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2017.8.17公開

流入・流出を見極めて悔いのない出願を!

多くの受験生はどのような出願変更をするのでしょうか?
パターン別・大学別に詳しく解説します。

10月になりますと、センター試験出願のシーズンです。ご承知のとおりセンター試験の得点は、実際の国公立大出願には極めて大きな影響を持ちます。
難関の医学科入試では、センター試験の得点状況によっては最終的に出願先大学を変更する可能性も出てきます。では、多くの受験生はどのような出願変更をするのでしょうか。これまであまり、このことについて触れているものを見たことがありません。そこで、2017年入試の状況を調査した結果を受験生の皆さんにお届けしましょう。次年度の出願の参考になれば幸いです。
まず、出願先変更といっても大きく分けて3つのパターンがあることを知っていただきたいのです。どのようなパターンがあるか見てみましょう。

●パターン①「出願倍率による出願先変更」

実力がある人が複数の大学を検討した結果、センター試験後の出願動向を見て出願先変更するパターン、例えば「神戸大学から岡山大学に出願変更する」ような場合です。いずれの大学も難関ですが、大学の出題傾向にあわせられる人が、出願の状況に応じて志望の行き来をするケースです。

●パターン②「センター試験の得点状況による出願先変更」

センター試験の得点状況に応じて、ボーダーラインを低めに設定してある大学へと出願先変更するパターン、例えば「大阪市立大学から鳥取大学に出願変更する」ような場合です。具体的な大学名を出すことは恐縮ですが、入試難度を示す「ボーダーライン」を設定する立場からすれば、やはり入試難度が大学によって違うのは事実で、それに応じて受験生が動くことはしかたのないことだと思います。

●パターン③「問題傾向による出願先変更」

現役生に多いのですが、自分の学力タイプを考え、出題傾向が自分にあう大学に出願先変更するパターン。例えば「京都府立医科大学から三重大学に変更する」ような場合です。京都府立医科大学の二次試験の問題は難度が高い出題なので、その問題で半分強の得点をするよりも、もっと取り組みやすい問題で7割強得点する方が得意な人はいるでしょう。高卒生は大学の問題傾向をよく把握している人が多いようですが、なかなか過去問を演習する機会が少ない現役生は、実際の出願になってようやく自分を方向づけることもあります。

では、昨年のセンター試験後の志望変更パターンを大学別に見ていきましょう。もちろん、はじめの志望のまま受験した人も結構多いのですが、今回は「志望変更した人」に着目してみましょう。

各大学を見るにあたり、その大学からの「流出先」とその大学への「流入元」に分けて見てみましょう。

<滋賀医科大学 前期>

○流出先:福井大、奈良県立医科大、熊本大、名古屋市立大
○流入元:神戸大、京都府立医科大、奈良県立医科大
○特徴
昨年、和歌山県立医科大や愛媛大へと流出がありましたが、今年は国語の得点がとれていない人が多かったと思われ、より国語配点の低い奈良県立医科大が上位に来る一方、逆に高い愛媛大が流出先から消えています。又、ボーダーラインの高さの現実路線をとって福井大が上位にきています。

<京都大学 前期>

○流出先:大阪大、京都府立医科大、東北大
○流入元:特になし
○特徴
近畿地区のみならず、全国的に見ても難度の高い大学ですから、その志望変更にも特徴が現れています。旧帝大系の中での安全志向による流出と、問題難度をキーにした志望変更の二つの傾向が見られます。今年は大阪大の前期日程定員増の影響で、大阪大が流出先の上位に来ているのが特徴です。

<京都府立医科大学 前期>

○流出先:滋賀医科大、和歌山県立医科大
○流入元:大阪大、京都大
○特徴
単科医科大特有の難度の高い出題傾向を持つ大学のため、センター試験のボーダー得点率による流出・流入と、問題難度を検討した結果によると見られる流入・流出があり、複雑な志望変更の傾向を持ちます。また、京滋地区という特殊な地区の意識があり、京都府立医大→滋賀医科大という流出が常に存在します。

<大阪大学 前期>

○流出先:京都府立医科大、大阪市立大、神戸大、岡山大、広島大
○流入元:京都大
○特徴
近畿地区のみならず、全国的に見ても難度の高い大学ですから、その志望変更にも特徴が現れています。問題難度の高さを検討した結果によると見られる流出と、センター試験のボーダー得点率を考えての流出の二つの傾向を持ちます。今年は前期の定員が増加したことにより、京大からの志望変更が一定数います。

<大阪市立大学 前期>

○流出先:和歌山県立医科大、奈良県立医科大、広島大、三重大
○流入元:大阪大、神戸大
○特徴
ここ3年でやや問題傾向が変化してきていますが、それでも比較的標準的な出題であることと、センター試験のボーダー得点率の高さから、多方面の流出先を持っています。地区内で下位のボーダーの大学への流出と、地区外で問題難度の類似性を重視した流出の二面性を合わせ持っています。また、神戸大や大阪大からの志望変更者からの流入で大きな影響を受けます。

<神戸大学 前期>

○流出先:滋賀医科大、大阪市立大、広島大、徳島大、奈良県立医科大、三重大、和歌山県立医科大
○流入元:大阪大
○特徴
流入元は大阪大学からの志望変更者ですが、流出先はほぼセンター試験のボーダー得点率によるものと見られ、流入よりも流出が多岐にわたる大学です。

<奈良県立医科大学 前期>

○流出先:滋賀医科大、和歌山県立医科大
○流入元:大阪市立大、神戸大、滋賀医科大
○特徴
トリアージ入試という特徴のある入試であり、定員が少ない特異な入試ですが、近畿地区ではボーダーラインが低めの設定であることが多く、流入元は近畿の他大学に限定され、流出先は滋賀医科大、和歌山県立医科大などの単科医大が多い特殊な立ち位置です。

<和歌山県立医科大学 前期>

○流出先: 福井大、島根大、熊本大
○流入元:大阪市立大、神戸大、奈良県立医科大
○特徴
近畿圏でもっとも低めのボーダー設定になることが多く、その位置づけでの流入を反映しています。

<奈良県立医科大学 後期>

○流出先:山梨大、岐阜大、香川大
○流入元:広島大、山梨大、岐阜大、千葉大
○特徴
昨年は後期に大阪大学がありましたが、今年は近畿地区で唯一の後期日程となりました。高成績者がいる広島大(後期)が今年はより上位になっています。また、今年から学科試験になった千葉大(後期)が流入元に新たに加わっています。

さて、以上が「昨年」の近畿地区各大学の志望変更状況でした。今年の受検者の志望変更の参考にはなるでしょう。
今年は大阪大学と神戸大学の定員が増加していること、神戸大学のセンター試験の配点が変更されていることや、センター試験と二次試験の配点が変更になっていること、大阪大学の後期試験が廃止されることなど、複雑な入試の変更点があります。これにセンター試験の平均点の変化が加味されて受験生が志望変更をするため、例年とはやや違う動きが出ています。

次年度入試の詳細情報は、河合塾の情報や高校の先生などとの面談で必ず確認していただき、悔いのない出願をしましょう。