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2022.11.4公開

医学科志望者は前年比118%と増加している現実

「センター試験」時代のように「過去問をやっておいたら何とかなるかもしれない」という甘い考えでは、もう対応は無理かもしれません。

2023年度入試予想と模試分析

季節が秋らしくなり、いよいよ入試の近づきを感じさせる季節になりました。この時期は、河合塾が高校の先生方に向けて、次年度の入試動向をご報告する「研究会」の季節でもあります。
この時期の研究会では、志望動向を河合塾の「第2回全統共通テスト模試」と「第2回全統記述模試」をもとに分析・報告しています。模試の受験者数は、前者がおよそ33万人、後者は22万人で、予備校主催の模試では日本最大規模のものです。河合塾の現役・高卒の塾生とも必須受験となっていますので、塾生指導上もなくてはならない模試だといえます。
模試のデータをもとに分析すれば、次年度の概ねの志望動向を分析をすることができます。1年のちょうど中間時期にあるこれらの模試は、今後の受験大学を検討している受験生にとって次年度の志望大学を決定する上で、大きな意味を持つことでしょう。
本来なら高校の先生方に向けた研究会や、講演会などでレポートするべき内容ですが、せっかくの研究成果ですから、ここで少しだけかいつまんで、次年度の医学科入試動向についてお伝えすることにいたします。

医学科志望者は増加しているという現実

まずは「第2回全統共通テスト模試」で、医学科を含む「国公立大前期試験全体」の志望者を見てみましょう。すると、志望者は「前年比103%」になっていますから、「国公立大前期試験全体」の志望者はやや増加傾向です。ただし、昨年は台風の影響で九州や中国地区の受験者が減少しているため、今年度はその反動で同地区の受験者数が増加したことを考えると、「前年比103%」は自然増程度ということができます。また、当然ながら、九州や中国地区所在の大学の志望者がある程度増加していても、自然な成り行きということができます。
しかし「国公立大医学科志望者の増加率」は「国公立大前期試験全体」の「前年比103%」に比べて圧倒的に高く、なんと「前年比118%」となっており、薬学部の「前年比114%」と並んで多くの志望者が集中しています。これは、定員の多い「理学部」や「工学部」が「前年比101%」程度にとどまっていることと、完全に真逆の状況です。理系の受験生は、「学部系統別志望」では「医学科」と「薬学部」に大きな関心を寄せているということができます。

<グラフ1>

2022第2回全統共通テスト模試 国公立大 前期志望者前年比 2022第2回全統共通テスト模試 国公立大 前期志望者前年比

次に「第2回全統記述模試」で、医学科を含む「私立大学一般入試全体」の志望者を見てみます。すると、志望者は「前年比99%」になっていますから、「私立大学一般入試全体」の志望者はほぼ前年並みの傾向といえます。
しかし、「私立大医学科志望者の増加率」を見ると「前年比111%」になっており、前述の国公立大医学科前期の志望動向と同様に医学科への集中が圧倒的に高くなっています。

<グラフ2>

2022第2回全統記述模試 私立大 一般方式志望者前年比 2022第2回全統記述模試 私立大 一般方式志望者前年比

一般に入試は「社会情勢の影響」を受けるのですが、その影響が大学志望動向に反映されるようになるには、およそ2年程度かかります。これは、文理選択を含めた「純粋な進路選択」を自分の意思で一から自由にすることができるのは、その年に高校に入学したばかりの人からになるためです。つまり、社会情勢を明確に反映する傾向を示すのは、その年に「高校に入学した高校1生」が「高3生になる2年後」になります。2008年のリーマンショックの際にも、理系人気の高まりが明確に見えるようになるのは2年後の2010年の頃でした。
今回、比較的景気が上向きだった時代から、2020年1月末に新型コロナ社会になったことで、ちょうど高校に入学した人たちが高3生になったこの2022年の模試において、純粋にその影響が志望動向に影響しているのではないかと思われます。結果的に「医学科」や「薬学部」志望の高まりは、そういった社会情勢に対応した受験生の志向なのではないでしょうか。コロナ前の2019年の志望者数に比べれば医学科の志望者数は完全にV字回復しているとは言えませんが、少なくとも2020年以降に順調に志望者数を伸ばしており、「18歳人口が減少したのだから楽になるだろう」という安易な目論見は、医学科入試においては必ずしも当たっていないというべきでしょう。

