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「細胞生物学に数学を応用する」中村直俊 /「学生時代にすべきこと」長尾健太郎

「細胞生物学に数学を応用する」中村 直俊

中村 直俊

私は東京大学医学部医学科を卒業した後、基礎研究の世界に入りました。同大学院医学系研究科の博士課程を経て、現在は理化学研究所で細胞生物学を研究しています。おそらく私は、同じ医学科を卒業した同級生の中で、最も頻繁に数学を使って仕事をしているグループの一員に属するのではないでしょうか。そんな「数学ユーザー」の立場から、皆さんにメッセージを贈りたいと思います。

私が大学院生を始めた今世紀初頭、生物学の分野でシステム生物学という大きなムーブメントが始まりました(今も続いています)。生物学研究の大きな目標は、細胞や個体の中で働く多数の役者(分子)がどう振る舞ってストーリー(機能)を作っているかを明らかにすることなのですが、システム生物学では、この際に数理モデル(数学を用いて記述されたモデル)を使って理論立てて考えることを重視します。

もちろん、これは他の自然科学では以前から当たり前の考え方でしたが、生物学において、数理モデルを精密な実験データと結びつけて実りある議論ができるようになったのはごく最近のことなのです。NatureやScienceなどの一流論文誌からぽつぽつと繰り出され始めていたシステム生物学論文を横目で見ながら、地道な実験を繰り返していたある日。自分の実験で見えていた不思議な現象が、数学の言葉を使えば説明できそうだ、とひらめいたことが、私が最初の仕事をシステム生物学の論文としてまとめ、その後も研究を続けていくきっかけとなりました。振り返ってみれば、その小さなひらめきの背後にあったのは、高校生として数学オリンピックに参加した後の夏の白浜セミナーで現役数学者たちの話を直に聴くことができた原体験や、大学生の頃にK会の講師の同僚の皆さんと一緒に現代数学の専門書を輪読する機会に恵まれたこと、その後もモチベーションを失わずに数学を勉強し続けることができたこと、ではないかと思います。

中村 直俊

実験上の制約で取れるデータの種類が限られているときに、それでも言えることは何か、と推論する場合、また多数の実験データから重要な部分を抽出し、何が本質であるかを見極める場合、そこに登場する数学は、K会で3~4年目に学ぶような現代数学を屋台骨としています。もちろん、中学・高校範囲の数学は必要ですが、それだけでは新しい道を切り拓くには不十分です(このことは皆さんが何を専門とされる場合でも同様だろうと思います。フレッシュな頭脳が文部科学省が決めた学習指導要領のくびきに囚われてしまうのは、大きな損失です)。数学の強さは、具体的な対象を超えることのできる普遍性です。K会で数学を学ぶと、1~2年目の範囲でも、代数と幾何が融合したり、幾何と解析が融合したりする場面を沢山目のあたりにすることができると思いますが、そうした異分野融合のありさまは、専門分化が進みすぎた数多の学問にとっての道しるべとなっています。若く有望な皆さんがK会で本格的な学問と格闘され、知の刺激を受けて、各々の専門分野で新たな地平を広げられることを大いに期待します。

「学生時代にすべきこと」長尾 健太郎

長尾 健太郎

私は東京大学在籍時代にK会の講師を務めておりました。その後、京都大学の大学院に進学し、3年前から名古屋大学に勤務しています。現職に赴任する直前には、8ヶ月ほどOxford大学に滞在しました。イギリスの同僚たちはpubが大好きです。長いセミナーの後はそれ以上に長い時間pubに入り浸り、色々な話をします。私はポスドクとしての滞在でしたので教育に関わることはなかったのですが、pubでOxfordでの教育についての話を聞くたびに、アカデミックな雰囲気に満ち溢れたあの小さな街で青春を過ごす若者たちを羨ましく感じたものです。

よく知られているようにOxford(及びCambridge)の教育の特徴は、数人の学生に対して1人の教官がつく「チュートリアル」と呼ばれる少人数制指導の存在です。教官は家庭教師ではありません。そこで行われるのは教科書に沿った手取り足取りの解説ではなく、学生と教官の「対話」です。教官は学生の学習具合を把握し、興味の広がりを窺い、今後の学習方針についてアドバイスをします。言うは易しですが、このようなコミュニケーションは制度を整えただけで実現できるものではありません。「チュートリアルに臨む教官と学生の心構えは、1000年近い歴史が生んだ大学の「文化」なのでしょう。

数学の学習というのは、本来孤独なものです。机に向かい教科書を広げ、難解な記述を1行1行読み解いていく。これが唯一絶対の数学学習術です。しかしながら、「何を目標にして何を学ぶべきなのか」を図書館の本の山から見つけ出すことは容易ではありません。大学生時代の私は「数学は1人で勉強するものだ」という固定観念に縛られ図書館に閉じこもり、道を見出せずにいました。

長尾 健太郎

幸い京都大学院時代の指導教官に誘われ、現在では魅惑の数学世界に身を投じていますが、10年前の自分に鑑みて思うのは、大学生が学生時代にすべきは自分を導いてくれる師を見つけることだったのだろうということです。これは数学に限ったことではありません。与えられたカリキュラムに沿って進めていく学習は高校で終わります。無限とも思われる選択肢の中から、自分の志を見定め、そこに向かって学び進んでいくことが、十代後半から二十代前半にかけて重要なテーマとなります。尊敬すべき師、先輩、同僚、後輩からの刺激こそが、それを可能にします。よりよい教育環境とは、まさにそのソースが豊かな場所のことであると思います。K会の講師のほとんどは、今まさに自分で道を選び、進もうとしている人たちです。年も近く親しみやすい彼らに憧れ、目指し、そしていつか追い越していくことは、みなさんの人生をきっと豊かに彩ってくれるでしょう。K会講師のOBの1人として、みなさんがK会の扉を敲く日をお待ちしております。

長尾 健太郎先生ご逝去について

平成25年10月22日(火)31歳にて長尾 健太郎先生がご逝去されました。
先生のご逝去を悼み、謹んで哀悼の意を表しますとともに心からご冥福をお祈り申し上げます。

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