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名古屋大学×河合塾 共催イベント「名大研究室の扉in河合塾」第14回 経済学部「ゲーム理論で『談合』を科学する」 イベントレポート | 体験授業・イベント

名古屋大学と河合塾のタッグで授業。

名古屋大学 野口 晃弘(のぐち あきひろ)経済学部長

名古屋大学との共催イベント「名大研究室の扉in河合塾」2016年第2回 経済学部を、2016年6月12日河合塾千種校で開催しました。
河合塾と名古屋大学が共同で行う特別イベントとして、中学生・高校生・高卒生・保護者の方を対象に、名古屋大学経済学部の教授と大学院生をお招きし、講演会や懇談会を実施しました。約120人の生徒・保護者の方が、名古屋大学の先端研究者の講演を聞き、大学での研究の奥深さや楽しさを体感できる絶好の機会となりました。

冒頭、名古屋大学の野口 晃弘(のぐち あきひろ)経済学部長は、「名古屋大学経済学部は、前身の名古屋高等商業学校が設立された1920年から数えて、2020年に100周年を迎えます。その100年の歴史と伝統を反映して、現時点における同窓会員数は14,000名にのぼります。名古屋大学経済学部では、経済学、経営学の両方を学ぶことができ、そこで4年間という場所を共有する仲間は、とても貴重なものです。今日は経済学研究のおもしろさが伝われば幸いです」と話されました。

講演内容

第1部:名大教授・准教授による最先端研究についての講演
第2部:大学院生による大学生活や研究についての講演
第3部:講演者や大学院生と参加者による懇談会

日時

2016年6月12日(日)14:00~16:00

会場

千種校

対象

中学生・高校生・高卒生と保護者の方

「談合」が成立する条件と、それを発見し告白させる「ゲーム理論」

花薗 誠(はなぞの まこと)准教授(経済学研究科)

●第1部:「ゲーム理論で「談合」を科学する」
 花薗 誠(はなぞの まこと)准教授(経済学研究科)

第1部では花薗准教授の自己紹介と研究内容についてお話いただきました。
経済学の中にはたくさんの分野がありますが、花薗准教授は、ゲーム理論と産業組織論を専門とされています。ゲーム理論は一言でいうと戦略的な意思決定の科学であり、そして産業組織論とは企業と産業の基礎的な分析、たとえば企業戦略(価格、研究開発等)はどんな要因で決定されるのかということを考えていきます。「経済学の魅力は、人々の行動やその動機を基礎として、社会状況や問題点・解決策を解明しようとするクールさであること。そのおもしろさが少しでも伝われば」と話されました。

次に、「談合」についてお話しいただきました。
談合とは、事業者に有利な価格で取引を可能にするための話し合いや合意のことです。主に競争入札前の事前協議、また似たものとして、価格カルテル(市場でモノを販売する複数の企業が価格競争を避け、高価格で販売するために結ぶ協定で、談合と同様に事業者にとって優位なもの)があります。談合の問題点は、公平性、公正性に欠け、経済的な非効率、つまり費用対効果がプラスの取引を阻害することです。談合・カルテルは、協定を結ぶ企業の利益の追求のため有利な価格の下で非効率取引を行い、消費者・顧客・国民の利益を毀損する問題があります。ゆえに反社会的行為とみなされ、各国の競争法(日本では独占禁止法)の禁止対象となっています。これを解決するためには、談合やカルテルを支える仕組みの理解とそれらを阻止する方法を考えることが課題となります。
談合を機能させるためには協力行動の指示、裏切り者の発生時の対応の両方が必要です。この構図をゲーム理論で読み解くことができます。
ゲーム理論とはゲームの状況で、行動主がどのような意思決定を行うかを考える理論で、ゲームとは複数の行動主(プレーヤー)による、行動と利害の相互連関関係と定義されます。談合・カルテルは競争と協調のゲームであるといえます。利益が大きく、裏切りのメリットが小さい状況の下では、相互協力関係が結ばれ、談合・カルテルが成立しやすくなります。
これまで、状況証拠があっても、決定的な証拠や事実が表に出にくく、談合を暴くのは大変難しいとされてきました。ところが、統計分析の研究の発達により、うまく統計データを用いると、談合の探知ができ、また2006年に導入されたリニエンシー制度(課徴金減免制度)に基づく談合の自白により、談合の認定・探知の確度が上昇しています。

