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名古屋大学×河合塾 共催イベント「名大研究室の扉in河合塾」第31回 医学部 「なぜ人は白血病になってしまうのか?」 イベントレポート | 体験授業・イベント

名古屋大学と河合塾のタッグで授業。

講演の様子

名古屋大学との共催イベント「名大研究室の扉in河合塾」第31回 医学部を、2019年5月12日(日)河合塾千種校で開催しました。
河合塾と名古屋大学が共同で行う特別イベントとして、中学生、高校生、高卒生、保護者の方を対象に、名古屋大学医学部の教員の方をお招きし、講演会や懇談会を実施しました。約100人の生徒・保護者の方が名古屋大学の最先端研究者の講演を聞き、大学での研究の奥深さや楽しさを体感できる絶好の機会となりました。

講演内容

第1部:名大教員による最先端研究についての講演
第2部:大学院生による大学生活や研究についての講演
第3部:講演者や大学院生と参加者による懇談会

日時

2019年5月12日(日)14:00~16:00

会場

千種校

対象

中学生・高校生・高卒生と保護者の方

急性白血病発症の分子メカニズム解明と治療薬の探索

●第1部:なぜ人は白血病になってしまうのか?
早川 文彦(はやかわ ふみひこ)教授(医学系研究科)

早川 文彦(はやかわ ふみひこ)教授(医学系研究科)

がんはあらゆる病気の中でももっとも死亡率が高く、国民の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる時代と言われています。白血病は血液のがんで、特に急性白血病の場合は非常に進行が早く、治療をしなければ発症から2〜3カ月で亡くなる方が多い疾患です。

このような状況の中、早川文彦教授の研究室では、主に急性リンパ性白血病発症の分子メカニズムの解明と、治療法の開発をテーマとした研究を行っています。白血病の発症頻度としては、急性骨髄性白血病が半数以上を占めるのですが、18歳未満では急性リンパ性白血病が最も多いです。

早川教授は、血液のもとになる幹細胞が、遺伝子異常で白血球や血小板に「分化」できなくなる病気が白血病だと解説され、先生が取り組んでみえる研究例を、専門的な用語を使いながら、丁寧に説明されました。具体的には、白血病の原因遺伝子を同定する研究の実例として、「融合タンパクPAX5-PMLによる急性リンパ性白血病発症メカニズムの研究」を紹介されました。PAX5は、Bリンパ球の分化誘導に必要な転写因子です。しかし、急性リンパ性白血病ではPAX5遺伝子変異が頻発していることが分かっています。そこで、早川教授の研究室では、こうした異常の中でも融合遺伝子であるPAX5-PMLに注目し、急性リンパ性白血病発症メカニズムを研究しました。その結果、PAX5-PMLがプロモーター上で野生型PAX5に結合し、その転写活性を抑制することを明らかにしました。さらに、PAX5-PMLをマウスpro B細胞に導入することで、急性リンパ性白血病が発症することも実証しました。また、PAX5-PMLによる白血病発症には、PAX5の転写標的の一つであるBLNKの発現抑制が特に重要であることも発見しました。

今回の講演会には、中学生の方も多く参加されていましたが、早川教授の専門的な話にも熱心に聞き入っていました。

最後に早川教授は、「病気の原因が分かれば、治療薬の開発にも繋がる可能性があります。そうすれば、この疾患により命を失う方を一人でも多く救えます。とてもやりがいのある研究なので、一生懸命勉強して名古屋大学医学部に入学してください。」とメッセージを送られました。

大学生活や研究内容を知り、将来の幅を広げる

●第2部:大学院生による大学生活や研究についての講演
医学系研究科(医科学専攻・分子細胞化学) 塚本 庸平(つかもと ようへい)氏
医学系研究科(リハビリテーション療法学専攻・作業療法学) 小方 智広(おがた ともひろ)氏

第2部では、名古屋大学医学系研究科所属の2名の大学院生に、キャンパスライフや現在の研究内容をテーマにお話ししていただきました。

医学系研究科(医科学専攻・分子細胞化学) 塚本 庸平 氏

医学系研究科(医科学専攻・分子細胞化学) 塚本 庸平 氏

現在、名古屋大学大学院 医学系研究科に所属されている塚本さん。学部時代は同志社大学の生命医科学部に所属していましたが、4年生になった際、面白いと感じた研究テーマが見つかり、その研究ができる名古屋大学大学院への進学を決めたとのことです。

自己紹介の後は、学部・大学院の仕組みについてのお話をいただきました。もともと4年生の大学の学部にいても、6年制の学部の修士課程に進むこともできるというお話から、修士課程に進んだ方の中にはさまざまな背景の方がいらっしゃると紹介されました。同じ領域の学部・学科の方だけではなく、さまざまな学びを経験した人たちとともに学べるのは非常に良い刺激になっているそうです。

さらに、現在の塚本さんの生活についてもお話いただきました。朝は8時に起床、9時30分~12時まで研究し、1時間の休憩後は23時までまた研究という、まさに研究尽くしの生活です。毎週火曜日には研究室のメンバーで研究内容を発表し合い、お互いの進捗確認と情報交換をしているとのことで、ハードですが充実した日々を過ごされているようです。

そんな塚本さんは、糖質科学を基盤とした研究を行っています。多細胞生物の発生や分化に重要な役割を果たす「Notch受容体」を中心に、細胞についているたんぱく質の糖鎖について研究されているそうです。糖鎖がないと、細胞同士のやりとりが正しく行われず、重大な病気や疾患につながってしまいます。塚本さんは、糖鎖がどれだけあれば正しいのか、またどれが正しく機能していれば良いのかなど調べているということでした。

