卒業生の体験談022： 大検取得 ＞ 愛知工業大学 ＞ 名古屋大学大学院に進学（入塾時19歳） コスモ体験談 | 河合塾COSMO

中学3年生の頃に不登校になりました。なぜ不登校になったのかは今考えてもあまりよくわかりません。学校に行くのが辛くなって、朝起きられなくなりました。些細な事が原因でだんだんとクラスに行くのが辛くなったように思います。学校に行かなくなると、自分の居場所がクラスになくなったようで、不安がさらに大きくなりました。そんな感じで、中学校3年生の時はほとんど学校に行きませんでした。その後も学校に行く意味も見出せずにいました。ただし、コンピュータには強い興味があり、コンピュータに関連した仕事を将来したいと漠然と考えていました。大学入学資格検定を取り、ステップアップをするため、河合塾コスモに入塾しました。

入塾した後は大検（現高卒認定試験）に向けて勉強をしていました。コスモの授業にも普通に出席していました。しかし、この頃は、勉強することと大学に行くことは結びついていませんでした。
ゼミは、「Let’s chat」ゼミ、「コスモ数学」や「おやまくらぶ」、「コスモ農園」に参加していました。
ダグラス講師が担当している「Let’s chat」ゼミには、英語はあまり好きではなかったのですが、フェローに誘われて、毎週参加していました。このゼミでは、20人程度の仲間と協力して映画撮影を行いました。ストーリー構成、英語への翻訳、映像編集など、みんながそれぞれ得意なことを担当して一つの作品を作り上げるという経験を得ることができました。自分の得意なことが、みんなの役に立っている実感を得ることができ、心地いい場所だなあと、自分の居場所を見つけることができたように思います。
大内講師が担当している「コスモ数学」のゼミでは、日常生活の中に潜む数学を、手を使ってのもの作り・作品創りを通じて身につけていけたと思います。多面体の展開図を書いて、その辺を歪ませることですごく複雑な立体を作ってみたり、針金にシャボン膜を貼って、表面積が最小になるように膜を貼ったり、ピンホールカメラをつくったりしました。テントに暗幕を張って、そこにピンホール、細い穴をあけることで、テントの中は真っ暗なのですが、ピンホールが開いていると内側に外の映像が浮かび上がるということもやりました。テントの中に入って外と隔絶されているのに、中に穴を通して外の景色浮かび上がるという不思議な体験でとても印象に残っています。
また、大内さんには『オイラーの贈物』という本を紹介して頂きました。この本を読んで本当に良かったと思います。
"eiπ = -1"というオイラーの公式があります。この公式を理解するのに基礎的な部分からしっかりと解説してくれている本です。 "e"というのは自然対数の底で数学では重要な数なのですが、これと"-1"という数と円周率の"π"が綺麗に結びついている公式で、この本でこの公式を理解することが出来ました。この本で勉強した内容は、大学に入ってからも本当に役に立ったので勉強しておいてよかったなと思います。
中野講師の物理の授業では、物理の面白さを初めて知ることができました。力学、電子磁気とか、量子論の難しい話ですが、わからないところがあると中野さんが丁寧にすごくわかりやすく教えてくれました。この時に物理学に興味を持って研究者になりたいという気持ちを強くしました。英語が苦手だったのですが、相談をしたら物理を英語で勉強したらどうだと中野講師に言われて、それで英語嫌いを克服することができました。
コンピュータに関しては、当時コスモに得意なフェローさんがいまして、パソコンの中に入っている「CPU」（中央演算装置）を作ろうということで、市販のパーツを買ってきて作ったりもしました。ここで電子工作の技術も学ぶことができました。
コスモでは、受験勉強だけではなく、実際に自分で手を動かしながら、表面的な知識だけではなく、自分で問題解決をしていけるような知恵を学びました。

コスモ卒業後は、愛知工業大学の電子工学専攻に進みました。コスモで学んだ数学・物理・電子工作の知識を基礎として勉学に励んだ結果、1年から4年まで主席を通し、卒業時には成績最優秀者として学園賞を授与されました。在学中にはカナダに9ヶ月の留学もしました。カナダでは多様な文化を持った人とのコミュニケーションを通じて自分に自信を持っていけるようになりました。
大学を卒業後には、もともと物理が好きだったので、プラズマの勉強をしたいと思い名古屋大学の大学院の工学研究科に進学しました。大学院では、得意なコンピュータシミュレーションを使って研究を進めていたのですが、国際会議にも参加したり、外国で発表したり、賞をもらうことができたりいろいろな経験をすることができました。

自分にとってはコスモで過ごした時間がターニングポイントだったと、今振り返っても思います。コスモでは自由闊達な雰囲気の中で生きる力を養い、自分の居場所を見つけることができて、自分に自信が持てたと思います。高校に行かないという、大多数の人と違う生き方をしているということで、自信を持てずに先が見えないと苦しんでいる人もいると思うのですが、私の場合は高校に行かないということでそれをバネにしてきました。みなさんも、コスモでいろいろな体験をして、それを基盤として、自分に自信が持てるようにやっていっていただきたいと思います。

コスモ在籍3年　卒業時19歳
愛知工業大学工学部電気学科電子工学専攻 卒業
名古屋大学大学院工学研究科エネルギー理工学専攻博士後期課程　修了(博士(工学))
釧路工業高等専門学校電気工学科(助教) (2014年4月現在)