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2017.8.30公開

苦手、スルーでは済まされない

皆さんが意外と知らない「グループ討論」。グループ討論が課される大学を受験予定の方は要チェック!

面接の基本的な形態

医学科入試ではさまざまな面接の形態があることは、これまでも何度かお伝えしてきました。面接形態の基本的なものは「個人面接」で、その次が「グループ面接」です。そして、より高度な「グループ討論」があります。

まずは前二つの「個人面接」と「グループ面接」について見ていきましょう。この二つは、面接官が面接者に直接質問するという形態であることが共通です。

違いは面接される側の人数で、「個人面接」はその名のとおり1名の面接者を複数の面接官(大体は3名)が担当します。一方の「グループ面接」では、面接者が複数(大体4~5名)同時に面接会場に入り、面接官から順次質問される形態です。いずれも「質問されることに回答する」という形態であることが共通です。

一方、最後に述べた「グループ討論」はやや異質で、基本的には「あるテーマ」が与えられ、それに対して複数の面接者が「討論する」というものです。面接官は多くの場合は口出しをすることはなく、その討論の行方を周りから冷静に見て評価を下す面接試験の形態です。

面接試験にグループ討論を実施する大学

以下に前年度までの面接で「グループ討論」を実施した大学の一覧を示します。

国公立大

・旭川医科大(前期/後期)
・名古屋市立大(前期)
・富山大(前期/後期)
 ※グループ面接も同時に実施
・岐阜大(前期/後期)
・滋賀医科大(前期)
・香川大(前期)
 ※個人面接も同時に実施

私立大

・東邦大
・日本医科大
・自治医科大
 ※本学での面接がグループ討論
・金沢医科大
・福岡大

意外と知らない「グループ討論」のこと

「グループ討論の練習をしよう」というと、よく「司会はどうするのか」、「結論はどうするのか」などと質問を受けることがあります。実は岐阜大のようにはじめに司会を決めさせる大学もありますが、「グループ討論」で面接を実施している多くの大学では、特に司会を誰にするかの指示はありません。司会をおくべきかといえばおかなくてもおそらく話せますし、問題もありません。むしろ、形式にこだわってしまうことや、司会に専念しすぎて何も語らない人が出る方が問題になってしまうでしょう。

また、「グループ討論」の結論は、東邦大のように出さなければならない大学もありますが、概ね結論を出さないで良い大学が多いようです。ということは、会社の会議などでは「何を決めたか」の結果を重視するに比べ、面接試験が「どのように議論しているか」の過程を重視している傾向があることがわかります。

「グループ討論」は他者との共同作業

「グループ討論」が重視している「議論の過程」とは、自分の意見を出しながら他者の意見に傾聴し、自分の中にない意見をお互いに出し合うこと、それらの問題点を見つけ、疑問を解消したり解決策をお互いに見つけたりすることなどです。さらに、出た意見を使って新しいアイデアを生み出すことなどもありえます。

また、他者との間で正確な言葉を選択して発言することや、他者の正確な言葉選びを手伝って正確な意味を引き出すことも、議論の過程では重要です。そのために、考えがまとまりきらない人や言葉選びが苦手な人でも「発言しやすい」その場の雰囲気づくりなど、言葉では言い表すことができない「配慮」や「対人能力」が発揮されるといえます。

「グループ討論」では、自分の意見の正しさにこだわって他者の意見を押し切ってしまったり、他者の発言を遮ってしまったりしてもいいわけではないのです。あくまでこれは、ディベートとは違うということをわきまえておく必要があるでしょう。

もっとも、大学によっては富山大のように「賛成」と「反対」に立場を指示して議論させるケースもあります。しかし、それも想定される相互の意見に想像力と配慮を持て、という指示なのではないかと思います。

「グループ討論」の時間制限とテーマ

実は、「グループ討論」という名前がある割には、十分な議論ができるほど面接時間は長くありません。与えられる時間は、一般に15分~20分、長くて30分程度というのが普通でしょう。ですから、のんびりとお互いの自己紹介で議論の場を暖めるような悠長なことはできません。できればすぐに議論の中身に入って有意義な内容にする必要があるのです。

ということは「テーマ」が与えられたら、どのような切り口でそのテーマを扱うことができるかを瞬時に判断し、方向性を決めるのが良いでしょう。できるだけ過去に「その大学で問われたテーマ」を見て、自分ならどうするかを決定する訓練をしておくことをおすすめします。なぜなら、テーマは大学によってかなり違いがあるからです。「医療過誤、医師の過労死などの問題があるが、それに対してどうすべきか(2017旭川医科大 後期)」のような医療に関するものもありますし、「本を読むのにタブレットを使用することをどう思うか(2017富山大 後期)」という、三面記事程度の内容のこともあります。

一方、同じ社会系でも「マイナンバー制度についてどう思うか(2017滋賀医科大 前期)」という、かなり新聞を読み込んでいなければ正確に議論を運べないものもあります。扱われるテーマにはかなりの幅がありますから、過去のものをひととおり見て準備しておくことが必要でしょう。

まとめ

「グループ討論」は人前で実施するものですから、かなり緊張するでしょう。また、お互いの意見をどのように出すか、同グループになる人の偶然性にも左右されるかもしれません。そう考えると、入試結果が簡単に「面接だけで決まるような差」はつけにくいものです。

ですから、以上にお知らせしたことに注意しつつ、誠意を持ってその場の討論をし、できるだけ相応しい言葉選びをすることです。そして、社会的に成長していける「可能性」を見い出してもらえれば一定程度の及第点になるに違いありません。

そのためには、必ず一度は練習をすることです。そうすれば恐れることなく、自分の言葉で臨むことができます。その心の余裕と強さが何よりの「グループ討論」対策だといえるでしょう。