第14回 名大研究室の扉in河合塾

<まとめ>

①談合は反社会的行為で消費者や顧客の利益を奪い、効率的な取引を阻害する
②談合を支えるのは、互いに相手の裏切りを抑制する、信憑性の高い脅しの存在
③談合を暴くために、不自然な入札行動の有無を示す統計データの活用やリニエンシー制度による自白の促進が有効

<今後の課題>

①暴かれていない談合はどの程度あるのか
②日本を含め各国で罰則は年々厳しくなっているが、談合は減っているのか
③リニエンシー制度の談合抑制の効果について

経済学の中に数学的要素も織り交ぜながら、談合についての講演を図や、表を用いて具体的にわかりやすくお話していただきました。

最後に、名古屋大学経済学部の紹介として、名古屋大学経済学部でできる幅広い学び、そして人材育成、伝統と蓄積、国際交流といった特色、名大経済の強みなどについてお話いただき、「一生懸命勉強する学生を育てていきたいと思う」と締めくくられ、参加者からは大きな拍手が送られました。

大学生活や研究内容を知り、将来の幅を広げる。

●第2部:大学院生による大学生活や研究についての講演
 経済学研究科 産業システム専攻 会計学 窪田 嵩哉(くぼた たかや)氏
 国際開発研究科 国際開発専攻 経済開発 奥田 森映(おくだ もりえ)氏

第2部では、名古屋大学理学部研究科所属の2名の大学院生に、キャンパスライフや現在の研究内容をテーマにお話しいただきました。

経済学研究科 産業システム専攻 会計学 窪田 嵩哉 氏

経済学研究科 産業システム専攻 会計学 窪田 嵩哉(くぼた たかや)氏

初めに、窪田さんはなぜ経済学部を選んだのか、大学院進学へのきっかけを説明してくださいました。
経済学を専攻しようと思ったきっかけは理数科に所属していた高2の進路選択の際、自身が理系学部に進んで何をやりたいかを考えたときに、システムエンジニアや医者になるのは何か違うのではないかと感じられ、就職の有利さから文転し経済学部を選択されました。
大学経済学を学び始めた頃は、経済理論の授業において先生方のおっしゃることが難しいと感じられたそうですが、大学2年生のとき、日商簿記の資格取得に向けて勉強していったところ、管理会計に興味を持ち、3年生のときに現在所属されているゼミを選択されました。また、実際に企業との共同研究を行くなかで、「実際に企業でやっている実務と教科書に書いてあることは違う。それならば、実際の管理会計がどう運用されたら良いのか」を考えるようになり、指導教官との相談のうえ大学院進学を決意されました。
続いて、実際に大学院ではどのような研究をされているかをお話しいただきました。研究している管理会計について、宅配ピザの値段の仕組みの例を入れながらわかりやすく説明いただき、研究テーマである組織間管理会計について「組織の壁を超えて行う必要があり、企業同士が協力して原価削減に努める必要がある」ことをお話しされました。こちらもチョコレートの輸出入と加工を例に挙げながら、わかりやすく説明してくださいました。そして、「研究とは先行研究という過去の研究を元に、誰も知らないことを明らかにする」ことであり、それが魅力でもあると話されていました。
最後に、ご自身の研究活動(論文を読む・書く、ゼミ発表・学会に参加するなど)と研究環境についてお話しされ、高校生の皆さんへ「経済学はとても楽しいものだと思います。名古屋大学経済学部、および経済学研究科で皆さんとお会いできるのを楽しみにしています」とメッセージを送って締めくくられました。

