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「理系科目で文系科目のマイナスをカバーする」は今の時代は現実的ではない

理系生の注目すべき共通テスト対策の科目とは・・・?平均点のグラフから見えてくる現実を直視して取り組みましょう。

2023.4.3公開

共通テストの難度

「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」は2021年1月を初回としてスタートし、2023年で3年目を迎えました。もともとこの試験の実施は「英語の外部テスト採用」や国語・数学の「記述題導入」を前提に、試験全体の改革を目指していました。しかし、「英語の外部テスト採用」は各家庭での費用負担や受験機会の公平さの懸念によって採用が断念され、「記述題導入」も採点基準の公平さが課題となって導入が見送られたため、目玉とされていた改革が全てなくなった状態で今の実施形態に収まっています。
結果的に前身の「大学入試センター試験(以下、センター試験)」とあまり変わりない時間割で実施される、マークシートのテスト部分だけが単独で残った形になったことは、改革を目指していた人達には想定外だったかもしれません。
ただ「共通テスト」は「センター試験」の時代よりも、明らかに「問題考察」が必要な設問に変化してきている点には注意が必要です。外形からわかる様な新たな仕組みは導入されなかったものの、改革の方向は「出題傾向」には反映されるようになってきています。問題考察に時間がかかるようになれば、単純に考えても、「共通テスト」は従来の「センター試験」よりも問題の把握に時間がかかるようになっています。その余波を大きく受けているのが、「数学」「理科」などの理系科目でしょう。数学はⅠAの試験時間が60分から70分になっていますが、数学ⅡBと理科の各科目の時間割は60分のまま試験時間は変更されていません。出題意図を把握してから計算や解答選択に入るのですから、時間の資源と難度のバランスによっては、高得点をなかなか出せないことも考えられるのです。

共通テストの平均点の状況からわかること

ここで「共通テスト」の平均点を、前身の「センター試験」の時代から時系列に並べてみましょう。<表1>を参照してください。2020年までが「センター試験」、2021年〜2023年の3カ年が「共通テスト」です。
ちなみに、英語は「センター試験」時代にはリーディングが200点満点、リスニングが50点満点でしたが、共通テストの現在の満点値と単純に比較するため、現在の100点満点に合わせて修正しています。

<表1>

大学入試センター試験→ 大学入学共通テスト平均点 大学入試センター発表 大学入試センター試験→ 大学入学共通テスト平均点 大学入試センター発表

平均点の上下が最もわかりやすいのは、下方の「5-7理系」の総合点(900点満点)でしょう。推移をわかりやすくするため、これを「得点率」に直してグラフ化してみます(<グラフ1>)。

<グラフ1>

5-7型(900点満点)での平均得点率推移 2004年~2023年 5-7型(900点満点)での平均得点率推移 2004年~2023年

<グラフ1>を見ると「センター試験時代」終盤の2020年の頃、総合得点の平均は概ね62%程度のところに落ち着いています。ところが「共通テスト」時代になって、これが乱高下している様子が見えます。<表1>の科目別平均点を見ると、前述のように数学と理科の平均点が乱高下していることがその原因といえるでしょう。次に、これを科目の順序を「共通テスト」の時間割の順番に並びかえてグラフ化してみます(<グラフ2>)。

<グラフ2>

センター試験→共通テスト 年度別平均得点率状況 センター試験→共通テスト 年度別平均得点率状況

さて、上の<グラフ2>はデータとしては<表1>と変わりないのですが、並びを左から「共通テスト」の時間割順にしたことで科目別の特性が見えるようになりました。時間割は「センター試験」の時代以来、1日めが地歴・英語・国語の文系科目、2日めが数学2つと理科2つの理系科目になっている点は変わりありません。
一見してわかるとおり、1日めに比べて2日めの数学と理科の平均点が「共通テスト」のわずか3年の間で驚くほど乱高下している様子がわかります。多くの方がご存知のように、理科では「生物」が最大から最小まで平均点が上下しています。結果的に「理科」は3年中2年で「得点調整」が実施されるという前代未聞の状況になりました。「また、数学ⅠA」「数学ⅡB」とも2年めの2021年には異様に平均点が低くなりました。
理系生だから数学と理科はできるだろうという目論見は「共通テスト」においてはむしろ逆で、ある程度の力を持っていても数学と理科は「時間の枠に絡め取られて得点が出せない」状況になっているといえるでしょう。特に数学の難度の高さは、マスコミでも社会問題のごとく取り沙汰されたことは記憶に新しいところです。「共通テスト」がはじまって以来、わずか3年のうちで2年がこのような状態では、もはや2日目の試験科目である「数学」と「理科」の得点が出せなくなることは想定のうち…という時代になりつつあるようにも思われます。
また、それとむしろ逆に「1日めの文系科目の得点」が大いにクローズアップされる時代になったといえます。「共通テスト」の1日めの科目は「英語」「国語」「地歴・公民」です。もともと「英語」は二次試験や私立大試験でも必要ですから、これはどの人も徹底して学習するでしょう。しかし、「共通テスト」でしか使用しない「国語」と「地歴・公民」の重要性こそ、大いに増してきたといえるのです。
「センター試験」時代から理系生は「国語」や「地歴・公民」が苦手な人が多いのですが、「共通テスト」の時代になってからは、「国語」と「地歴・公民」で高得点を取ることが「医学科出願可能な総合得点に達するかどうか」に直結するようになりました。「センター試験」時代には、「英数理で高得点をとって、国語と地歴・公民のマイナスをカバーする」…という人はまだ一定数いました。しかし、今となってはこれがむしろ逆のパターンになっていて、「国語と地歴・公民で高得点をとれたからこそ、数学と理科のマイナス分を何とかカバーして総合得点が出せた」という人が数多くでているのです。

