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自分を知ってもらうチャンスをどう生かすのか

「文語調のロボット」から脱出し、面接で生きた自分と熱意を伝えるには?

その場で考える力を試すために

面接試験は、目の前の人物をいかに評価できるかが課題です。面接官にしてみれば、面接者がその場で質問に対してどんな工夫をして回答するかみたいことでしょう。ところが、面接者は逆に「こう聞かれたら、こう答える」というような想定問答を準備して、その場で考えることをできるだけ避けようとする傾向があるようです。面接官にしてみれば、想定問答の応酬に終始しないように、面接質問を工夫する苦労があるに違いありませせん。
さらに「対人力」「社会性」「説明力」「傾聴力」など、多岐にわたる力を見るためには、面接質問の工夫だけでなく、面接方法にも工夫が必要になってきます。手法として最も思いつきやすいのは「グループ討論」でしょう。あるテーマを渡し、それについてグループで討論を展開してもらう方法です。これなら、課題への取り組み姿勢、議論する方向性、他者意見の採用や反論など、多面的に人物の発言や行動を見ることができます。
ただし、問題点もあります。例えば同じ討論グループの人たちのうち、多くの人の知識レベルと設問テーマがあわない場合、議論が活性化しません。たとえ習熟した知識を持った人、必要な議論を十分展開できる力を持った人がその中にいたとしても、その人たちの力を発揮させてあげることができない可能性があるのです。
そこで、一人ひとりがどのようにテーマに対処するか、自分の考えをどのように説明するかなど、個人の力を面接で試すものとして効果を発揮するのが、MMI(マルチプル・ミニ・インタビュー)方式の面接です。
MMIでは、まず規定のシチュエーションの書かれた文章を読み、その状況を自分がどう捉え、どのように対処するかを考えさせます。そして、それを面接官に規定の時間内に説明する(プレゼンする)方法をとることが基本です。
現在、この面接方法をとっているのは、東京慈恵会医大、藤田医科大など一部の大学です。では、実際の問いを見てみましょう。

皆さんなら、この課題をどのように捉え、ご自分ならどのように回答するでしょうか。与えられたシチュエーションから「自分がポイントとしたものは何か」、それに対して自分は「どのように判断」し、「どう行動しようとするか」を「理路整然と説明」することが求められます。これなら、一問一答式では見ることができない、面接者の多面的な力を試すことができるでしょう。
回答には制限時間があり、一定の時間が来れば打ち切られます。課題はその場で与えられるわけですから、もちろん事前に想定問答集を作ることはできません。その場で状況を把握し、自分の中に「回答するための理論と知識の資源」を探しに行く必要がありますし、その場で伝える内容を構成しなければなりません。これは、本来あるべき「面接試験の本質」を考えさせることかもしれませんね。

様々な視点から考えることの難しさ

MMIの難しさは予備校で面接練習をした時によくわかります。受験生の多くは、豊富な社会経験を持つ方と話したことも、実際の問題場面で対処したこともありません。結果として「視点が単一」であることが多いため、「どうするか」と問われた時に「場合分け」して考えることが困難です。本来は複数の視点で考えるべき問題でも、結果的に単一視点で話をまとめようとしてしまい、持ち時間を余らせてしまうのです。
「与えられたシチュエーション」を短時間で読みとり、そこでのポイントは何かを検討する思考力や、一方の立場をとれば、他方の立場では何が課題になるかを想定して論理を組み立てる見通し力など、ある程度の訓練がないと難しいといえるでしょう。
ですから実際の面接では、多少の補助や質問を面接官が少し加えてくれて、やっと機能しているのが現状ではないかと思われます。

