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在宅学習アドバイス 医の知の森<近畿地区医学科進学情報センター>

よくあるご質問にお答えします

自宅での学習アドバイスとして「番外編」の記事をいくつか掲載いたします。
なお、これらの記事はかつてある高校で講演をした際に、アンケートに書かれた質問項目への返信として、私が個人的にお送りしたものを改題したQ&Aとなっています。医進生の皆様の学習の一助となれば幸いです。

(近畿地区 医学科進学情報センター 山口和彦)

Q1「勉強中に眠くなるのを防ぐ方法はありますか。」

Q1 アドバイス

「眠くなったらどうするか」というご質問は、眠くなってからの対応を知りたい様子に思えますが、これは眠るしか方法がないもしれませんね。
そこで、眠くなったらどうするかよりも、眠くならない方法を考えましょう。眠くなる原因は大きく二つあり、一つは睡眠時間そのものが足りていないこと、もう一つは眼前のものへの興味が希薄で、集中力が足りないこと・・・つまり学習が退屈なことが大きな原因と思われます。ならば、一応の対応策として、「睡眠時間を削らないこと」と「眼前のものへの集中力を高める」ことの訓練を併用すると効果的です。
そもそも学習は「はじまり」だけではなく「終わり」の時間を決めておく必要があるのです。一日のうち学習に使う時間全体を内容ごとに区切り、「何時までに何を終えるのか」をはっきりと決めます。例えば「●●の予習をする」「●●の復習をする」などです(予習と復習さえも区切ります)。そして、その「刻んだ区切り時間」に間に合うように「速読」「計算力の最大スピード」で学習をすすめてみましょう。1日の中では、「終わりありきで学習がある」のであって、自分のペースに合わせて何時まででもやっていていい訳ではありません。時間通り終わることも受験生の「義務」であり、「能力」なのです。
終わり時間を気にしながら学習することで、学習時間は真夜中を回る前に終わらせることが大切です。
学習計画はそうやって考えたものを1週間のサイクルで立て、毎週それを繰り返してください。各曜日にはそれぞれの役割分担があって、それを守りながら次の週へと学習をつないでいくのです。最大集中力を訓練すれば、医学部受験生といえども1日に7時間は睡眠できるのです。

Q2「集中力の保ち方はどうすればいいか教えてほしいです。」

Q2 アドバイス

読んだら分かる、聞いたらわかる…このレベルで学習すると、おそらく集中力は途切れます。しかし、皆さんが、今日学習したことが「明日テストされる」、もしくは、この後で会う「友人に説明しなければならない」としたらそのレベルの集中力でよいですか?
「5ページから8ページまでの英文を読んできなさい」と言われて自宅でそれを読む場合と、「そこからテストをします」と予告されて読む場合とでは読み方に差が出ます。
つまり「向かう姿勢の強弱」が「集中力の強弱」に影響するわけです。同じテストにしても、「記述式」なのか「選択式」なのか、「マーク式」なのか「穴埋め式」なのか、その予告によって学習の集中度に差が出ることも知られています。
ということは「集中力を高める」為には、どのような「アウトプット」をするかを自分の中で意識すれば変化が出ることになりそうです。単純なオススメの方法は、「友人に教える」ことを念頭において学習する方法です。ノートをとる時でも、「後で友人に伝える」つもりで授業を聞き、ノートをとることがよいでしょう。
学校の授業の復習にしても、ノートをずっと見ながら再度解いているような状態では授業に集中しているとはいえません。授業を思い返してノートを見ずに自宅で再度解いてみる・・・その上でノートを見て、ポイントを合わせてみる・・・友人に伝えようと思ったら、そのレベルまで必要なのではないでしょうか。授業にこのレベルで臨めば「集中」できないはずはありませんし、自宅学習でも「集中」できるというものです。
やる気を出す方法、集中力を高めて自分を律する方法の答えは、「集中の仕方」なのではなく、得た知識をどのようにアウトプットするかを想定する「向かう姿勢」の中にあるのではないでしょうか。
さて、「集中力」を高めると時間の使い方にも変化が出てきます。時間をうまく使う人は、短時間で集中力のピークに持っていく訓練を積み、小さな隙間時間を利用することができる人です。普通の人は「集中力」のピークにもっていくのに15分以上かかりますが、訓練を積むと1分程度でその状態になります。すると、わずか30分ほどだからと捨てておいた時間を寄せ集めて、すべて何かに使うことができるようになるわけです。
例えば、学校に到着して「始業までの15分」は普通に考えればただの空白時間です。しかし、1分で集中のピークにもっていける「ワザ」ができるようになってから、「もう15分早く」家を出ると、始業までに「30分の学習時間」を生み出すことができます。すると、これはそれなりの予習時間になります。少しの行動変化で、ただの空白から時間が産まれることになりますね。わずか「15分の早起き」と「集中力」を高める発想があるだけで、1日の中に「使える時間」が何か所も生まれる生活に切り替わります。
後は、その生まれた時間を大切に使えるかどうかです。多くの人は「時間がない」といいながら、実は多くの時間を切り捨てているに過ぎないことがあるようです。朝、早めに登校して授業前の時間を予習の一部に充てることができれば効果的ですね。「集中力」が高まれば、学習時間そのものを増やすことにもつながります。
学習時間は生み出すのではなく、もともとそこにあるものです。それを利用できる形にするために、自分の工夫が必要になるのです。

