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今年の入試では、とにかく面接者に話をさせることに主眼がおかれていることが特徴です。

言葉の地平線に敏感になって、適切なやりとりができる能力とは?シンプルな質問だからこそ、日常のその人のあり方が、シンプルに問われるに違いありません。

ここまでどうやって来ましたか

医学部の面接試験の質問の中には、どうしようもなくどうでも良さそうなものがいくつかあります。「ここまでどうやって来ましたか」という類の質問がそうです。東海大がこの質問をしていますが、なぜこんなことを尋ねるのでしょうか。
この種の質問では、緊張感を低くするためアイスブレーク的に話をしやすい雰囲気を作りだそうとする面接側の直感的な感覚がありますが、それだけではありません。質問したことは誰しも答えることができるレベルであることがポイントです。ここでは、適切な言葉で相手にわかりやすい説明をすることができるかどうかを、直感的に見ておられると思った方がいいでしょう。
特に日常生活の延長線で話せるような質問は、「言葉の選び方」を単純に見ることが可能です。「朝、何時に起きましたか」・・・これは毎年東京医科大が尋ねている質問です。「あなたの名前の由来は何ですか」・・・これは鹿児島大でされている質問です。何時に起きようが、名前の由来が何であろうが、医学部入試にはまったく関係あるようには思えません。しかし、尋ねたいポイントが「説明力」だとしたら、論理的に考えないと答えられない質問よりも単純化されたものの方がいいといえるでしょう。

出身高校の説明

多少面接らしい質問としては、高校の説明をさせるケースがあります。緊張しすぎると「自由・友愛・・・」みたいな、校門を入ったところにおいてある碑文を読み上げるような説明をする受験生は多いようです。しかし、質問する側はパンフレットに書かれているような説明をわざわざ受験生に求めるでしょうか。
ある高校での話ですが、地元大学の医学科を受験すると、同級生が10人以上いるのが普通だといいます。受験番号が前後になることも多いようですが、そんな時に「あなたの出身高校の紹介をお願いします」と10人に面接官が訊いたとして、10人が全員でパンフレットに載っているのと同じ答えをしたとしたら、それを面接官が熱心に聞いているのはちょっと不思議な光景です。どう考えても、違うように思いますね。ここでは高校の説明について、「あなたにとって」という前提条件をわざわざ示さずにいるだけだと思った方がよさそうです。自分にとっての高校と、友人にとっての高校は、何に影響を受け、何を得たかが違います。自分に流れ込んでいる高校の影響は何で、何が生きているのか、それをビビッドに描けることができれば、この質問には生きた回答になるでしょう。

自分を色に例えると何色ですか

「自分を色に例えると何色ですか」という、唐突な質問が出されたこともあります。こんな質問に真剣に答えるのか、と疑問に思った人は多いに違いありません。第一、答える意味があるのかどうかも分かりませんし、何を訊こうとしているかも意味不明です。しかし、こんなどうでもよさそうな質問がまた、人の本心を引きだすことは多いものです。
はっきり言って、素直な人かどうかという単純なことは、こんな質問で性格が見えることは多いといえます。この質問をした人が気の置けない人なら「何訊いてるのよ、意味分かんないよ」とでも返せそうですが、逆に初対面の人だと「何か意味があるんじゃないか」と思って、訊かれた人は全力で答えようとするはずです。答えることの意味にこだわる人は、どの方向で答えることを求めているか逆に質問者に尋ねるかも知れませんし、一般論として答える人は、自分で問いの仮定や理論の地平線を想定して答える方法を取るでしょう。質問への回答方法しだいで、人にはタイプがあることが如実に分かります。
理論派なのか社会派なのか、前提の設定のユニークさや説明する理論の立て方のうまさなど、知識とは違うものが見えるでしょう。それに正解はありませんが、意味のないようなものに意味を与える想像力があるかどうかは、見えるに違いありません。

言葉のトレンドを知ってセンスを磨く

最近、言葉を選択するのにニュアンスを変えた新しい表現を使うことが多くなりました。例えば、観光客→インバウンド、国際化→グローバル化、計画化→PDCA化、働き手→人的資源、○○第一主義→○○ファーストなどはよく聞くものです。
別に「インバウンド」と呼ばず、「観光客」でも意味が通らない訳ではありませんし、逆に自然な感じがします。しかし、「インバウンド」を使う時には、「観光する人」という意味の他に「お金を使って経済効果をもたらす人」というニュアンスがあって、これまで使っていた「観光客」とは違う意味を持たせた言葉だといえるのです。つまり、新しい意味を示す単語でとして、メディアが使っています。だとしたら、それを知っているかどうかとこれを使って話すことはイコールになります。
「多くの外国人観光客が訪れる」といえば、浅草の浅草寺を訪れる外国人の賑わいのような映像のイメージですが、「多くのインバウンドが訪れる」といえば、それだけではなく電気店で爆買いしている外国人の映像がピッタリきます。
「ニュースに敏感になること」=「社会に関心を高くもっていること」=「言葉の選択が適切な人」という構図です。話していてトレンドの表現がフィットしている人は、そういうことを日常で気にかけている人といえるでしょう。

できるだけ話をさせる流行

2019年に実施された面接試験を分析すると、できるだけ話をさせようと、大学が質問を工夫しはじめたことを感じます。もはや、「あなたの長所は何ですか」とは訊かれません。今や「3分で自己PRをお願いします」と自己PR型にした大学は非常に多くなりました。
藤田医科大学のようにMMI(マルティプル・ミニ・インタビュー)形式のものもあります。これは、ある内容がかかれたシートを読ませ、その場合にあなたはどうしますか、という内容を一方的に話させる方法です。また、今年のトレンドとして、このMMIと似たような内容のものをシートを読ませるのではなく、言葉で示して「どうするか述べさせる質問」が増えました。
トータルに見て、今年の入試では、とにかく面接者に話をさせることに主眼がおかれていることが特徴です。これは、今後も変わらないトレンドになるかもしれません。英語が話せるようにするかどうかを教育の世界では議論の的にすることが多いですが、それ以前に本当の意味で日本語で「話せている」のかは別の問題です。

「話すこと」「伝えること」は「しゃべること」とは違います。言葉の地平線に敏感になって、適切なやりとりができること、そのための言葉のニュアンスをニュースや社会での日常のやりとりで身につけ、正確にくみ取って再現する「能力のひとつ」といえるはずです。何でもない質問は、そんなシンプルな目的を持ったものです。シンプルな質問だからこそ、日常のその人のあり方が、シンプルに問われるに違いありません。

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