自己PRとMMIの共通点

MMIを実施する大学はまだ多くありませんし、これから増加するかどうかも分かりません。ですから、先ほどの大学に出願しなければMMIの緊張度から逃れられると多くの人が考えがちです。
しかし、一方的に面接者が話さなければならないシチュエーションは、何もMMIだけではありません。例えば、普通の面接試験で問われる「自己PR」を考えるとどうでしょうか。MMIがその場で考えなければならないのことに比べれば、ある程度の事前準備が可能ですから、多少は緊張感が薄れます。しかし、一方的に長い時間尺で自分が相手に伝える緊張度が必要な点はよく似ています。説明力が必要なことは両者とも同じです。
最近は「自己PR」をさせる大学がやや増加しています。ということは、いつどの大学でそれをさせられても不思議ではありません。ただ、不思議なことに、多くの人は「長所を述べてください」と尋ねられると答えられますが、「自己PRをしてください」と言われると、なぜか1点だけ長所を挙げ、残り時間でありきたりのことを長々と話し始めます。
これはおそらく、多くの人が単体の「長所」を挙げることはできても、「自己PR」のような「長所の集合体」になった時、説明ポイントを意識して複数以上整理していないためでしょう。「自己PR」は多視点で自分を捉えるようにすることが、MMIと同様に必要です。
しかも、多くの人は「自己PR」の説明の際に、「時間(分数)」を意識しすぎて内容への集中力が欠けてしまうことも、「自己PR」が薄くなってしまう原因でしょう。確かにほとんどの大学は「自己PR」を要求する際に1分から3分程度の「時間制限」を設けているため、注目されやすいのでしょう。日常生活では制限時間付で話をする機会はありませんから、ことさら注目されることになるようです。
しかし、時間ピッタリで話すことよりも、内容が充実しているかどうかはもっと重要です。「自己PRの対策をしよう」などと小手先のことを考えず、「自分を知ってもらうチャンスにしよう」とポジティブに考え、相手に自分を伝えることがお勧めです。
ビジネスの世界では「ホールパート法」というプレゼンの方法がありますが、それを活用して内容を充実させるのはどうでしょうか。「私のPRポイントは3つあります。一つ目は○○です…、二つめは…以上3点が私のPRポイントです」というような方法です。
「1分話す」と時間を意識することよりも、「3つ話す」と個数を意識することに発想を切り替え、一つをどれくらいの時間をかけて伝えようかと工夫すれば、自ずと伝わる内容が充実するはずです。一つを20秒、3つ伝えれば1分ですね。「自分の長所を一つ20秒かけて伝えることができるんだ」とポジティブに考えれば、伝え方そのものにも力で出てくるというものです。
人前で「自己PR」することが苦手な人が多いですが、自分の長所も3つなら何とか挙げられる気がしませんか。もしも、自分のPRポイントを自分で探すことが難しいなら、発想を転換して「友達は自分のどこがいいと他人に説明してくれるだろうか」と考えてみませんか。頭の中に浮かぶ友人の口を借りて「自分の良さ」を見つけることができるはずです。
「自己PR」を恐れず、ぜひ自分を伝えるチャンスとして臨んでみましょう。噛みながらでも、つかえてもかまいません。ポイントさえぼやけなければよいのです。

面接試験の原点に還る

本来、面接の基本は覚えてきたものを暗唱することではなく、自分の中に「伝えるための資源」を探り、落ち着いて言葉に置き換えて、相手に熱意とともに伝えるものです。MMIはそれをしなければならなくなることで、面接の原点を教えてくれます。また、同時に「難しい」と感じる理由もそこにあるでしょう。
ですから、面接では「覚えてきたものを忘れないようにしよう」などと、小手先のことに執着しないようにしたいものです。きっと面接官も、目の前で話しているのに「文語調のロボット」のような暗唱型の回答方法の面接者を多数見て、苦笑いしているでしょう。
面接試験では「その場で考える緊張感」から目を背けず、自分の中に「回答の資源」を探り、「生きた言葉」で落ち着いて伝えたいものです。「自己PR」で伝える項目は準備できても、「生きた伝え方」にはその場で見つける「生きた言葉」が大切です。
「面接で伝えたい自分」をどう表現するか。その場で考えるくらいの度胸は必要です。MMIはそのことを私たちに思い出させてくれます。