高得点が取れない「共通テスト」にどう対応するか

ほんの何年か前までは、「医学科受験生ならセンター試験で9割は得点できなければ合格できない」などといわれていました。しかし、「共通テスト」になって以降、状況は変化しつつあります。理由は、「センター試験」と「共通テスト」では問題作成の傾向が変わったためです。
問題考察や計算などに時間の資源をかなり使わなければならなくなった「共通テスト」は、問題分量と時間のバランスが保たれていた「センター試験」とは違い、どうしても高得点を出せない構造になっています。実施された初年こそ、出題の手加減があって平均点が高くなりましたが、受験生は概ね平均点の前後に集中する傾向になり、「センター試験」時代のように高得点を出していた受験生は一気に減少しました。さらに、今年の「共通テスト」の総合平均点が、「センター試験」と「共通テスト」を全て合わせた歴史の中で、史上最低となったことは記憶に新しいところです。
河合塾の模試はその傾向を反映させた問題構造になっているため、「全統共通テスト模試」はそれぞれの時代の策問傾向を反映させたフレームで設計されています。すると、模試とはいえ、受験生は「共通テスト」の形式になると、やはり得点がなかなか出せなくなってきていることが明確にわかります。参考に「第2回全統マーク模試〜共通テスト模試」に至る模試の平均点(900点満点)の推移を下記の<グラフ3>にお示しします。

<グラフ3>

第2回共通テスト模試平均点(900点満点) 第2回共通テスト模試平均点(900点満点)

結果的に「共通テスト」でのボーダーラインはかなり低めに設定することになってしまいますが、本試験でもこの傾向は変わらないのではないかと思います。ただし、ボーダーラインが低くなったのは決して「医学科受験が易化した」のではなく、「共通テスト」が得点できない試験になっていることが大きいといえます。

<表1>

次年度入試での国公立大前期試験の「難度マトリクス」 次年度入試での国公立大前期試験の「難度マトリクス」

<表1>に次年度入試での国公立大前期試験の「難度マトリクス」を示します。縦軸がボーダー得点率、横軸が二次偏差値となっています。つまり、大学の位置は、グラフの右上ほど難度が高く、左下ほど低いということになります。2年ほど前のマトリクスと比較すると、左右の位置では偏差値62.5の大学がやや増加しているとはいえますが、それよりも縦軸の位置が10%も下がっていることの方が注目です。

なお、話の流れから、私立大学のランク表も<表2>にお示ししておきましょう。これを見ても、私立大の医学科ランクも国公立大に負けず劣らず、まだまだ高偏差値になっているといえます。

<表2>

私立大学のランク表 私立大学のランク表

これからの受験生の課題は、国公立大入試を考えれば「共通テスト」の得点が出せないことに「どう対応するか」ということでしょう。全員ができないなら、それなりの得点でよいのでしょうか…。いえ、入試は傾向が変われば必ずそのための対応をする動きが出ます。つまり、最適な演習を考え、高得点をとる人たちが必ず現れるはずです。もちろん、我々河合塾もそれを目指しています。膨大な研究と教材作成を行い、徹底して学習管理し、受験生に高得点が出せるように育成しようとしています。

受験生の側から見れば、そういう環境を手に入れるかどうかは医学科合格には大きく影響することでしょう。現在の「共通テスト」の傾向を見ていると、これまでの「センター試験」時代のように「過去問をやっておいたら何とかなるかもしれない」という甘い考えでは、もう対応は無理なのではないかと思います。
現場で指導していると、今後は「高得点が出せる人」と「そこそこの得点しか出せない人」という分類ではなく、「高得点が出せる人」と「得点が全く出せない人」という両極端になる可能性もこの「共通テスト」には感じているところです。医学科合格者は、やはりそんな中で「高得点が出せる人」でしょう。

医学科入試は、またも新たな局面を迎えようとしています。2025年には新課程での新しい入試が始まり、「共通テスト」はまたもや「新しい試験科目」や「範囲の変更」、「既卒生への移行措置」などの複雑な対応を余儀なくされています。私立大学入試もそういった国公立大の入試傾向の余波を受けるに違いありません。不安定な社会情勢や景気状況は医学科への志望者の集中を誘発し、入試は次々と不安定な要素を抱え込んだままで進み続けていくことになるでしょう。かつて成功した先輩からのアドバイスは、もはや「考古学的」にしか役に立たない可能性さえあるのです。
2025年以降の受験生は「自分の目」で見て「自分の判断」で行動を考えなければなりません。先を見通して早期から塾や予備校で準備する人とそうでない人の違いは、今後、より明確になる時代がやってきたのではないかと、ひしひしと感じます。