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(新課程入試) 共通テスト 教科別コメント 高等学校学習指導要領分析

大学入試センター公表「2025年度共通テストからの出題教科・科目」についての教科別コメント

概要

2021年3月に、大学入試センターから「平成30年告示高等学校学習指導要領に対応した 令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目について 」が公表された。新しい学習指導要領に対応して「数学」「地理歴史」「公民」などを見直し、科目数はスリム化されており、新たに「情報」が設置された。

《ポイント》

●数学では 数学Cの新設にともない出題科目が『数学Ⅰ,数学A』『数学Ⅰ』『数学Ⅱ,数学B,数学C』に変更。
●理科では 基礎科目が『物理基礎,化学基礎,生物基礎,地学基礎』の1科目にまとめられてスリム化。
●地理歴史・公民では各教科の必履習科目と選択科目を組み合わせた5科目と、地理歴史・公民の必修科目を組み合わせた1科目の計6科目に再編。
●新しい学習指導要領の必修科目である『情報』が新設。
※2025年度共通テストではCBT化は見送りとなり、従来通りの紙媒体での実施。(引き続き、CBTに関する調査研究は進められる。)
※現行課程(2009年3月告示高等学校学習指導要領に基づく教育課程)を履修した高等学校等卒業者に対しては、出題する教科・科目の内容に応じて配慮し、2025年度共通テストにおいて必要な措置をとる。

2025年度大学入学共通テストからの出題教科・科目(2018年告示「高等学校指導要領」対応) 2025年度大学入学共通テストからの出題教科・科目(2018年告示「高等学校指導要領」対応)

教科別コメント

2025年度からの共通テストは、現在の共通テストからどのように変化するのか。その変化によってどのような影響が発生しそうかについて、教科別に分析コメント掲載する。(各教科・科目の分析内容も更新していています。各コメント下のボタンよりご確認ください。)

英語

『英語』の出題範囲は、「英語コミュニケーションⅠ」、「英語コミュニケーションⅡ」及び「論理・表現Ⅰ」の3科目であり、名称の違いはあるが基本的にはこれまでと変更はない。大学入試センターの発表では「英語の試験形態は、引き続き、問題冊子、マークシート式解答用紙及びICプレーヤーを使用して実施する方式とする」とあることから、リーディングとリスニングの2技能を測定する試験が継続されることになる。なお、スピーキングとライティングの能力を測る試験を直接的な方式、つまり英語の音声を吹き込んだり、英語を記述したりする方式の試験については、現段階では想定されていないことになるが、今後も大学入試センターの発表を注視する必要がある。また、英語資格・検定試験の利用については言及されていないが、大学・学部によっては英語資格・検定試験のスコアを出願要件に課しているので、事前に調べておくことを勧める。

数学

数学の出題科目は、これまでの4科目から『数学I,数学A』、『数学I』、『数学II,数学B,数学C』の3科目に変更される。『数学II,数学B,数学C』では数学IIに加えて、数学B「数列」、「統計的な推測」、数学C「ベクトル」、「平面上の曲線と複素数平面」の4分野から3分野を選択解答することになる。『数学II,数学B,数学C』を受験する場合には、数学Cの分野を少なくとも一つ学習する必要があるため、国公立大を受験する文系の生徒にとっては負担が増加する可能性が高い。「平面上の曲線と複素数平面」の内容は「複素数平面」に加えて「2次曲線」や「極方程式」の内容も含まれ、内容が多岐にわたっており、多くの受験生は「ベクトル」を選択解答することになると思われる。

国語

共通テストの出題教科は、2025(令和7)年度以降も「国語」ではあるものの、必履修科目としては「実社会・実生活に生きて働く国語の能力」を育成する「現代の国語」と、「我が国の言語文化への理解」を深める「言語文化」の二つが、共通必履修科目として設けられているため、改訂のポイントを押さえて注視していく必要がある。
今回の改訂のポイントである〈実社会〉という点は、国語という教科のあり方に大きな変化をもたらすと考えられる。高等学校の学習素材に関して言えば、従来と比較し、報道や広報の文章や報告書、企画書、法令文など、実社会における実用的な文章に接する機会が増えることになるだろう。その分、共通テストでは出題されるが、高校の学習素材としては相対的に減るであろう文芸作品に触れる機会をつくることも、受験対策としては重要になるのではないか。
共通テストへの影響についてであるが、現代文においては、現段階で新学習指導要領を意識した大きな変化は認められないものの、今後は実用文を読み慣れるとともに複数のテクストを関連させて理解する力を養いたい。古典では、とりたてて特別な対策や新しい学習が要求されるとは考えにくいが、単に文法知識を問うだけでなく、文脈の中での意味を問われるなど、従来以上に単語や文法の知識を応用して読解に生かすことが求められるだろう。また、複数の文章に共通する主題や要素を的確に捉えるための実践は必要となろう。

