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面接官に自分を印象つける秘策がココに!

「この県による医療状況について、答えてください」。あなたは志望する大学の都道府県状況についてどのくらい知識を持っていますか?

「地域医療志望」の真実味

医学科受験には面接試験がほぼ必須であることは、何度となくご説明してきました。受験が近くなってくると、河合塾でも模擬面接を行いますが、その際には志望理由をもちろん尋ねます。
すると、比較的多くの人が「地域医療志望」で、その熱心な教育大学として、自分の受験しようとしている大学のことを挙げようとします。これはある程度当たっています。というのも、多くの大学は地域から医療者を教育することを附託されていますから、いずれの大学でもある程度それがあって当然だといえるからです。
入試方法をみますと、医学部で行われている「推薦入試」では「受験資格」としてその県の高校出身であることや在住であることを指定していることがありますし、一般入試でも「地域医療枠」として卒後の勤務地区指定を設けている大学がいくつもあります。そのことからも、各大学が地域医療に力を入れようとしていることがわかります。
ということは、「地域医療」に熱心じゃない大学などないのですから、「地域医療に熱心な大学だから」と志望理由を答えることは、概ね当たっているといえる訳です。

県による地域医療の課題を理解しておきたい

「この県の医療状況でご存じのことがありますか?」…これは医学部の面接試験で実際に問われた質問です。この2年以内では京都府立医科大、弘前大、福井大、三重大、鳥取大などで問われていますから、どんな大学で尋ねられてもおかしくありません。
当然ですが、「地域医療志望」だといっておいて、「よく知らない」では済まない質問ですね。秋田大学を受験したある受験生は、私が指導したことで秋田県の医療を自分なりに調べて理解した上で面接に臨んでおり、同じような質問がされた時に自分なりの理解で説明できたといっていました。
一方で他の受験生の中には、まったく答えられない人がいたようです。人の値うちは「言葉のみ」ではなく「裏づける行動」で決まるのではないでしょうか。「地域医療に貢献したい」ということが「ただ言葉だけの人」か、それを自分なりに調べ、理解して面接まで来る「言葉を裏づける行動を伴う人」かを切り分ける見事な質問だと思います。

また、言葉の問題としては「地域医療」と「僻地(へきち)医療」を混同している人が少なくありません。「地域医療」といえば地域の拠点病院を中心とした医療全般をさしますし、在宅医療や状況によっては「僻地医療」もその延長で含むともいえます。一方で「僻地医療」は、容易に医療機関を利用できない場所への医療提供をさす、というニュアンスの違いがあることは理解しておいてほしいことです。
「地域医療をめざす」という面接での発言が、「地域拠点病院勤務でのキャリア」を考えているのか、「僻地への医療提供」を考えているのかはやや色彩が異なるといえるのです。面接質問の途中でいずれの話をしているのか、話の地平線がブレる人がかなり目立つようです。

「地域医療を語る」ために何を知っておくべきか

受験生が地域医療(都道府県の医療状況)の現状を調べようとしても、その資料は大学のホームページではほとんど見かけません。こういうと多くの方が驚かれるようです。しかし、地域の医療状況を把握し、どのような方向が必要かを検討するのは大学の仕事ではなく、県(都道府県)の仕事だから当然だといえるのです。
各都道府県のホームページには「保健医療計画」というものが発表されており、各都道府県の医療状況の分析と将来の計画は、この資料の中にあります。県のトップページにある「検索」のボックスに「保健医療計画」と入力して検索してもいいですし、カテゴリー分けされた「医療」や「くらし」の中から探す方法でもいいでしょう。
資料の形態や編集は都道府県によってやや違っており、触れていることもやや異なります。しかし、必要最低限のことは分析として掲載されていますので、受験の前には目をとおしておきたいものです。

まずおすすめとして、受験大学所在県の「二次保健医療圏」を把握して特徴をよく知っておくとよいでしょう。「二次保健医療圏」とは、近隣の市町村を複合させた単位で、一体の区域として入院治療レベルの体制を確保する地区的まとまりです。医師数が充足しているかどうかも、この単位で見ることが多いです。現在、全国の二次保健医療圏は全部で344程度あり、各県の保健医療計画書にはそれぞれ自分の県の地区割と、その分析を掲載してあるのが普通です。
香川県を例にとるとどうでしょう。香川県の二次保健医療圏は「小豆」「大川」「高松」「中讃」「三豊」の5つに分かれています。面接で香川県の医療について伝える時に、「香川県の都市部以外では…」と曖昧にいうのと「三豊地区では」「中讃地区では」と保健医療計画の内容を押さえて、しっかりと区分を分けて説明できるのとでは、圧倒的に香川県の医療に対する説明のクリア度が違いますね。

「10万対の医師数」も把握しておくとよいでしょう。これは全国の「二次保健医療圏」ごとに「10万人あたりの医師数」を算出したものです。平成28年の全国平均の「10万対の医師数」は医療施設従事者としては240.1人(免許保持の届出総数では250.1人)でした。
例えば青森県には6つの「二次保健医療圏」がありますが、そのうちで「津軽地域」での「10万対の医師数」は293.1人ですから、全国平均に比べると「かなりよい」ということになります。ところが、それ以外の5地区では全国平均値を下回っています。
「地方は医師が足りない」という思いこみが多くの人にありますが、それは地方の中でのさらに「二次保健医療圏による」ということを知っておきましょう。面接の際に「地方=医師が少ないに違いない」という感覚で、「青森県は医師数が少ない」などと思いこみで語る人が多いようですが、それは一概にはいえないことを知っておく必要があります。人口に対する医師数で過不足を判断しなくてはならないでしょう。面接官も「当たっているようで当たっていない」と辟易としていることでしょうね。
逆の例でいえば、大阪府など医師数が多すぎるのではないかと思われがちですが、府下の8つの二次保健医療圏のうち「10万対の医師数」で全国平均を上回っているのは4つだけです。人口が多ければ医師数も必要ですし、保健医療計画書を見るかぎりもっと深刻な問題は、診療科の偏りの方だといえます。
国公立大学を受験する人は、自分の居住している地域以外の大学を受験することが多いという現実があります。それは大学の方も承知していることです。しかし、「地域医療を志望動機に語る人」が、その大学の所在県のことをまったく知らないで受験にいくことは賛成できません。少なくとも自分なりに問題を把握し、その課題を自覚して「地域医療を語るべき」ではないでしょうか。

厚生労働省「医師需給分科会」では、医師少数地区で一定期間の勤務経験があることを「地域支援病院の管理者(院長)の要件」となるように方向付けようとしています。皆さんはご自身のキャリアプランを考えておられるでしょうか。
まだまだ先のことのようですが、卒後すぐに自分のキャリアがスタートすることを考えておく必要があるでしょう。将来医師を目指す人たちには、そんな大人感覚を持った人が求められます。それがこれからの医学科入試だといえるのです。