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得意技の使い方と「自分に合うもの」を探すことの限界

あなたは、得意科目頼みの戦いを選びますか?自分にあったものを探して戦いますか?手を抜かずに全力でやってみるという経験は、若いうちでないと積むことはできません。

「得意技」は出すな

勝ち負けのある競技に参加する時、おそらく多くの人はご自身の「得意技」を出して「ポイント」を稼ぎ、アドバンテージを得ようとするはずです。受験に当てはめれば、「得意科目」で得点を伸ばし、その他の科目の得点を足し算した時に、他の科目が若干マイナス状態でも「結果オーライ」になるようにする・・・ということがそれに近いかもしれません。
例えば理系の既卒生(浪人生)の場合、受験スケジュールは「2周め」になっていますから、理科の成績などは概ね現役生よりできて当然です。すると、年度の前半で行われる模試の成績では、既卒生は理科の得点の高さゆえに全体の成績が高めに見えます。一方の現役生はどの科目も大概は演習不足なので、既卒生に比べれば全体的に成績不安定な人が多いに違いありません。
既卒生の成績が英語や数学も高ければ問題ありませんが、いずれかがへこんでいることは多いものです。トータル成績があれば大学の合格判定は高くでるでしょうが、理科の成績で引っ張るような「突出した得意科目」で支えている判定は足下がふらついているといえます。それがもし崩れれば、他の科目のマイナスをカバーしていただけに、一気に合格判定を下げてしまうのは間違いありません。
受験生は模試の成績が返却されると、まずは判定を見るものですが、ここで心がけに注意が必要です。多くの人は判定結果が良い時には、自分の弱点を見る目を曇らせてしまいます。特に判定結果が高い場合、謙虚さがないと、人によっては自分の至らないところを解消するチャンスを失うものです。人間とは、自分が高く評価されている時ほど、「下座」が大切ではないでしょうか。
受験生は、得意科目はむしろプラスαの特典くらいに考え、むしろそれ以外の科目を強化する目線がほしいところです。「得意技」を持っている人がそれだけで勝つことに頼ると、その技が通用しない状況になった時に負けが確定してしまうといえるのです。
英語が得意な生徒が、ある単科医大を受験しました。いよいよ受験の日、1教科めの理科、2教科めの数学の受験を終わりましたが、彼はあまり得点できたという手応えがありませんでしたので、最終科目の英語にかけることにしました。しかし、自由英作文を含め非常に難度の高い問題構成のその大学では、彼が得意とする英語でさえ簡単に得点することは難しかったのです。彼のトータルの得点が合格に達しなかったことは、いうまでもありません。単科医大は出題難度が高いことがありますが、それでも全科目とも半分くらいは解ける人であってほしいものです。
一部の科目のみを「得意技」として使っている人は、日常学習での考え方を正し、自分の弱点を向上させるように心のエネルギーを傾ける必要があります。戦いに「得意技」は出すな・・・これは極端な物言いですが、要は「それだけで勝とうと考えるな」ということです。それ頼みで勝つことがクセになっている受験生には、私はそう指導しています。
しかし、生徒の中には件の彼のように、それを無視して自分の鈍った勘を頼りに、我を出して受験まで進んでしまう人もいます。「我と慢心」は人生を過たせるもとになるかもしれません。

「自分に合うもの」を探すことの限界

もしも受験生の皆さんが、日本中の大学の問題をすべて見て回るほど、時間に余裕があったらどうするでしょう。おそらくすべての大学の過去問を解いてみて、もっとも自分が得点しやすい問題の大学に出願するに違いありません。しかし、大学の合格最低点を検証してわかるのは、得点のしやすい問題の大学ほど合格点が高くなってしまうことです。問題の難度が高ければおよそ半分の得点程度で済みますが、問題の難度が低ければ7割~8割の得点というのが合格最低点の相場です。
以前、生徒の一人が地元のある大学を第一志望にしながら、第二志望以下を「似た問題」を出題する大学にしたいと相談にきました。私は、「同じような出題の大学はないと思う」と伝えましたが、一度自分で調べてみたいと彼女はいうのです。幸か不幸か、結果的に彼女は2浪してしまいましたので、都合2年間かけていろいろ調べることができたようです。はじめに私と相談した直後は札幌医科大学の「赤本」を手にもっており、2年後に報告に来た時に鹿児島大学の「赤本」を握っていましたから、本当に全大学の問題を見たんだと思います。それはそれで、なかなかガッツがありますね。結論からいうと、「そんな大学はありませんでした」ということです。つまり、1周回って私がはじめにいったとおりだっただけです。
全大学の問題を見たという自信は彼女の揺るぎない自信につながったわけですから、それは無駄にはなっていません。しかし、多くの受験生が過去問を解きながら自分に合う大学を見つけようとするのは、「自分を変える」ことがめんどうだからではないでしょうか。ちょっとでも楽をしたいという発想がどこかにある訳です。
しかし、私はそういう発想の人は少しかわいそうな気がします。受験生はまだ若い方が多いのですから、自分を新しく生まれ変わらせようという気持ちや、やると決まったことは手を抜かずに全力ですべてやってみるという経験は、若いうちでないと積むことはできないと思うからです。あっちがいい、こちらが向いている・・・それよりも、自分が変わろうとすることが大きなポイントです。自分が相手に合わせることができれば、うまくいくことは多いものです。
さて、先に紹介した彼女は、結局はじめの第一志望どおりの大学に進学し、ドクターになりました。2年かかった結果、「どこの大学でも受験できる」学力がついてからのことです。彼女の合格が過去問研究の成果ではなかったことが、受験生がどういうスタンスで日常過ごすかを示しているといえるでしょう。
「自分に合うもの」を探すことの功罪は、多くの教訓を受験生にもたらしているようです。

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