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河合塾>体験授業・イベント>知の追求講座 第五弾 東大 佐藤総長顧問・文書館長に聞く東大の“知”

東大 佐藤総長顧問・文書館長に聞く東大の“知”
「東京大学は挑戦する価値のある大学です」
2014年度 知の追求講座 第五弾

日時

2014年7月5日(土)14:00~15:45

会場

河合塾本郷校 202教室

対象者・参加者 河合塾 大学受験科 東大コース塾生(高卒生)

『知の追求』講座とは
東大入試で求められる本質的な学力を育み、知的領域を拡げる場として、“知の追求”と銘打ち開講された特別講座です。東大での学びや、その先までをも見据え、東大が求める人材の養成をめざします。

<講演者>

佐藤 愼一(さとう しんいち) 先生
佐藤 愼一(さとう しんいち) 先生
東京大学 総長顧問・文書館長(前理事・副学長)

千葉県で生まれ横浜で育つ。東京五輪の年に東京大学に入学し、法学部を卒業。同学部助手、東北大学法学部助教授を経て、1987年から東京大学文学部に勤務。2001~02年度に文学部長、2009~13年度に東京大学理事・副学長を務め、現職。

東大 佐藤総長顧問・文書館長に聞く東大の“知”「東京大学は挑戦する価値のある大学です」

東大 佐藤総長顧問・文書館長に聞く東大の“知”「東京大学は挑戦する価値のある大学です」
今回の「知の追求」講座は、東京大学の理事・副学長として濱田総長のもとで5年間、東京大学の教育改革と入試改革に取り組んでこられた佐藤愼一東京大学総長顧問・文書館長をお迎えし、東京大学が進めるさまざまな改革についてご講演いただきました。
教育と入試の両改革を、歴史的背景から現状の試み、そして将来への展望まで分かり易く説明してくださり、特に東京大学とオックスフォード大学の違い、4ターム制、FLYプログラム、推薦入試、教養教育などの話題は、大いに会場の興味を惹きました。参加者にとって、東京大学の過去と現在と未来を知り、東京大学がいかに挑戦する価値のある大学であるかを深く再認識する講義となりました。

なぜ教育改革と入試改革が必要だったのか

東京大学の教育改革と入試改革は、次の3つのポリシーの連鎖として捉えられます。
①ディプロマ・ポリシー … いかなる人材を育成して社会に送り出すか。
②カリキュラム・ポリシー … いかなる教育を行うか。
③アドミッション・ポリシー … いかなる人材をどのようにして大学に受け入れるか。
世界を相手に渡り合えるグローバルリーダーが求められる現在の日本社会にあって、東京大学は従来の“非常に高度な専門知識と専門能力を持つ視野の広い人材”を基礎条件にして、そこに「タフでグローバルな東大生」という要素を加えた人材育成をめざしました。そこでディプロマ・ポリシーの変化に対応するため、カリキュラム・ポリシーに関する教育改革、アドミッション・ポリシーに関する入試改革が必要となりました。
「皆さんは、『どの大学に入ろうか、大学に入ったら何をしようか、そして卒業したらどんな企業に就職しようか』、これを③→②→①の順序で考えているのではないでしょうか。私も高校時代そうでした。これを一度、私たちと同じように①→②→③の順序で考えてみませんか。そうしたら大学で学ぶという意味がずいぶん違ってくるのではないでしょうか」という佐藤先生の示唆に富んだ言葉は、参加者をハッとさせました。

教育改革と入試改革はどのように進んでいるのか

教育改革と入試改革はどのように進んでいるのか
教育改革は「国際化」「実質化」「高度化」の3つの柱で推進されており、その中で「実質化」を例に挙げれば、佐藤先生いわく「比喩的に言うと“学生の血となり肉となるような“教育をすることです。言い換えれば、漫然と講義に出て、必要な単位さえ揃えば卒業できるというような従来の教育はやめて、きちんと学生を成長させる教育をすること」だそうです。きっかけは、東京大学とオックスフォード大学で教鞭をとった苅谷剛彦教授の両大学の教育の違いの指摘でした。講義を聴くことを中心とした東京大学と、多くを読み書きして議論することを中心としたオックスフォード大学の教育では学生の伸びが違ってくるというのです。現状では「タフでグローバルな東大生」を育てるのは難しいと考えた佐藤先生は、「実質化」として授業を「教える」から「学ぶ」場に変える試みや、アクティブ・ラーニングと呼ばれる学生参加型の授業を増やす試みを推進しました。その他、理系の実践的英語力を強化する「ALESS」、自由な双方向型の授業が行える「教育棟」、講義や演習の完全英語化を実現した「理学部科学科」、春入学でありながら秋入学のように国際交流を推進する「4ターム制」の導入、学生が自ら教育し自ら成長させる「FLYプロジェクト」など、さまざまな試みを取り入れました。
また、入試改革については、東京大学の多様性を増すものとして期待され、改革の目玉となる「推薦入試」が導入されます。佐藤先生は、従来の前期日程入試の問題づくりと採点で、東京大学の先生方は膨大な時間を費やしエネルギーを注いでいることを紹介し、「採点する教員に挑戦する気持ちで自分の考えを答案にぶつけてください。その場合、文科系の受験生であれ、理科系の受験生であれ、必要なのは相手に正確に理解させる日本語の文章力です」とのアドバイスを送りました。

東京大学の教育システムと構造的特色とは

東京大学の教育システムと構造的特色として、教養教育(リベラル・アーツ教育)の充実とレイト・スペシャリゼーション(遅い専門化)、進振り制度があります。
「教養教育と専門教育の関係は山に例えると分かり易いと思います。高い山は、例えば富士山がそうであるように、広い裾野を持っています。広い裾野という土台があるからこそ高い山がそびえ立つことができる、つまり、幅広い教養教育の土台があってこそ、高度な専門教育を遂行することができるのです。」また、佐藤先生は常に進歩している東京大学の教養教育について、「私たちは教養教育を専門教育の前にやるものだというかつての常識を破りつつあります。教養教育から専門教育への一方通行の関係でなく、相互浸透するという形で捉えています」と語りました。

終わりに佐藤先生は、「東京大学は『タフでグローバルな東大生』を育成するためにさまざまな改革を進めています。私たちは教育システムを改革して東京大学に入学する学生を大きく成長させたいと考えています。しかし、実は学生の成長にもうひとつ必要なものがあります。それは、優れた友人です。思い返してみると、学生時代の私を最も大きく成長させたのは、ゼミや勉強会で一緒になった友人たちとの議論であり切磋琢磨でした。彼らの鋭く遠慮のない批判にさらされる中で、間違いなく私は鍛えられたと思います。東京大学は皆さんに刺激を与えるとびきり優秀な学生が集まる大学で、間違いなく挑戦する価値のある大学です。」と結びました。

その後の質問コーナーも、FLYプログラムをはじめ、留学制度のこと、4ターム制のこと、さらには哲学の学び方についてまでさまざまな質問が相次ぎ、その度に佐藤先生は質問者のそばまで行き、丁寧にご回答されました。