Q3「毎日の積み重ねが大事と最近分かったけれども、今までさぼっていたものを1年間でどうやったら取り戻せるでしょうか。どうやったらモチベーションを保てますか。」

Q3 アドバイス

気持ちが焦ることはおありでしょう。目の前に大量の「やるべきこと」が出てきてはじめて「どうしよう」となるのは当然の反応ではないかと思います。ここで落ち着いて考え、発想の転換をしましょう。「間に合わなかったらどうしよう」ではなく、これからの期間で「間に合わせる方法を考えよう」です。要は、あるものでできる方法を探すことに全力をつくすことがポイントです。
すでに学習計画を立てておられるでしょうが、学習計画は1年間のスケジュールよりも、まずは1週間のスケジュールを立てることが大切です。必要なことは、「曜日」の役割をきめて「●曜日にはこれをする」という固定をしつつ、1週間の役割を曜日ごとにもたせるということです。長すぎるスパンの計画は破綻しやすく、破綻していても見抜けないからあまりおすすめしません。
それから、同じ大学・学部・学科を目指している人で自分よりも出来る人がいるのはしかたありません。しかし、自分のベストをつくすところが大人感覚です。あえていうならば、自分より学力が高い人は定員のトップで合格すればよく、自分は定員の下限いっぱい下に入れれば、それも「合格の幅」のうちだから何とかやってみよう、と考えることです。
さて、学習をするモチベーションを保つ上で本当に大切なのは、「自分を待っている人たちがいる」こと、「そのために頑張ってみよう」という思いが持てるかどうかだと私は思います。私のクラスにいた方がすでに多数ドクターとして社会で活躍しており、多くの方の人生に関わる大切な仕事をしています。今は受験生の皆さんもいつかそうなられることでしょう。将来の皆さんが社会で活躍することで誰かの人生に関わり、何かが変わるかもしれない・・・そんな仕事です。
医学部を目指す人たちは、必ずしも給料のことばかりではなく、社会に価値のある貢献をしようという志に基づく受験ではないでしょうか。誰にでもできないものであれば、当然手に入れにくいものです。ならば自分がそれにチャレンジし、それを通じて社会貢献しようとしているはずです。当然、手に入れやすい仕事で働く人とはいろんな意味において見えていることや、触れていく世界の広さに差が出てくることでしょう。ですから、社会で役立つためには、上を目指す心意気と、自分への厳しさが要求されることもあります。
自分が学習することは、将来の社会を自分たちが作るために「人としての蓄え」をしていることではないでしょうか。つまり、将来の社会を変えるエネルギーを、皆さんが蓄える「自分づくり」でもあるはずです。
さて、マイクロソフトの元会長であったビル・ゲイツさんが、あるハイスクールで講演をした際、「学校では教えてくれない11のルール」という話をしました。その中に次のようなものがあります。
「人生は平等ではない、そのことに慣れろ」
「学校は勝者・敗者を決めなくなったかもしれないが、人生は違う。学校によっては君が落ちこぼれないようにしてくれたり、正しい答えが導き出せるまで、何度でも機会をくれたりする。実際の人生とは全く似ても似つかない」
学校と違い、現実世界では給料や待遇にはあきらかに大小の差があります。ゲイツさんのいうことは厳しいようですが、まさにそのとおりだといえるでしょう。特に医進生は職業直結の学部して、それに応えるためにも、社会に出るための心構えをつけておくことが必要に思います。
目の前の机の上の四角い宇宙ばかりを見て「自分のこと」ばかりに心を奪われず、顔を上げてずっと遠くの世界を見てください。そこは、皆さんが学習することに「つながる人たちが待っている世界」です。そう思えば、目の前の教材の見え方が変わってくるに違いありません。

