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医進フェスタ 医学部特別講演「医学部は学生に何を求めているか」 イベントレポート | 体験授業・イベント

感動と面白さの追求の先に見えてくるもの。グローバルな視点から医学・医療の開拓をめざす。

医進フェスタ会場の様子
講演の様子
面談の様子

2019年8月24日に河合塾 名駅キャンパス名駅校にて、医進フェスタを開催しました。
中学生・高校生・高卒生・保護者の方を対象に、医学部医学科の大学教授や入試担当者をお招きし、講演会や個別相談会を実施しました。
その他にも、現役医大生による体験談の講演や個別相談コーナーを設けるなど、医学部医学科志望者にとっては大学のナマの情報を入手できる絶好の機会となりました。

また特別講演として、名古屋大学大学院医学系研究科長・医学部長、教授(生物化学講座分子生物学)門松 健治氏に、医学部は学生に何を求めているのか、名古屋大学は医学・医療の開拓にどのような取り組みをしているのかなどの講演をいただきました。以下に講演内容の一部を紹介いたします。
来塾者は受験生の方をはじめ、保護者の方々を中心に沢山お集まりいただきました。

日時

2019年8月24日(土)16:10~17:40

会場

名駅校

対象

高校生・高卒生と保護者の方

<講演者プロフィール>

門松 健治(かどまつ けんじ)氏

名古屋大学大学院 医学系研究科長・医学部長、教授
(生物化学講座分子生物学)
門松 健治(かどまつ けんじ)氏

昭和57年 九州大学医学部卒業、小児外科に入局
昭和63年 鹿児島大学医学部 助手(生化学)
平成05年 名古屋大学医学部 助手(生化学)
平成16年 名古屋大学大学院医学系研究科 教授(生物化学)
平成29年 名古屋大学大学院医学系研究科長・医学部長

医学部特別講演「医学部は学生に何を求めているか」

講演者と参加者による懇談会

1.感動を具体化せよ:若さこそ宝

門松教授は、まず医学部のミッションとして、学生や将来の若い医者・研究者に求めるものは、教育・診療・研究であると話されました。その中で「研究」に焦点を当てると「研究=基礎医学」と思われがちですが、医学というものは、臨床研究や社会医学、情報学、AI技術などの工学との連携、また倫理・医療経済・政策なども含められ、そのような全ての分野を含めて医学研究が成り立っています。医学部は、学生に医学医療の改革を求めています。
また、若い方は具現化する力があります。37歳という若さで生涯を終えたゴッホという絵描きは、晩年2年でほとんどの大作を生み出し、短い期間に集中して世の中に大きな影響を与えました。さらに、31~35歳が化学・生理学・医学・物理化学賞などを一番受賞しているというデータや、過去9年間のノーベル賞受賞者でMD(医師資格取得者)の方の多くは、若くして教授になられているという資料を紹介され、若い内に興味を持ってのめり込んで行ったことが、最終的に結果に繋がり、世の中に大きな影響を与えているとお話しされました。数十年後の皆さんにも、ぜひ興味を持ち、物事を追求する探究心を持って取り組んでいただきたいです。
門松教授は、参加者に投げかけられました。「もしみなさんが医学部に入学したら9割は医者になるでしょう。医者になれたら、その地域で一番の医者になりたいか、それとも医学の開拓者になりたいか。あなたならどちらを選びますか?いずれにしても医学部のミッションは医学医療のパイオニアを作ることです。」