理科

大学入試センターより、新学習指導要領に対応した共通テストの出題教科・科目が発表された。理科は『物理基礎,化学基礎,生物基礎,地学基礎』、『物理』『化学』『生物』『地学』の5科目である。理科で一つの試験時間帯とされ、その点は現行から変更になる可能性が高い。『物理基礎,化学基礎,生物基礎,地学基礎』を受験する場合には必ず2科目を選択する必要があり、4単位科目とあわせた科目選択パターンは現行と変わらない。今回発表された内容から、高校の指導や大学入試に対し配慮すべき影響は特にないと思われる。

地理歴史

大学入試センターの発表(2021年3月24日)によれば、地理歴史の出題科目は、『地理総合,地理探究』、『歴史総合,日本史探究』及び『歴史総合,世界史探究』の3科目(これとは別に、「公民」と組み合わせた『地理総合,歴史総合,公共』がある)となる。

新学習指導要領科目 新学習指導要領科目

(図版は、https://www.keinet.ne.jp/exam/topic/20/20210326.pdfより)

歴史分野は『歴史総合,日本史探究』『歴史総合,世界史探究』の出題科目となり、「日本史探究」「世界史探究」それぞれが単独の出題科目となるのではなく、ともに必履修科目「歴史総合」と組み合わせた形となる。「歴史総合」のサンプル問題では、従来の「日本史(世界史)A・B」の知識だけでは解けない問題があった。これは探究科目が必履修科目「歴史総合」の学習で身につけた資質・能力を踏まえた科目であるとする新学習指導要領に基づいている。従って高等学校の授業においても、「歴史総合」の履修をしっかり行ったうえで、探究科目を進める必要があろう。
地理分野は『地理総合,地理探究』という出題科目となり、「地理総合」及び「地理探究」の内容が出題範囲となる。単独科目での出題ではないことから、現行の「地理A・B」の学習範囲とほぼ同じである。サンプル問題では、課題とその対策、そしてその成果などの因果について問うものが見られたが、学習指導要領の目標に沿った問題に対応するためには、アクティブ・ラーニング型の授業を積極的に活用することが重要であり、重要事項は覚えるだけでなく、「なぜそうなるのか」という興味を持ち、理解を深める姿勢が大切である。

公民

高等学校の教育課程改編により、公民では「現代社会」が廃止となる一方、「公共」が新設される。大学入試センターの発表(2021年3月24日)によれば、公民に関係する出題科目構成は、次のように変化する。

現代の科目構成 (a)現代社会 (b)倫理 (c)政治・経済 (d)倫理+政治・経済 → 新しい科目構成 (a)公共+倫理 (b)公共+政治・経済 (c)地理総合+歴史総合+公共※ ※3科目のうち2科目の内容の問題を選択して解答 現代の科目構成 (a)現代社会 (b)倫理 (c)政治・経済 (d)倫理+政治・経済 → 新しい科目構成 (a)公共+倫理 (b)公共+政治・経済 (c)地理総合+歴史総合+公共※ ※3科目のうち2科目の内容の問題を選択して解答

これまでのように「倫理」や「政治・経済」それぞれを単独で受験することはできず、必履習科目の「公共」と組み合わせた形での受験になる。なお、地歴公民の枠組みでは2科目までの受験が可能だが、「公共+倫理」と「公共+政治・経済」の2科目の組合せでは受験できない。
2025(令和7)年度からの出題教科・科目について、大学入試センターが「出題科目の数や組合せ等について……必要なスリム化を行う」という方向性を発表しているが、これに則した場合、新しい科目構成に含まれる「公共」は上記(a)~(c)3科目とも共通の設問となる可能性が考えられる。その場合、標準単位数や共通テストの科目構成などを考慮すると、おそらく100点満点中、「公共」には50点分が割り当てられることになると予想される。
「公共」は、「倫理」と親和性のある学習項目もあるが、「政治・経済」の学習内容と重なる面が多い。したがって、「公共+政治・経済」のほうが「公共+倫理」よりも受験生の学習負担は少なくて済む可能性がある。あるいは、「公共」と、「倫理」あるいは「政治・経済」との棲み分けという点からすると、「公共」では資料活用や思考実験、議論の整理などに重点を置いた設問構成になるということも考えられよう。そうした設問の例としては、大学入試センターが公表した「サンプル問題」の、第1問の問2、第2問の問2および問3、第3問全体が挙げられる。

今後のスケジュール

今回の大学入試センターからの発表は、関係団体等からの意見を踏まえ、大学入試センターとしての一定の結論を得たとして公表されたものであり、今後、文部科学省において高校および大学関係者等の協議を経たうえで、2021年の夏ごろには正式決定される予定。また、各出題教科・科目の試験時間や配点、時間割等については、現行の共通テストとの継続性を勘案しつつ、試験実施上の負担も考慮して定められる。
各大学は、文部科学省からの通知を受けて2025年度入試の入試科目を定めることとなるが、学習指導要領が大きく改訂されるため、共通テストのみならず個別試験の出題教科・科目も注目される。例年、各大学の入試科目の変更等は2年程度前に予告するルールになっており、遅くとも2023年3月頃までには公表されると思われる。

2025年度入試(2024年度実施の大学入試)に向けたスケジュール 2025年度入試(2024年度実施の大学入試)に向けたスケジュール

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