河合塾グループ河合塾

緊急のお知らせ:東北

学年と地域を選択
設定

学年と地域を選択すると、必要な情報がすぐに見つかる

塾生ですか?

はい
いいえ
  1. 河合塾
  2. 受験情報
  3. 医の知の森<近畿地区医学科進学情報センター>
  4. 知っ得!医学部合格の処方箋
  5. 知っ得!医学部合格の処方箋 実践していますか?~実践編~
  6. 面接特集「地雷の質問」編

面接特集「地雷の質問」編 知っ得!医学部合格の処方箋 実践していますか?~実践編~ | 知っ得!医学部合格の処方箋 | 医の知の森<近畿地区医学科進学情報センター>

2019.12.5公開

安直に「地域」「国際」と口にする受験生はいくらでもいる

内容を自分の言葉で語れない場合は地雷になります。地雷を武器に変えるための努力が必要です。

「地域」と「国際」

「地域」=「地域医療」、「国際」=「留学/国際的な活躍・・・」というキーワードは、多くの受験生の志望動機によく登場します。これらは普通に何の違和感もなく使われているものです。大学のパンフレットやホームページを拝見すると、こういう用語はかなりの頻度で使用されていますので、ついつい飛びつきたくなってしまうものなのかもしれません。
予備校では面接試験の練習をしたり、大学への出願書類の添削をしたりすることは非常に多いのですが、何人もの面接練習や添削に関わってみると次から次へと同じような内容なのには驚かされます。受験生たち本人は自分のことしか分からないですから、まさかそんなに陳腐に見えるとは思っていないに違いありません。しかし、彼ら受験生の原初的な志望動機に触れると、一見して彼らが考えきっていないこともよく見えるといえるでしょう。うっかりと口にすることが具体的な何かに支えられていない場合、その発言が地雷を踏むようなことにもつながりかねないのです。

以前に述べたことがありますが、「地域医療」と自分でいっているのにも関わらず、大学の所在県の保健医療計画に目を通していない人がとても多いようです。いずれどこかの地域拠点病院で活躍する・・・程度の心構えで通用すると思っている人が多いことには、正直少し物足りなさを感じます。
医学科の面接質問で「地域医療」のことを口にする受験生に対して、関連する質問として「本県の医療問題でどのようなことを知っていますか」と追い打ち質問をかけられることは、珍しいことではありません。その質問にはお答えするべきですし、知っておいてほしいことでもあります。

ある受験生が受験大学の所在県の「保健医療計画」を読んでから、面接試験にいきました。面接官はやはり、「本県の医療問題について何か知っていることはあるか」と質問したそうです。受験生本人は「保健医療計画」を読み、ある程度の問題意識を持っていましたから、非常に内容の濃い、明確な回答を返すことができました。「本県の山間部では医師が不足している」というような曖昧な伝え方ではなく、どの「二次保健医療圏で不足しているのか」、しかも、「10万対の医療従事者の人数」が全国平均に対して、どれくらいどの「二次保健医療圏」で不足しているかを伝えたのです。
試験から帰ってきましたら「まさに大人としての面接でした」とは、本人の言葉です。「山間部では医師が不足している」程度の回答を平気で返す問題意識が、いかに陳腐かということです。

「国際性」というキーワードも、「地域」と同様に受験生が志望動機の色づけでよく使います。しかし、具体的に何が国際的なのかについて質問すると、「貴学は留学生が多い」という以上のことを話せない受験生が、かなりの数います。実際には、日本以外で体験した方がよいことがあるからこそ、留学するはずですが、それが何かを彼らは示すことができません。その理由の多くは、本当はそれが必要だと実際には思っていないからではないでしょうか。何か志望理由が必要だから「国際」や「留学」というキーワードに飛びついただけ・・・。そう思われてもしかたありませんね。
本来的には地域性に根ざした疾患に触れたり、システム的に他の国で完成していることを体験したりという、一定の目的があって留学を口にするべきでしょうが、ほとんどの受験生はそこまで考えていないのです。「地域」と同様、「留学でどのようなことを学びたいですか」と面接官が尋ねることはよくあることです。その時、具体的な何かを答えられなければ、これまた地雷を踏むようなものだといえるでしょう。

「研究」

研究医を目指す方にも具体的な内容を尋ねてみたいものです。意識の高い受験生に質問すると、非常に感銘を受けるような具体的な内容や、モデルになる研究者のことを熱く語ってくれます。そして、自分もそういう研究をしてみたいということがとても熱意を持って語られるものです。
しかし、何人かの方は具体的な内容がなく、「臨床か研究か」という単純なニ択のもとで片方をとった以上ではないことがあります。こうなってきますと、言わなかった方がよかったということになるかもしれませんね。

ある受験生は親族に疾患を持った方がおられ、そのことを自分が医学部を志望するきっかけに持っていました。彼は自分がどのような研究をしてみたいのか、今はどんなレベルまでそれが進んでいるのかなど、熱意を持って自分がやってみたいことを、自分の言葉で語りました。単純に「研究」をイメージだけで語る人は、彼の次の順番で面接試験に入ってきたとき、どのように面接官から見えるでしょうか。

いろいろなキーワードを手に入れたら、それをぜひ吟味して自分のしたいことが本当は何なのかを自分自身に問いたいものです。自分自信が曖昧なままで適当に質問に答えれば、多くの質問が自分にとっては地雷になってしまいます。
しかし、自分の言葉としてキーワードを置き換えることができれば、自分の本当の「やりたいこと」を実感できるに違いありません。思いもよらない熱意を自分の中に発見することがあるでしょう。そのとき、地雷だったものが、自分の身を守る威力のある武器に変化させる方法が見つかるはずです。