2.開拓せよ:面白いと思えることを追求

開拓するためには、面白いと思えることを一生懸命やることに尽きます。アメリカの脳神経外科医でクシング病の発見者であるハーヴェイ・ウィリアムス・クシングは、当時の技術では困難な、頭の中の腫瘍の検査技術について、常に研究者として思考し続けました。研究は人の後追いをしても面白くありません。自分が最初に見つけたというオリジナリティーを持ち、テイクリスクを抱えながら、アカデミックに行うことが重要です。
次に名古屋大学での学生支援における研究の取組みを紹介されました。名古屋大学では、6年間を通じて「LOVE LAB(ラブラボ)」という学生研究会があります。学生同時のディスカッションやミーティング、お互いに自分の研究の進捗を話し合う学生協会を通じて、研究内容の異なる者同士が、刺激を貰いながら切磋琢磨しています。また先日、4年に1度行われる医学会総会がありました。学生同士のディスカッション、接触を目的とし、活発に発言をする生徒もいます。
大学3年生になると、基礎の講義を一通り終えた生徒が通常の講義を離れ、一線の基礎医学の研究を実践的に学ぶ場として「基礎医学セミナー」を受講します。セミナーは講義や実習に準じて、各講座や部門において研究活動に参加します。その成果は発表会(口頭発表とポスター発表)において公表する事が義務づけられています。
名大医学系研究科では、最先端実験器材と最先端解析技術の両面から研究を行ったり、神経疾患・腫瘍分子医学研究センターでは、神経とがんの研究者が一緒になって研究するなど研究力向上への取組みが大いにあります。また、名古屋大学医学部付属病院は、研究のための病院でもあります。一連の卒前卒後教育を行うため、関連病院との共同教育研究体制を進化させ、研究医の数と時間の確保、質の高い医学研究をめざしています。

3.連携せよ:ひとりではできない

研究を行うためには、連携は非常に大事です。名古屋大学では、医学系研究科・創薬科学研究科・環境医学研究科から成る「3部局シンポジウム」を構成していたり、「グローバルリトリート、生理研シンポジウム」では、岡崎市にある生理学研究所、愛知県がんセンターなどと連携して研究を進めています。しかしながらこのご時勢、日本は海外と比較すると、常識がかけ離れており孤立している現状もあります。そこで名古屋大学は、2017年から新たに「Global Alliance of Medical Excellence(GAME)」という国際的な医学部・医学系研究科の共同プログラムに取り組んでいます。これにより国際共同研究と教育の連携を展開しています。
また、「The FLAN consortium(フライブルク大学、ルンド大学、アデレード大学、名古屋大学の頭文字より)」というシステムでは、大学院生同士が交流し修業すると、博士号の学位を2つの大学から取得できます。例年、海外実習をめざして名古屋大学に入学する学生も多く、6年生の「海外臨床実習」は貴重な経験であり、実習で年齢の近い友人が出来ることは、5年後10年後の自分の人生にとって大きな宝となります。

次に、医学と社会において、医学に携わる以上視野を狭く持つことは危険ですと門松教授は話されました。「学問のすすめ」にも「今の学者は内の一方に身を委して、外の努めを知らざる者多し。」とありますが、必ずしもこれは昔の話ではありません。1960年代、売血が盛んであった時代に、日赤中央血液銀行の所長は売血しない宣言をし、元新聞社社員であった本田靖春氏の、売血の実態を抉った「黄色い血」追放キャンペーンは大きな反響を呼びました。この売血から献血への改革を行ったのは、医者ではなく医者以外の人達です。医学というカテゴリーでものを考えすぎてしまう前に、社会からみた時に発言すべき事は何かをよく良く考えなければなりません。

最後に研究大学としての名古屋大学について紹介がありました。2017年に指定国立大学が制度として生まれ、東北大学、東京大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学さらに2018年には大阪大学の6校が指定を受けました。更に、世界的な研究拠点である「ITbM(トランスフォーマティブ生命分子研究所)」、「KMI(素粒子宇宙起源研究機構)」、「CIRFE(未来エレクトロニクス集積研究センター)」、「医学生命科学分野」があり、名古屋大学は世界屈指の研究大学をめざしています。2020年4月からは、「東海国立大学機構」が設立されます。これは、岐阜大学と名古屋大学を設置する二つの国立大学法人を統合して、一つの国立大学法人とした上で、カルテ情報統合や、糖鎖生命コア研究拠点など、共同で大きな成果を出すことを目的としています。

講演の様子

最後に門松教授は、「ぜひ若い方に医学部に来ていただきたい。大学に進学されたら、医学の道をタイアップして、しっかり向上心をもって勉学に励んでください。」とエールを送られました。名古屋大学の今後の活躍への期待と、医師をめざす参加者への希望がみえた講演となりました。

参加者の感想(一部抜粋)