下の<グラフ3>を見てください。これは、2022年度の入試において「国公立大医学科前期に合格した人の共通テスト科目別得点率」を科目ごとに結んだものです。前期試験は49大学ありますが、そのうちの下位15大学・16区分を抜粋しています。グラフの中で「理科」は2科目のうちの「高得点になったもの」と「低得点になったもの」で分けてグラフを描いている点に注目してください。

<グラフ3>

2022医学科合格者の共通テスト得点率(下位16大学抜粋) 2022医学科合格者の共通テスト得点率(下位16大学抜粋)

グラフの得点の低いものから順に、「数学①(ⅠA)」→「数学②(ⅡB)」→「理科の低得点の科目」→「国語」→「地歴・公民」…ですから、「国語」や「地歴・公民」の平均点は「数学」よりも高得点であることがわかります。さらに、それらは「理科(2科目のうち低得点の方)」よりも上です。つまり、これらの大学に合格した人たちは、「国語と地歴・公民で辛うじて得点できたからこそ医学科に合格する総合得点に達していた」ということができるでしょう。
もしも過去の「センター試験時代の先輩たち」のように「数学と理科で国語と地歴・公民をカバーする」などと考えていた人たちがいたなら、その人たちは出願に必要な総合得点に達していなかったであろうことは、容易に想像できることです。

理系生の注目すべき「共通テスト」対策の科目とは

すでに結論じみたことを書き連ねていますが、結果的に医学科出願に必要な「共通テスト」の総合得点を獲得するためには、「国語」と「地歴・公民」の高得点が必須だということができます。「国語」といっても「現代文」と「古文」と「漢文」の3分野に分かれていますから、各分野を早期に対策しはじめることが合格点獲得に大切なことです。「古文」や「漢文」は200点満点の中でそれぞれ50点ですから、年度後半になると、その50点のために学習時間を割くことが次第に煩わしくなりがちです。また、現役生は「地歴・公民」の履修が遅れて後回ししたことによって、完成度が低いままで「共通テスト」に突入してしまいがちです。これらの科目をいかに早期に完成させるかがこれまで以上に重要なのですが、この状況の変化に敏感に反応している人はまだ多くありません。理系生の悪い癖が出れば、「理系科目で文系科目のマイナスをカバーする」という心理が働きやすいのですが、それが今の時代にいかに現実的でないかは先のエビデンスでお示ししたとおりです。時代は変化し、そのための対策科目も取り組み時期も変化しています。「共通テスト」がはじまって以来、それはすでにはじまっているのです。
もはや「先人の学習方法を踏襲することで何とかできた時代」は、入試と社会情勢の変化する現代では過去のノスタルジーに過ぎないといえます。すでに、医学部入試は「時代に応じた学習を模索する時代」になりました。「ロスのない学力構築」のための手法を手に入れられるかどうかは、入試結果に大きく影響します。そのために、われわれ予備校の分析者にも大きな責任がある時代だといえるでしょう。

2025年からは新課程入試対応で「共通テスト」に「情報」が新科目として加わり、数学②は試験時間が変更されて範囲も改変されます。また、国語は時間数が変更されて大問が増加するなどの大きな変更がありますから、これまで以上に出題される問題レベルと解答時間のバランスの混乱が予想されます。そうなれば、ますます「高得点科目で低得点科目をカバーする」という発想そのものが、現実味を帯びなくなってくるでしょう。
受験生は「共通テスト」でしか使用しない科目こそ、早期対策をする必要がありますし、過去問がないからこそ、われわれ予備校が作成した予想問題が、合格に到達する材料として重要になってくる時代になりつつあるのです。医学部受験生にとって「自分で過去問をやる」はもはや死語…そんな時代の到来です。