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医学部医学科ガイダンス 医学部特別講演「医師への道とその多様な将来像」 イベントレポート | 体験授業・イベント

現在の医療と将来について

2016年10月15日に河合塾 名駅キャンパス名駅校にて、医学部医学科ガイダンスを開催しました。
高校生・高卒生・保護者の方を対象に、医学部医学科の大学教授や入試担当者をお招きし、講演会や個別相談会を実施しました。
その他にも、現役医大生による体験談の講演や個別相談コーナーを設けるなど、医学部医学科志望者にとっては大学のナマの情報を入手できる絶好の機会となりました。

また特別講演として、病理学を専門にされている名古屋大学医学系研究科 生体反応病理学・分子病理診断学教授の豊國伸哉先生に、病理とは何か、医学部を志望するにあたってすべき事などをお話ししていただきました。
来塾者は受験生や保護者の方々を中心に、約110名の参加がありました。

会場の様子
会場の様子
会場の様子

医学部医学科ガイダンス 医学部特別講演

日時

2016年10月15日(土)16:10~17:40

会場

名駅校

対象

高校生・高卒生と保護者の方

人とのかかわりと、常に勉強し続ける事を大切に

豊國 伸哉(とよくに しんや)教授

<講演者プロフィール>
名古屋大学医学系研究科 生体反応病理学・分子病理診断学
豊國 伸哉(とよくに しんや)教授

1985年 京都大学医学部卒業。
1991年 京都大学大学院修了(病理学・医学博士)。
1990-92年 米国Food and Drug Administration博士研究員。
「かたち」が好きで、すべての病気の診断・研究ができることから「病理学」を専攻した。病理専門医かつ、がんの研究者。
1992-2008年、京都大学で助手・講師・准教授を務めたあと、2008年より現職。活性酸素・フリーラジカルあるいは過剰鉄による発がん研究の第一人者。アスベスト繊維による中皮腫発がん機構の解明や、どのようなナノマテリアルの危険性が高いのかを同定するのに尽力した。年2回の献血による三徳を唱道している。日本酸化ストレス学会理事長、日本鉄バイオサイエンス学会理事長、国際科学誌7誌の編集に携わる。
2015年 日本病理学賞受賞。

あらゆる病気の診断・研究ができることから「病理学」を専攻したという豊國教授。日本酸化ストレス学会理事長、日本鉄バイオサイエンス学会理事長を務めるほか、国際科学誌7誌の編集に携わるなど、その分野の第一人者として世界にその名を知られています。冒頭に、「私は高校1年のころに、将来は医者になると決心しました。きっかけは、医者が主人公の映画やドラマです。ヒロインが白血病や脳腫瘍など不治の病を患ってしまい、愛する恋人を残してこの世を去ってしまう、当時の作品でいえば『ラストコンサート』や『ラブストーリー』、最近の作品では『世界の中心で、愛をさけぶ』などといった作品を観て、将来はがんの研究をしたいと思ったのです。」と話されました。
現在は病理医・研究医として、主にがん研究の分野などで活躍されている豊國教授。病理学とはどんな学問なのか。「医学の世界では古来より、死因となる疾患の解明に取り組んできました。やがて臨床部門として診断病理学が発展し、現在の病理診断科となりました。病理の役割を一言で表現すると“医学に関する新しい発見により世界中の人々を救うこと”。原因がわかっていない病気に難病指定をすることも役割のひとつです。エボラ出血熱という病気を聞いたことがあるかと思いますが、患者を空港で止めて感染の拡大を未然に防ぐことも広い意味での病理医の役割です。このように、臨床医学・病理学のような基礎医学・社会医学が密接に関わり合いながら機能することで、医学というものが成り立っているのです」。
また、病理医の主な仕事である病理診断とは、具体的にどのようなものか。豊國教授は、手術の現場をもとに説明してくださいました。「例えば、胃がんの手術で胃を切除する場合、患者の体から胃が離れた瞬間に病理の領域となります。まずは、がんをしっかりと取りきれているかを確認します。迅速病理診断で取りきれていないことがわかった場合は『あと1cm余計に切ってください』と執刀医に伝えることもあります。また、がん細胞がどこまで深く入っているかを診断することも、患者の生命予後を決める重要な仕事です。リンパ節に転移がないかを顕微鏡でつぶさに調べたりもします。さらに、病理解剖も我々の役割です。名古屋大学では年間30~40体の病理解剖を行っています」。

では、豊國教授はなぜ病理医の道を選んだのか。「病気と関係があれば何を研究してもいい分野ですので、カバーする疾患範囲が広いということが最大の魅力でした。また、私はさまざまな“カタチ”に興味があり形態学を学べることも理由のひとつです」。さらに、病理医となってから気づいた長所も多いと話されました。「各科の情報の最前線であること、医師のための医師であること、決定的かつ最終的な診断を行う重要な存在であること、病理診断の結果から新たな発想を得られること、海外出張が多く学びの場が多いこと、患者と直接的にかかわらないことから仕事に没頭できることも長所です。また、80代で活躍している病理医もいるように、長く働けることも利点です」。
さらに、「臨床医は担当する患者のペースに自分の生活を合わせる必要があります。病理医は患者と直接的に関係しないため時間の使い方を自らアレンジできることから、家族団欒や子育てに積極的に参加できることも長所といえるでしょう。当直もありません。短所は、その逆で、患者を直接診ることができないということです。病理外来を開業している病院もありますが、決して多くはありません」。ちなみに、現在日本には約30万人の医師がおり、その中で病理医は2000人程度。だからこそ需要はあり、必要とされる存在であると話されました。

講演の様子

最後に、医療の世界を志す人へのエールとともに、メッセージが送られました。
「私が一番言いたいのは『医師は引退するまで毎日が勉強である』ということを十分認識してほしいということです。医学の世界は大学や大学院を卒業しても、どんどん新しい情報が入ってきます。死ぬまで勉強する覚悟で、医療の道へ進んでいただきたいと思います。また、医師は人とかかわることを好む性質が重要になっています。臨床医はもちろん、患者と直接かかわらない病理医でも海外の多くの研究者と関係を持たなければなりません。人との関係性を大切にすることも忘れないでください。加えて、基本的な倫理観を持つこと、しかもぶれない倫理観であることが重要です。さらに、英語によるコミュニケーションに習熟することに力を注いでください。医学に関するすべての情報は英語で入ってきます。英語でディスカッションでき、論文を書くことができる、“使える英語”を、ぜひ身につけてください」。

参加者の感想(一部抜粋)