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2017.7.21公開

ああでもない、こうでもない・・自問自答する夏でもいい

「夏期」の勝負は夏より前にすでにはじまっている!?

受験生にとって、「夏期」は重要な学習期間です。この期間をどのように使うかで、1年の後半に大きく影響することは間違いありません。では、どのように使えばよいでしょうか。できるだけ詳細に「夏期」のあり方を考えることにいたしましょう。

夏の勝負は夏前にはじまっている

まず、「夏期」という呼び名のために、「夏からはこうしよう」という発想を抱きがちですが、現実には夏より前に勝負ははじまっています。少し具体的に説明しましょう。
受験生の皆さんは「1日を自分の自由に使って良い」と言われた時、最大限効率的に時間を使う自信があるでしょうか。もっと具体的に問えば、1日に自分の「最大集中力」で有意義な1日を過ごし、しかもそれを「毎日継続」する忍耐力があるでしょうか。「夏期」の学習は、1学期にそうしたことを鍛えた自分の「学習習慣」が出る時期なのです。つまり、夏より前の自分の「学習習慣」で培ったことが、1日にできる最大学習量になるわけです。これまでの1学期間がその準備期間といってもいいでしょう。そういう意味から、「夏期」の勝負は夏前にすでにはじまっているといえるのです。
グラフは高3河合塾生の1学期から2学期にかけての学習時間を示したものです。夏の学習量が非常に多いことは見てのとおりですが、その前提として1学期の学習量がもともと多いことがわかります。

<グラフ>高3生 年間学習時間の推移

ロンゲストイヤー(塾生対象アンケートより)

高3生 年間学習時間の推移

一日の学習時間を適正にしよう

夏直前の時期には、よく「夏休みに挽回する」という人に会います。皆さんは丸一日渡されたら、そのうち一体何時間を学習に当てるでしょうか。「挽回する」という人は一日の学習時間をかなり盛っていることが多く、12時間とか13時間の計画を平気で立てるようです。
できれば「夏休みに挽回する」という言葉にとらわれないで、今の自分に見合う学習を心がけるとよいでしょう。まずは睡眠時間を決して削らずに、毎日学習すること、自分にとって集中力の持続する範囲で計画を立てることです。目安は1日10時間まで。これを越えないようにすることが大切です。
実際、現実的に学習を毎日最大の集中力で持続して続けるなら、一日の学習時間はせいぜい10時間というところでしょう。ところが、「挽回する」という人に限って、「一日に12時間学習しないと間に合わないから12時間学習にします」と宣言するわけです。
「挽回」宣言の人は1学期に学習習慣が確立していない人が多く、残念ながら10時間もかからずにできることを、12時間かけてゆっくりやるだけの人であることが多いようです。いわば「生活習慣病」的な状況になっているといえるでしょう。
机に向かっている本人は学習時間が多いことに満足しているようですが、現実には集中しているかどうかは疑問です。しかも、こういう学習が「生活習慣病」化すると、下手をすると入試本番での答案作成力にまで影響します。実際、集中力がないミスの多い答案作成につながっている人の多くは、その根本に「速読力のなさ」や「計算力の遅さ」があります。日常学習の集中力が欠けていることで、そういったことを改善するチャンスが失われることは大きいのではないでしょうか。

1日の学習科目は5教科程度にする

「夏期」についてのご質問を受けることが多いものとして、1日に科目をばらして学習する方がいいのか、それとも多数の科目に時間を振り分けて学習する方がよいのか、というのがあります。
「好みの問題だ」という人もおられますが、個人的に私のオススメは「多数科目派」です。ただし、多数といっても5科目までがせいぜいです。というより、5科目学習の人がほとんどだといってもいいでしょう。1日に5科目を学習するとなれば、1科目の学習時間を2時間として5科目だから合計で10時間になります。こうやって計算すれば単純なもので、それ以上の科目数を学習する計画を立てることは難しくなるのがわかります。
それに、気分転換ではありませんが、同じ科目を長時間続けていると集中力が落ちてくるものです。「今日は1日中数学day」などと一日中数学というのも何だか気分的に苦しくなってしまいそうです。
さて、当然ながら、夏期に「ある科目」の「講習」などを受講している場合、その期間「ある科目」は「講習」の予復習を重視して学習し、同じ科目の学習を別にかぶせて入れることは避ける方がよいでしょう。講習と自主学習の科目をスケジュール的に重ねると、1科目が重すぎて集中できなくなるものです。

そういったことをいろいろ考えていると、夏期の学習計画は結構立てるのに時間がかかりそうだなぁと思われませんか。しかし、これを立てることで自分自身との会話をしているともいえるかもしれません。つまり、こうやって「ああでもない、こうでもない」と自問自答している段階で、実は自分の中の学習スタンスが確立されることにもなるのです。

ですから、立て終わった段階で半分クリアしているものなのです。修正しながらそれをクリアしていく・・・この時期にこれをやることで、直前期には寸分違わない学習計画を立て、進めることができます。夏期の計画を立てて実行することは、直前期の追い込みに向けての練習でもあるのです。