますし、地球内部の熱が地層に影響を与えることもあります。今回の授業では、このような地層とその作用について学びます。
テーマ
第1講 (前半)地層の基礎 (後半)さまざまな地層の構成要素
第2講 (前半)地層に加わるさまざまな作用 (後半)地質調査法の基礎
時間割・担当講師
- 日程
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8月12日(火)・8月13日(水)
- 時間
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17:30~20:40
- 講師名
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佐藤 弘康
【地学】古生物学 ~大昔の生き物を科学的に見てみよう~
受講目安
興味のある中高生の方であればどなたでもご受講いただけます。
講座内容
皆さんは、化石を見たことがあるでしょうか?迫力のある恐竜の化石や、古代の奇妙な生物の化石を博物館や図鑑などで見たことがある人も多いことでしょう。化石の発掘体験に参加した経験のある方もいらっしゃるかもしれません。化石に刻まれているのは、太古の生物の姿や痕跡です。確かに太古の生物には現実離れしたものが多いですが、彼らは想像上の生き物とは異なり、実際に過去の地球に生息していた生物です。これら太古の生物が進化することで今の地球が作り出されているのです。個々の化石や古生物について知っているという方は多いかと思いますが、それらの生物を体系的に理解しているという人は案外少ないのかもしれません。本講座で、化石から推定される古代の生物をアカデミックな観点から学び直してみませんか。なお、古生物について理解するためには、現在の生物への理解も必要となります。今回の授業では現在の生物への理解を完全にした後、太古の昔に地球上に生息していた生物に焦点を当ててその進化の歴史をひもといていきます。
テーマ
第1講 (前半)現在の生物への理解を深める (後半)進化の概観 / 先カンブリア時代
第2講 (前半)古生代 (後半)中生代・新生代
時間割・担当講師
- 日程
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8月14日(木)・8月15日(金)
- 時間
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17:30~20:40
- 講師名
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佐藤 弘康
【言語学】言語学オリンピックで入門する音韻論
受講目安
興味のある中高生の方であればどなたでもご受講いただけます。
講座内容
皆さんは「言語学オリンピック」をご存知でしょうか。「いくつ言語を話せればいいの?」「どうやって順位づけするの?」と思われる方も多いでしょう。国際言語学オリンピック委員会は「言語学や言語に関する知識は必要なく、最も難しい問題であっても論理的思考力や忍耐強い努力、常識に囚われない発想力があれば解ける」と述べています。日本委員会でも「問題は実際の言語研究で行われる分析に似ていて、『初めて見る言語のデータから隠れた法則を解き明かす』というものです。謎解きやパズルのように、分析力、情報処理能力、論理的思考、試行錯誤する力が求められます。」としています。この講義では、前提知識をまったく要求せずに言語学オリンピックの問題を検討することで、音声学や音韻論の現代的な深い理解をめざし、受講後にはTrubetzkoy の【Grundzüge der Phonologie】やChomsky &Halle の【The Sound Pattern of English】などの古典的名著を独力で読みこなせるような高い実力を養成します。言語学者が数千年にわたって構築した音の理論にぜひ没頭してみませんか。
テーマ
第1講 調音音声学
第2講 構造主義音韻論
第3講 生成音韻論
第4講 最適性理論
★JOLでは、たとえばこんな問題に挑戦します
国際言語学オリンピック(IOL)とは…
日本言語学オリンピック(JOL)とは…
時間割・担当講師
- 日程
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8月12日(火)~8月15日(金)
- 時間
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17:30~20:40
- 講師名
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岡本 沙紀
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