研究尽くしの毎日の中でも、「課題に対し試行錯誤したり、ちょっとしたことに気づいて、またそれについて考えたり、その繰り返しが楽しい」と感じているという塚本さん。講演の中でも研究内容について教えてくださいましたが、さらに気になる人はぜひ研究室に遊びに来てくれたら嬉しい、と笑顔を見せていました。

医学系研究科 リハビリテーション療法学専攻(作業療法学) 小方 智広 氏

医学系研究科 リハビリテーション療法学専攻(作業療法学) 小方 智広 氏

名古屋大学医学部保健学科を経て、現在の医学研究科に所属していらっしゃる小方さんは作業療法士の資格をお持ちで、大学院にて研究に従事される側ら、作業療法士としても働きながら、病気や障害が原因で歩行や応用的動作が困難になった方を支援されています。研究面では特に、統合失調症と脳の関係を明らかにしてリハビリへ活かすことを研究されており、MRIで撮影した患者の脳神経を比較分析することへの取り組みや、患者の視線を解析することで日常生活をおくる上での課題を洗い出すことへの取り組みなどを紹介していただきました。

小方さんは、脳を研究することや、研究・議論を通して知見を深めることへの興味があったことから大学院へ進学されたそうで、ご自身の経験から、「大学院への進学は大学に入学してから考えても遅くはないのであせる必要はない」とのアドバイスをいただいたほか、医学部をめざす参加者に向けて、「医学部は医療従事者をめざす人が集まる場所なので、入学すれば将来の進路は医療従事者になる人が多い。進路を迷っている人は、医療従事者になるという志があるかを自分に問うべき」という貴重なメッセージをいただきました。

専門分野をより深く、興味と経験・知識の交換会

●第3部:講演者と参加者による懇談会

第1部・第2部の終了後、早川教授と大学院生2名でそれぞれのコーナーに分かれ、参加者との懇談会が行われました。

早川教授の懇談会に参加した方たちからは研究内容に深く切り込んだ内容から、早川先生が医師を志望された理由に関することなど、さまざまな質問が寄せられました。その一部をご紹介します。

Q.早川先生が医師をめざされた理由をお聞かせいただきたいです。
A.きっかけは、自分がいつか死んでしまうことが信じられず「死ぬのが怖い」と思ったことです。「人はなぜ死ぬのか」を知りたいとの思いから、医師をめざしました。専攻を選択する際には「人はなぜ病気になるのか」を研究して理屈を知りたいとの思いから内科を選択し、現在の研究をするに至りました。

Q.白血病は血液細胞の分化障害だとお伺いしましたが、近時話題のIPS細胞は白血病の治療に利用される見込みはありますか。
A.IPS細胞を治療に活用していくことは網膜の治療などにおいて始まっていますが、現状では血液の病気の治療には活用される予定はありません。たとえば白血病への活用としては、IPS細胞を使って患者の正常な細胞を作ることが考えられなくはないが、そもそも白血病の患者でも白血病になっていない正常な細胞も有しているのでその必要はありません。また、骨髄移植への活用としては、IPS細胞を使って患者の骨髄を作り、移植することも考えられなくはないが、骨髄移植では他人の骨髄を移植することで、移植した他人の骨髄が患者の白血病細胞を攻撃するという免疫的な作用を治療効果として狙っていますが、患者自身の骨髄ではその効果が得られなくなってしまうため、白血病を治療することへの活用は難しいと考えられています。

Q.自分は血液内科の看護師ですが、医師という仕事の大変さがわかっているので、自分の子どもに勧められません。先生はご自身のお子さんに勧められますか。
A.私は自分の子どもには医師になることを勧めています。医師という仕事は確かに大変です。労働時間が長時間に及ぶこともあります。ただ、自分は「医師になりたい」との思いからこの仕事をしているので、苦だと思ったことはないです。医師の世界をリアルに描写している書籍などもあるので、ぜひ一度読んでみてください。決してネガティブなことばかりではありません。

講演者と参加者による懇談会

大学院生2名との懇談会に参加した方々からは、医学に関することや学部選択などについてさまざまな質問が寄せられました。その一部をご紹介します。

Q.高校2年生です。医学部に入るために、今しておくべきことはありますか?
A.(小方さん)受験勉強ももちろんですが、大学に入ってからもっと英語を勉強しておけば良かったな、と感じています。英語が話せたら、もっといろんな人とのコミュニケーションをとったり、できることが広がったのでは、と感じています。
(塚本さん)答えがないことについて考える力を養っておくといいです。大学に入ってからは、そういった問題について考える時間がとても多くなります。

Q.作業療法と理学療法の違いはなんですか?
A.医療の中でリハビリテーションに従事するという点では似ているといえば似ています。ただ、作業療法はもともと精神科の分野から発生したという成り立ちがあり、整形外科において発展してきた理学療法と背景的に異なります。たとえば認知機能に関する分野などは作業療法の領域に入ります。タイムリーな話題で言うと、運転能力の有無を判断するといったことも作業療法の領域に入ります。

Q.大学の研究室には学生でなくても見学に行って良いのですか?
A.研究室のホームページなどに担当の先生のメールアドレスが掲載されています。そのアドレスに見学希望の旨を書いて送付すれば、見学することができますよ。知る限り、見学に来られていやだ、という先生はいなかったと思いますので、興味があればぜひ見学してみてください。

参加者の感想(一部抜粋)