国際開発研究科 国際開発専攻 経済開発 奥田 森映 氏

国際開発研究科 国際開発専攻 経済開発 奥田 森映(おくだ もりえ)氏

奥田さんは開発経済プログラムについて研究をされていて、講演ではその研究内容を中心にご自身の体験や海外実地研修時の写真を使って丁寧に説明してくださいました。
大学院へは、奥田さん自身が元々国際機関や国際NGOの一員として発展途上国で働きたいと考えており、そのためには修士号取得が条件だったため、進学を決められたとのことです。そして、せっかく学ぶなら自分が興味のある開発経済学を学びたいという思いから、開発経済学に特化したプログラムがあり、途上国の研究やインターンシップの機会が充実した名古屋大学の大学院を選ばれたそうです。
次に、ご自身の所属している「国際開発研究科」について説明してくださり、他大学からの学生や留学生が多いこと、英語で授業やディスカッションなどが行われていること、授業の進み方やその目的をお話しされ、開発経済学は「貧困層の人々がその状態をどう脱却するか、経済をどのように成長させるか」をアプローチする学問であることをお話しされました。
続けて国際開発研究科の最大の特徴である「研修を通してフィールド調査の手法を学べる魅力」についてもお話しいただきました。具体例として、海外実地研修としてカンボジアで現地調査に行った話をしてくださいました。そのときの経験から、本の中で読んだものと実状は違っており、実際に現地に行かなくてはわからないことがたくさんあると、参加者に自身の経験から得たものを伝えてくださいました。
最後に大学院での生活を振り返って、「大学院に入った当初は想像を絶する大変さや孤独さはあったけれど、徐々に自分にとっての『開発』『国際協力』の考え方が変わり、実際の現地で自分の目で確かめることの大切さをこの大学院生活の中で学ぶことができた」とお話しされ、参加者から大きな拍手が送られていました。

専門分野をより深く、興味と経験・知識の交換会。

●第3部:講演者と参加者による懇談会

第1部・第2部の終了後、花薗准教授と大学院生2名はそれぞれのコーナーに分かれ、参加者との懇談会が行われました。

講演者と参加者による懇談会

「談合がなぜ悪いことになってしまうのか」
直接かかわりがなさそうに見えるが、たとえば皆さんが物を買って税金を払う場合、この税金を使って公共事業が行われますが、できるだけ安くて良いものをつくってもらった方が有効に使えます。ですが、談合があるとその税金が有効活用されるのを阻害してしまうという問題が起こります。また、プロジェクトを進める際の入札で落札者がなかなか出ず、プロジェクトが進まないという遅延問題が出てくるなど、目に見えない形で皆さんの生活に直結するような問題も起こってきます。

「商学と経済学の違いは何ですか?」
商学や経営学は実学的な学問で、経済学は理論的な学問です。経営学は「いかに企業が儲かるか」という企業内に収まる身近なものですが、経済学は「社会で調和したシステムをどう作るか?」を考えるものだと思っています。ただ、商学でも経済学的な分析を使うなど、商学・経営学と経済学の垣根は低くはなってきています。

「名古屋大学経済学部の就職状況はどうですか?」
就職先は、公務員・民間企業が多いです。金融機関に就職する人もいれば、経済とはあまり関係のない企業に就職する人もいます。これまでの状況を見ていても、名古屋大学経済学部の就職率は良いほうだと思います。

講演者と参加者による懇談会

講演内容に関する専門的な質問から、経済学部に関する質問まで丁寧に答えてくださり、参加者の知りたいという気持ちが伝わってくる印象的な時間となりました。

大学院生のお二人には、参加者から「日本の貧困についてどう思いますか?」「今後の進路はどう考えていますか?」「受験勉強の数学と大学に入ってからの数学に違いはありますか?」「文献と現実との違いの具体例を教えてください」など、大学受験に関する質問から実際の研究内容まで多岐にわたる質問があり、お二人とも質問された参加者が納得されるまで丁寧に答えてくださいました。予定時間を過ぎても参加者からの質問が続く白熱した懇談会となり、参加者の皆さんにとっては大変有意義な時間となったと思います。

参加者の感想(一部抜粋)