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2017.6.30公開

分かっているようで分かっていないのが「自分」

面接試験で尋ねられていることについて「ちゃんと答える」には?

「自分」の調査をしておこう

これまで機会があるごとに、医学科入試では「学科試験」の他に「面接試験」が課されることをお伝えしてきました。もちろん、落ち着いて対応できれば問題ありません。しかし、こう伝えると「対策できる」という妙な安心感に通じるのか、かえって落とし穴になるようです。
予備校というところは「模擬面接」で「面接試験」の指導もしています。しかし、個人的にはこれまでの「模擬面接」の感触でいえば、「尋ねられる」とわかっているはずの質問に「ちゃんと答える」人が非常に少ないのも事実です。

では、「ちゃんと答える」とはどういうことなのでしょうか。

まず一つ目は、できれば「台詞の棒読みをしない」ことです。面接試験の練習をしていると、目の前に書いてあるカンペを読んでいるような、一字一句そのままで暗唱しようとしているような話し方をする人がいます。しかも、こういう人が意外と多いことに驚きます。
緊張すれば、多少棒読みになってしまうことはあるかもしれません。しかし、そういう受け答えが度重なると、あまりに準備されすぎているように見え、言葉に出た内容と本人の接点に真実味を感じにくい、ということが問題なのです。「表現方法が生きていない」といってもいいかもしれません。コミュニケーションは「言葉の内容意外も含む」ことを理解している人は、そういう話し方はしないものです。一字一句の内容にとらわれすぎ、コミュニケーション能力の無さを同時に伝えるようではかえってマイナスです。

二つ目は「答えるべき質問には答える」ということです。質問する側には前提として「知っておいてほしいこと」があり、それを確かめようとします。しかし、これに答えられなければ次に進めないのです。
知識として「知っておいてほしいこと」の基本は、その都道府県のことです。特に国公立大においては、医療行政区をどのように区分けしているのか、その県の医療の課題はどうなっているのか、医師確保にどのような施策をとっているのかなど、大学設置県に関わる知識は必要でしょう。
特に「地域枠」のような推薦入試の面接では、当然必要な知識ですし、卒後の条件のある大学ではそのことをしっかり確かめようとするでしょう。
地方大学を受験する受験生の多くが大学の「地域医療に熱心」という部分を強調することが多いのですが、県ごとに抱える課題はよく知らないケースが目立ちます。「その県」の医療に関する問いは多くの国公立大学で問われています。これらは県のホームページに、ある程度は掲載されています。

そして、三つ目は日頃から「適切な表現」や「適切な深み」のある言葉を見つけておくことです。質問への回答では、うまく自分の考えていることを乗せる表現が大切です。しかし、多くの受験生は質問されてはじめて自分の中に言葉を探しにいき、結局浅薄な表現に終始して上手く伝えられないことが多いようです。
こういった自分を深く堀り下げた回答を緊張しているその場で考えることは、かなり難しいことです。ですから、志望大学の過去の質問事項を調べたら、事前に「適切な表現」や「適切な深み」を自分なりに考え、できれば言葉に出して伝える訓練をしてみることが日頃に求められるのではないでしょうか。
では具体的に「面接試験」の質問は、どのようなレベルまで考えておくと良いでしょうか。私の場合、「模擬面接」を実施する際に事前に提出書類を書いてもらうことが多いのですが、その項目にいくつかの条件をつけています。それがその質問への「適切な深み」になるようにしています。
経験豊かな方から見れば、もっと別の分類や項目があってももちろん良いでしょうが、あくまで一例として下の表にある質問と「条件」を参照してください。

<表>

志望動機を書きなさい

将来のビジョンについて書きなさい

大学に入ったら何をしたいか書きなさい

最近興味のあるニュースを述べてください

自分の長所と短所を書きなさい

自分にとっての高校生活はどうかを書きなさい

条件

①医学科への志望動機は何か、「キッカケ」+「今のモチベーション」で述べること

②この大学の志望動機は何かを「カリキュラムか研究内容」に必ず触れて述べること

①自分の将来の在り方(ビジョン)をどう考えるかについて述べ、臨床か研究か、何科かをめざすかを明確にすること

②卒後の進路をどう考えているのか、20年後の自分を想定した回答を作成すること

①専門分野の学習のこと

②私生活を含む全般のこと

以上の2種に触れること

①医療系のニュースとそうでないニュースの2つを挙げられるようにすること

②ニュースの事実は正確に書くこと

③自分の意見や感想を付け加えること

①長所は3点挙げ、自己PRとして1分程度で述べられるように作成すること

②短所は「克服する努力」も含めて述べること

①感動したこと

②がんばったこと

③自分に影響した出来事に触れること

これらは、質問する相手の「本当にききたいこと」を「条件」にしているわけです。ですから、これを含んで回答することは、「気が利いている」ということです。
例えば「短所を質問」することがあります。もっとも、どんな人にも短所がありますから、その回答そのものにはさほど質問者は関心がないかもしれません。それよりも、日頃にその短所をどのように補おうとしているかは「短所以上に関心がある」はずです。ならば、そこまで踏み込んで伝える方が「適切な深み」というものです。

もっとも身近なのにもっとも理解しづらく、もっとも伝えづらいものは自分自身のことです。だからこそ「自分を調査」して、「適切な深み」で「適切な表現」を見つけておくことが求められるといえます。そして、それを「適切な表現」を示す言葉で表し、棒読みでない自分の表現方法で伝えること…。これが能力を見るために「試験」として成立するといえるのです。
「面接試験」を通して自分自身の調査をすること、これが日常で求められているのかもしれません。