Q4「浪人生は現役生より成績も学習期間も長いはずですが、なぜ現役生が合格できるのでしょうか。また、『不安』を解消するために、何かアドバイスをいただきたいです。」

Q4 アドバイス

現役生にあって浪人生にないもの、それは油断しない心構え、言い換えると「謙虚なこと」です。分からないことをわかったことにしないこと、基礎からしっかり学ぼうという姿勢が常にあることが「現役生の強み」です。
浪人生は1年間のアドバンテージがあるので、スタートの学力は高めです。しかし、現役生と同じことをまた繰り返すことを嫌がるクセがあり、どうしても見てわかることを知っていること、できることとして謙虚にやろうとしない傾向があるのです。一方、自分の方法よりよい解法があっても、浪人生はこの置換が苦手な人が多いのも特徴です。
一方、現役生は小さな隙間時間をいかに効率よく学習に結びつけるかを工夫し、どんな人からも学ぶ姿勢を持ち、アドバイスを取り入れるスタンスで、一気に浪人生との成績差を縮めてきます。基本をおろそかにしないことや答案作成をしっかりやるなどのスタンスがあるからこそ、失わない点数があるはずです。計算ミスや書き間違いなどにも注意深く神経を配り、絶対に失わない点数をキープする姿勢は重要です。また、自分の方法よりよい解法があれば、素直におきかえる人も多いようです。
浪人生でも、これができる人は多数おり、そういう人は結局合格していく割合が高いということができるでしょう。浪人生か現役生かが問題なのではなく、「生き方」の問題が入試結果に出るということでしょう。
さて、「不安」というのは「対象がはっきりしないものへの恐れ」のことで、「恐怖」が「対象がはっきりしているものへの恐れ」であることとは違っています。質問者さんは、「不安」になったら、自分が恐れているものは何かを心の中で整理して「これだ」という具体的なものに置き換えるようにされるといいでしょう。対象がはっきりしさえすれば、攻める方向性や方針が立ちます。それなら対応できますから「取り除ける恐れ」になりますね。「不安」を実体のないままで放っておかないことが大切です。
例えば、「何だか不安」→「物理の電磁気の範囲が弱いことへの恐れ」→「電磁気の分野の強化」→「解消」というような道のりです。
質問者さんが強い意志を持てば、対象がはっきりしているものには立ち向かえるはずです。不安は「幽霊」のようなものでしょうが、恐怖は「実体」です。「幽霊」に三次元世界の武器では立ち向かえませんが、それに「実体」を持たせることができれば、両手の中の剣で一刀両断にできるのです。
必要なものは「幽霊」に「実体」を与える「賢明な思慮」(論理的に考える力)と、切れ味するどい「両手の中の剣」(学力)です。

Q5「私は医学科志望なのですが、地方国公立大学に進学しようと考えています。どのような準備が必要ですか。」

Q5 アドバイス

教育プログラムの中で地域の医療体験や臨床先の病院などは影響をうけますから、どういう特徴があるかをよく見ておく必要があります。特に地域推薦入試の区分で入学したような場合には、キャリアプランの初期の9年程度はその影響を受けることは当然ですね。大学のホームページではそういうことも載せていますから見るといいでしょう。
それと、地域医療の問題点が大学教育に影響するケースがあります。直接皆さんに関わりになるのは卒後とはいえ、その都道府県の医療問題を知った上でいかれた方がいいでしょう。地域医療の課題などは大学のホームページには掲載がありません。都道府県のホームページに「くらし」や「医療」などのページがありますからそこからのリンクをたどります。なかなか見つからない場合はトップページの「検索」のボックスに「保健医療計画」といれて検索をかけてみてください。大体、「●●県中期保健医療計画」というものにいきつきます。
そこには都道府県の持つ医療の特徴や問題点、今後の展望のようなものが載っています。少し難しい用語がありますが、高校生以上の年齢の皆さんなら十分に理解できるはずです。

Q6「計算ミスの減らし方としては、普段から見直しするのは有効でしょうか。」

Q6 アドバイス

計算ミスの多いことを気にしている受験生は多いようですね。まず質問者さんに確認してほしいのは、計算を「どこ」にしているかという問題です。
当然、問題用紙の余白にしていることもあるでしょう。その場合、自分の字が汚いなんていうことはありませんか、余白は理路整然としていて、検算するのにバックしやすくなっていますか。答案に計算をしていることもあるでしょう。その場合、字は美しいですか。
もう一つ計算ミスのポイントとして、単純作業になっているからこその間違いというのがあります。ある数学の優秀な人に問題を渡した時、超難問を1つずつ渡して解かせると全問正解なのに、3問くらいのセットで渡すと間違いが増えるという経験が何度もあります。
理由を検証すると、解法の道筋を考える時は他のことに意識を向けられないので全力なんですが、計算過程になると同時に、次の問題のことが気になってうっかり「意識がうつるから」というのが理由のようなのです。目の前のものが「作業」になるとそこに「意味」が消える…同時に計算中に√が消えたりプラスマイナスが消えたりしても、おかしいと思えない自分になるわけです。
計算ミスを減らす手法としては、見直しは非常に重要です。その一方で、計算中に他のことに意識を向けないで集中する訓練が必要であることも注意されると、もっと有効になられるでしょう。

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